看護師として働くうえで、自分に合った科を見つけることは非常に重要です。
適切な科を選ぶことで、やりがいを感じながら長く働き続けることができるからです。
しかし、多くの看護師が自分に合った科を見つけるのに苦労しています。
そこで本記事では、看護師が向いている科を把握することの重要性や、科を選ぶ際のポイントについて詳しく解説していきます。
自分に合った科で働くことで、看護師としてのキャリアをより充実させることができるでしょう。
目次
看護師が自分に向いている科を見つける重要性

看護師として働くうえで、自分に向いている科を見つけることは長く楽しく働くことにもつながります。
適切な科を選ぶことで、仕事へのモチベーションが高まり、長期的なキャリアの構築にもつながります。
では、なぜ自分に合った科を見つけることが重要なのでしょうか。
具体的には以下の3つの理由が挙げられます。
転職時に意志を伝えることができる
自分に向いている科を知ることは、転職活動を有利に進めるうえで大きな助けとなります。
面接時に希望する科や、その理由を明確に伝えられるからです。
希望する科が決まっていない場合、面接官に「やる気があるのか」と疑問を抱かせてしまう可能性があります。
一方、自分の適性や希望をはっきりと伝えられれば、意欲的な印象を与えることができるでしょう。
また、自分に合った科を知っていることで、転職先の選択肢を絞り込むことが可能です。
これにより、効率的な転職活動が可能となり、希望に沿った職場に出会える確率が高まります。
やる気をもって仕事に取り組むことができる
自分に向いている科で働くことは、仕事へのモチベーション維持に大きく貢献します。
好きな分野や得意な分野で働くことで、日々の業務に対する意欲が自然と高まるからです。
例えば、患者さんとのコミュニケーションが得意な看護師が内科で働く場合、患者さんとの対話を通じて満足感を得られるでしょう。
一方、緊急時の対応が得意な看護師が救急科で働けば、自分の能力を最大限に発揮できると感じられます。
このように、自分に合った環境で働くことで、仕事に対する前向きな姿勢を維持しやすくなります。
結果として、業務効率やスキルの向上にもつながり、キャリアの充実度が高まることが期待できるのです。
長く働き続けられるきっかけになる
自分に向いている科を知ることは、看護師として長期的にキャリアを築くうえで重要な要素となります。
適性を理解していないと、うまくいかない原因を自分の能力不足だと誤解してしまう可能性があるからです。
例えば自分に合わない科での勤務で、思うように成果が出せない場合に、「看護師に向いていないからできないのだ」と思い込んでしまうこともあるでしょう。
しかし、実際には職種への適性はあっても、環境が合っていないだけかもしれません。
自分に向いている科を知っていれば、一時的に異動があっても「ここは自分に合っていないから、次の部署異動まで頑張ろう」と前向きにとらえることができます。
このような思考の転換が、長期的なキャリア形成につながるのです。
また、自分の適性を理解していることで、キャリアプランを立てやすくなります。
将来的にどの分野でスペシャリストをめざすか、どのような看護師になりたいかを明確にイメージできるようになるでしょう。
看護師のタイプと向いている科、向いていない科
看護師にもさまざまなタイプがあり、それぞれに適した科が存在します。
自分のタイプを知ることで、より自分に合った科を見つけやすくなるでしょう。
ここでは、代表的な3つのタイプと、それぞれに向いている科について解説します。
自分がどのタイプに当てはまるか、考えながら読んでみてください。
看護師として経験を積みながらバリバリ働きたい方向け
さまざまな経験を積みながら、積極的に仕事に取り組みたい看護師には、外科や救急救命病棟、ICU・HCU病棟がおすすめです。
これらの科では、幅広い疾患を持つ患者さんと接する機会が多く、多様な看護スキルを身につけることができます。
外科では、手術前後の患者さんのケアや、術後の経過観察など、専門的な知識と技術が身につきます。
救急救命病棟やICU・HCU病棟では、一刻を争う処置や介助が必要となるため、迅速な判断力と行動力が養われるのです。
これらの科で働くことで、以下のような経験を積むことができるでしょう。
- 緊急時の対応スキル
- 高度な医療機器の操作
- チーム医療における連携能力
- 重症患者のケア技術
チャレンジ精神旺盛で、常に新しいことを学びたい看護師に適しています。
ただし、これらの科は業務量が多く、ストレスも大きいため、体力と精神力が必要となります。
とにかく医療的なスキルを磨きたい方向け
患者さんのお世話やフィジカルアセスメントよりも、とにかく「医療的な処置や医師の介助をするのが好き」という看護師には、手術室がおすすめです。
手術室では毎日外科手術があり、医師の右腕として手術の進行をサポートします。
目の前で病巣が取り除かれたり、機能を発揮するため正しい状態に戻る様子を目の当たりにするため、仕事の結果が目に見えてわかりやすくモチベーションが維持しやすい業務でもあります。
また、自身の手術介助により手術時間の短縮に貢献するなど、自分の技量が数字で出やすいところでもあるので自己研鑽がしやすい環境です。
手術室での業務は、他の診療科にはない特殊なやりがいがあります。
- 医療的な技術が飛躍的に向上する
- 解剖学にとても強くなる
- 医師との関係性がとても良好になる
- わかりやすい変化が好き
看護師としての一般的な業務よりも特殊性が高いので、医療的な技能を高めたいと考えるなら手術室はおすすめです。
しかし一方で、意識のある患者さんと接する時間は極端に短いので、患者さんとのやり取りにやりがいを感じているなら不向きの科かもしれません。
患者さんとじっくり関わりたい方向け
患者さんの話をじっくり聞きながら、丁寧な看護を提供したい方には、内科や精神科、回復期病棟がおすすめです。
これらの科では、比較的長期入院の患者さんや何度か繰り返して入院してくる患者さんが多く、継続的なケアを行う機会が豊富にあります。
内科では、慢性疾患を抱える患者さんが多いため、日常生活指導や服薬管理など、生活全般にわたるサポートが求められます。
患者さんの生活背景を理解し、個別性の高い看護を提供する能力を磨けるでしょう。
精神科では、患者さんの心理面のケアが中心となります。
傾聴スキルやカウンセリング技術を磨くことができ、患者さんとの信頼関係構築に重点を置いた看護の実践が可能です。
これらの科で働くことで、以下のような能力を高めることができます。
- コミュニケーションスキル
- 患者さんの心理面への理解力
- 長期的な視点での看護計画立案能力
- 多職種連携によるチーム医療の実践力
ただし、患者さんとの関わりが深くなるぶん、感情移入しすぎてしまう危険性もあります。
適度な距離感を保ちながら、専門職としての関わりを持つことが必要です。
無理なく働きたい方向け
仕事とプライベートのバランスを重視し、比較的安定した環境で働きたい方には、眼科や皮膚科などの外来やクリニックがおすすめです。
これらの科では、突発的な処置が少なく、ルーティン業務が中心となるため、精神的な負担が比較的軽くなります。
眼科では、視力検査や点眼指導などの業務が主体となり、専門的ではあるものの、比較的落ち着いた環境で業務を行うことができます。
患者さんの年齢層も幅広く、さまざまな方とコミュニケーションを取る機会があるのも特徴です。
皮膚科では、外用薬の塗布方法指導や、皮膚の状態観察など、細やかな観察力が求められます。
ただし、生命に直結する緊急性の高い処置は少ないため、ゆとりを持って業務に取り組むことができるでしょう。
これらの科で働くことで、以下のようなメリットを得られます。
- 規則正しい勤務体制
- 専門的な知識・技術の習得
- 患者さんとの良好な関係構築
- ワークライフバランスの実現
ただし、緊急性の高い処置や、幅広い看護経験を積むことは難しい面もあります。
キャリアアップをめざす場合は、別の科での経験も検討する必要があるかもしれません。
看護師が向いている科を選ぶときのポイント
自分に合った科を選ぶことは、看護師としてのキャリアを充実させるうえで非常に重要です。
しかし、どのようにして自分に合った科を見つければ良いのでしょうか。
ここでは、看護師が向いている科を選ぶ際の3つの重要なポイントについて解説します。
これらのポイントを押さえることで、より適切な科選びができるようになるでしょう。
自己分析を行う
自分に合った科を見つけるための第一歩は、徹底的な自己分析です。
自分の得意分野や苦手分野、興味のある分野などを客観的に分析することで、適性のある科が見えてくるでしょう。
例えば、心臓の機能や心電図に強い興味がある場合、循環器内科や心臓血管外科が向いている可能性があります。
一方で、精神的なケアや緩和ケアに苦手意識がある場合は、精神科や緩和ケア病棟は避けたほうが良いかもしれません。
自己分析を行う際は、以下のような点に注目すると良いでしょう。
- 学生時代の実習で興味を持った分野
- これまでの看護師経験で感じた得意・不得意
- 医療や看護のどの分野に関心があるか
- ストレス耐性や体力面での自己評価
また、周囲の先輩看護師や上司にフィードバックを求めるのも効果的です。
他者からの客観的な評価を聞くことで、自分では気付かなかった適性を発見できるかもしれません。
将来どうなりたいかを考える
自分に合った科を選ぶ際は、将来のキャリアビジョンを明確にすることが重要です。
「どのような看護師になりたいか」という目標を持つことで、そのゴールに向かうための最適な科を選びやすくなります。
例えば、将来的に循環器のスペシャリストをめざしているのに、整形外科で働いていては、目標と現実の行動が乖離してしまいます。
目標に合った科で経験を積むことで、効率的にキャリアを構築することができるのです。
将来のビジョンを考える際は、以下のような点を検討してみましょう。
- 5年後、10年後にどのような看護師になっていたいか
- 特定の疾患や診療科に特化したいか、それとも幅広い経験を積みたいか
- 管理職をめざすか、それともスペシャリストとして極めたいか
- 将来的に看護教育や研究に携わりたいか
これらの点を明確にすることで、自分のキャリアパスに最適な科を選ぶことができるでしょう。
ただし、キャリアビジョンは時間とともに変化することもあるので、定期的に見直すことも大切です。
理想のライフスタイルに合っているかを考える
看護師として働くうえで、仕事とプライベートのバランスは非常に重要です。
自分の理想のライフスタイルに合った科を選ぶことで、長期的に働き続けることができるでしょう。
例えば、プライベートの時間を最優先にしたい場合、残業が多い職場は現実的ではありません。
週末に子どもと過ごす時間を大切にしたい場合は、オフィス街のクリニックなど、週末が休みの職場を選ぶのが良いでしょう。
理想のライフスタイルを考える際は、以下のような点を検討してみましょう。
- 希望する勤務体制(日勤のみ、夜勤あり、3交代制など)
- 休日の希望(週休2日、祝日休みなど)
- 残業の許容範囲
- 通勤時間の希望
- 家庭生活との両立の重要度
これらの点を明確にすることで、自分のライフスタイルに合った科を選びやすくなります。
ただし、理想の科が見つからない場合は、優先順位を付けて妥協点を探ることも必要です。
自分に向いている科がわからない看護師はどうする?
自己分析や将来のビジョン、ライフスタイルを考慮しても、なお自分に向いている科がわからないという看護師も少なくありません。
そうした場合は、焦らずに以下のような方法を試してみるのがおすすめです。
- 先輩看護師や上司に相談してみる
経験豊富な先輩たちは、あなたの適性や能力を客観的に評価できる可能性があります。
また、自分では気付いていない長所や短所を指摘してくれるかもしれません。 - 転職サイトの協力を仰ぐ
多くの転職サイトでは、看護師向けのキャリアカウンセリングを行っています。
専門のアドバイザーが、あなたの経験や希望をもとに適した科を提案してくれるでしょう。 - 簡易的な職種診断テストを活用する
これらのテストは、あなたの性格や適性を分析し、向いている科を示唆してくれます。
ただし、あくまで参考程度に留め、最終的な判断は自分で行うことが大切です。 - さまざまな科での経験を積む
新卒で入職した病院で複数の科をローテーションする機会があれば、積極的に活用しましょう。
実際に働いてみることで、自分に合った科が見つかる可能性が高まります。
焦らずに自分自身と向き合う時間を大切にしましょう。
経験を積むなかで学びが深まり、「今まで見つけられなかったけど、この科でずっと勉強したい」と思える分野が現れるかもしれません。
じっくりと時間をかけて、自分らしい看護を実践できる場所を探していきましょう。
自分に向いている科を見つけて、看護師として生き生きと働こう
看護師として自分に向いている科を見つけることは、長期的なキャリア形成において非常に重要です。
適切な科で働くことで、仕事へのモチベーションが高まり、より質の高い看護を提供することができるでしょう。
本記事では、看護師が向いている科を見つける重要性や、科を選ぶ際のポイントについて詳しく解説してきました。
自己分析や将来のビジョン、理想のライフスタイルを考慮しながら、自分に合った科を探していくことが大切です。
ただし、自分に向いている科を見つけるのは簡単なプロセスではありません。
時には試行錯誤が必要になるかもしれません。
しかし、焦らずに自分と向き合い、さまざまな経験を積むことで、必ず自分に合った場所が見つかるはずです。
看護師として生き生きと働くためには、自分の適性を理解し、それに合った環境で力を発揮することが重要です。
自分に向いている科で働くことで、患者さんにより良い看護を提供できるだけでなく、自身のキャリアも充実したものになるでしょう。
最後に、看護師の仕事は常に変化が求められ、成長の機会に満ちています。
自分に合った科を見つけたあとも、継続的に学び、スキルアップを図ることを忘れないでください。
そうすることで、看護師としてのやりがいと満足度がさらに高まることでしょう。
