看護師になりたいけれど、学歴が中卒だと不可能ではないかと不安に思う方もいるのではないでしょうか。
実は看護師の資格は、中卒からでもめざすことができます。
本記事では、中卒から看護師をめざす方法について詳しく紹介していきます。
看護師になりたいと思っているけれど学歴が妨げとなり一歩踏み出せない、という人はぜひ本記事を参考にしてみましょう。
目次
中卒でなれるのは准看護師
中卒であっても、准看護師学校養成所や衛生看護科に通うことで、准看護師になることができます。
一方で、正看護師の場合は高卒以上が条件です。
正看護師と准看護師は、仕事内容や資格の取り方が異なります。
以下でそれぞれの違いについて詳しく紹介します。
看護師には准看護師と正看護師の2つの資格がある
| 正看護師 | 准看護師 | |
| 就学年数 | 3年 | 2年 |
| 免許 | 厚生労働大臣 | 都道府県知事 |
| 法律上の位置づけ | 傷病者若しくはじょく婦に対する療養上の世話又は診療の補助を行うことを業とする者をいう。 | 医師、歯科医師又は看護師の指示を受けて、傷病者若しくはじょく婦に対する療養上の世話又は診療の補助を行うことを業とする者をいう。 |
| 業務の進め方 | 自ら考えて行動できる | 看護師もしくは医師の指示に従う |
准看護師は、指示があれば看護師と同様に採血や医師の介助を行うことができ、病院やクリニックで働くことができます。
業務の範囲は看護師と差はなく、かつ2年で取得できるのも准看護師免許の特徴です。
正看護師には高卒以上の資格が必要
正看護師の養成所に入るためには、高卒以上の学歴が必要です。
中卒学歴ではすぐに正看護師をめざすことができないため、高等学校卒業程度認定試験を受けたり、いったん准看護師資格を取得してから、あらためて正看護師資格取得をめざす必要があります。
一方で、准看護師の場合、以下のように「中学校卒業」が入学要件となっています。
| 入学要件 | 就学年数 | |
| 正看護師 | 高校卒業 | 3年 |
| 准看護師 | 中学校卒業 | 2年 |
ただし、あくまでも養成学校への入学要件が中卒という意味であり、中学校を卒業してすぐに准看護師になれるわけではない点に注意しましょう。
中卒から准看護師をめざすルート
中卒の方が准看護師をめざすには、以下のルートをたどります。
- 中学校を卒業する
- 准看護師養成学校に入学する
- 准看護師試験に合格する
- 都道府県知事より准看護師免許を授与される
准看護師養成学校の入試は、中校卒業程度の内容となっています。
したがって、社会人で長らく学校の勉強に触れていない人でも、めざすハードルは高くありません。
試験では国語や数学の筆記試験に加えて、面接や小論文が求められる場合もあります。
試験に合格したあとは養成学校で2年間修業し、都道府県が主催する准看護師試験の合格をめざします。
准看護師試験は合格率も97％〜98％と高く、しっかり対策をすれば十分合格をめざせるでしょう。
また、准看護師試験は2日間開催され、場所を変えれば同年に2回受験することも可能です。
正看護師の国家試験は年に1度しか実施されないため、落ちてしまうと来年以降になりますが、准看護師では2度チャンスがあることになります。
中卒で准看護師から正看護師になるには？
中卒の方がいきなり正看護師の養成学校に通うことはできないため、複数のステップを踏んでから正看護師免許をめざすことになります。
ここからは中卒の方が正看護師免許を取得するまでの流れを説明します。
准看護師免許を取得して実務経験を積む
中卒の方が准看護師免許を取得してから正看護師をめざす場合、実務経験を積んだのちに、正看護師養成学校へ入学する必要があります。
| 看護師専門学校 | 実務年数 | 就学年数 |
| 全日制 | 3年 | 2年 |
| 定時制 | 3年 | 3年 |
| 通信制 | 7年 | 2年 |
全日制の専門学校に通う場合は、実務経験3年で2年間の修業期間が必要です。
定時制では実務年数は同じですが、全日制よりプラス1年時間がかかってしまいます。
しかし、昼間は仕事をしながらでも通うことができるため、学費を稼ぎながら通うことができます。
また、2018年度より准看護師として7年以上勤務をすると、通信教育で正看護師免許の資格が取得可能となりました。
それぞれの特徴をよく理解し、自分のライフスタイルに合った資格の取り方を選択しましょう。
高卒認定試験に合格してから看護学校に進む
最終学歴が中卒でも、文部科学省が実施している高等学校卒業程度認定試験という試験に合格すれば、高校卒業と同等の学力があると認められ、専門学校や大学といった教育機関に受験する資格が得られます。
したがって、正看護師のための専門学校や大学に進学することも可能です。
高卒認定試験は年に2回開催されるため、今から准看護師免許を取得しようという方は、先に高校認定試験を受けてから、正看護師をめざすのも良いでしょう。
中卒の看護師の割合は実際どれくらい？
中卒で進学しようという場合、自分と同じような仲間がいるかどうかも気になるポイントでしょう。
医師会が行った助産師・看護師・准看護師学校養成所調査によると、准看護師の学校に所属する生徒のなかで中卒学歴を持つ割合は、例年8％前後でした。
高校中退者も約5％の割合でいるため、全体の10％ほどは最終学歴が中卒という結果です。
決して多いとはいえませんが、自分と同じように中卒から看護師の道を志す人もいるため、安心して進学することができます。
中卒学歴は看護師の就職・キャリアに不利になる？
中卒だと、就職したあとでキャリアに響くのではと心配する方もいるでしょう。
しかし、看護師は学歴が原因でキャリアに傷がつくといったことはありません。
というのも、看護師が昇進するためには経験年数や看護技術が必要となります。
就職後は大学卒業も専門学校卒業者も同じ仕事をするため、仕事のスキルに大きな差異は生まれません。
しかし、病院によっては3年制卒業の看護師と4年制大学の卒業看護師では給料に差が出ることもあります。
また、准看護師は正看護師よりも給与が低く設定されており、年収に差が出てしまう恐れがあるのは覚えておきましょう。
看護師は中卒からでもめざすことができる
中卒からでも、正しいルートをたどれば看護師になることができます。
なかでも准看護師は中卒でも受験資格があるため、すぐにでもめざすことが可能です。
また、准看護師として実務経験を積めば、ゆくゆくは正看護師免許の取得もできるでしょう。
准看護師、正看護師に関わらず、看護師は私たちの健康を支えるとても責任の大きく、やりがいのある仕事です。
中卒だからと諦めずに、前向きに看護師免許の取得を検討してみてはいかがでしょうか。
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