
看護学生は、座学や実習を通して看護師に必要な知識とスキルを身につけていきます。
学生生活を有意義に過ごすためには、勉強と実習に加え、将来に向けた準備も大切です。
本記事では、看護学生の1年間のスケジュールや1日の過ごし方、学生時代にやっておくと良いことを詳しく紹介します。
目次
看護学生とは
看護学生とは、看護師をめざすために文部科学大臣に認定された4年制看護系大学、短期大学、専門学校に通っている学生のことを指します。
看護師になるためには、看護師国家試験に合格し看護師免許を取得することが必要です。
そのため、看護学生は、解剖学や生理学などの座学をはじめ、成人や小児、老年などさまざまな領域の看護学や実習を行い、看護師として求められる知識やスキルを身につけていきます。
看護学生の年間スケジュール
看護学生の1年間のスケジュールは、座学と実習、長期休みを中心に構成されています。
座学では専門的な知識を学び、実習では実践的なスキルを身につけていきます。
それぞれの内容を詳しく理解しておきましょう。
座学について
座学で学ぶ内容は、大きく以下の3つのカテゴリに分けられます。
- 専門基礎科目
解剖学や病態生理など、看護師としてケアを考えるうえで基本的な医学知識や公衆衛生学、保健師助産師看護師法などの法律を学ぶ - 専門科目
母性看護学、小児看護学、成人看護学など、それぞれの看護分野に分けた看護知識を学ぶ - 教養科目(全学共通科目)
英語や第二言語などの語学や経済学など一般教養を学ぶ
大学では、教養科目が充実している傾向があります。
1年目や2年目で教養科目や専門基礎科目を学んでいき、徐々に専門科目の学習割合が大きくなっていきます。
長期休みについて
看護学生の長期休みは、夏休み・冬休み・春休みの3種類があります。
特に夏休みは他の休みと比較して長期間であり、以下のような期間とされています。
- 4年制の一般的な看護大学
8月~9月の2ヵ月間 - 3年制の看護専門学校など
7月下旬~8月下旬の1ヵ月間
この長期休みの期間は、国家試験対策や実習の事前学習、レポート作成など有効活用することが大切です。
また、趣味や旅行など息抜きの時間を設けることで、リフレッシュして次の学習に臨むことができます。
看護実習について
看護実習は、座学で学んだ知識を実践の場で活かすための重要な学習の機会です。
看護実習の内容は、主に以下に分けられます。
- 基礎看護学実習(Ⅰ・Ⅱ)
- 領域別実習
- 統合実習
ここでは、それぞれの実習について詳しく説明します。
基礎看護学実習Ⅰ
基礎看護学実習Ⅰは、一般的に1年次の後半に実施される、1週間程度の短期間の実習です。
この実習では、看護師としての基本的な姿勢や患者さんとのコミュニケーションを学びます。
基礎看護学実習Ⅱ
基礎看護学実習Ⅱは、2週間程度の実習です。
毎年以下のような期間で行われます。
- 4年制看護大学の場合:2年次の夏頃
- 3年制の専門学校の場合:1年次の後半
実際に患者さんを一人担当し、カルテから情報収集して、看護計画の立案を行います。
領域別実習
領域別実習は、それぞれの領域ごとに2〜3週間程度かけて臨床現場で看護計画の立案やケアの実施など患者さんへの看護を実践する実習です。
看護師は、年齢や疾患など患者さんに合わせた看護を実践していかなければいけません。
領域別実習によって、領域の特徴を捉えた看護を学ぶことができ、ご自身が将来看護師として関わりたい分野や診療科を考えるきっかけになるでしょう。
領域別実習の実施時期は、以下のとおりです。
- 4年制看護大学の場合:3年次の後半から4年次の前半にかけて
- 3年制の専門学校の場合:2年次の後半から3年次の前半にかけて
統合実習
統合実習は、今までの看護実習の集大成となる実習です。
実習内容はそれぞれ人によって異なり、領域別実習を踏まえて専門性を高めたいと考えた領域の実習を行ったり、領域別実習では経験できなかった夜間の実習や複数患者の受け持ち実習などを行うケースもあります。
これまでに学んだ知識や技術を統合し、より実践的な看護を学ぶことができるでしょう。
統合実習は、以下の時期に約2週間程度の期間で行います。
- 4年制看護大学の場合:4年次の後半
- 3年制の専門学校の場合:3年次の後半
国家試験について
看護師国家試験は1年に1回、例年2月に実施されます。
国家試験の対策は、以下のようなスケジュールで行うと良いでしょう。
- 最終学年の夏休みまで:
知識の基礎固めを行います。
基本的には、学校の講義の復習や試験勉強を通して、看護師になるために必要な知識を少しずつ学習していきましょう。
可能であれば、国家試験の必修問題の対策まで手をつけておくことをおすすめします。
時間に余裕がある時だからこそ、必修問題の答えを暗記するのではなく、正解を導くためのプロセスをきちんと理解しておくと、どのような設問にも対応できるでしょう。 - 最後の実習が終了した時期(11月頃):
過去問や模試を解いて国試対策の追い込みをしていきます。
看護師国家試験は一定の出題傾向があるため、過去問からその傾向をつかみつつ、忘れてしまっている知識を再度学習したりなど苦手分野の克服を行っていきます。
定期的に模試も受験しながら、ご自身の知識の定着度を確認したり、本番に備えたイメージトレーニングもしていくと良いでしょう。
計画的に勉強を進め、苦手科目を克服していくことが合格への近道となります。
看護学生の1日のスケジュール
看護学生の1日のスケジュールは、講義がある日と実習の日で大きく異なります。
それぞれの特徴を踏まえて、メリハリのある学生生活を送ることが大切です。
講義の場合
講義の場合、朝9時頃から授業が始まり、16時頃に授業が終了する流れが一般的です。
授業終了後は、授業の復習やアルバイト、趣味などを楽しみます。
<講義の日のスケジュール例>
時間 | 内容 |
7:00 | 起床・朝食 |
8:30 | 登校・自主学習 |
9:00 | 1限目授業 |
10:40 | 2限目授業 |
12:10 | 昼食 |
13:00 | 3限目授業 |
14:40 | 4限目授業 |
16:00 | 下校 |
18:00 | 夕食 |
19:00 | 自由時間・復習・アルバイト |
看護実習の場合
実習の日は、一般的に9時頃から17時頃まで1日中実習を行います。
帰宅後は、実習の振り返りレポートや記録などを作成します。
<実習の日のスケジュール例>
時間 | 内容 |
7:00 | 起床・朝食 |
8:00 | 病院へ移動 |
9:00 | 実習開始・申し送り |
10:00 | ケア提供 |
12:00 | 昼食 |
13:00 | ケア提供 |
15:00 | カンファレンス |
16:00 | 申し送り |
17:00 | 帰宅 |
19:00 | 夕食 |
20:00 | 記録・レポート作成 |
看護学生のうちにやっておくと良いこと
看護学生のうちは、勉強や実習だけでなく、将来に向けた準備を行うことも大切です。
ここでは、看護学生のうちにやっておくと良いことを3つご紹介します。
勉強
看護師として医療現場で働き始めたときに困らないためにも、勉強は日々コツコツと進めておくと良いでしょう。
看護学生のうちでも、座学などで習った知識を実習にて実践します。
より充実した実習を行うために日々の学習の積み重ねは大事です。
また、国試対策においても、学校で習った内容が国試に出題されるため、日々の復習が国家試験対策にもつながります。
自己分析
自分の将来の看護師像を明確にするために「自己分析」を行っておくと良いでしょう。
自分自身の強みや価値観を客観的に把握することで、どのような看護師になりたいか、どのような職場が自分に合っているかがわかるようになり、就職活動にも役立てることができます。
看護学生のうちから自己分析を行い、自分の適性を見極めておくことが大切です。
趣味や興味があることへのチャレンジ
看護師として働き始めてからは、仕事が中心の生活となってしまいがちです。
学生のうちはまだ時間にゆとりがあるので、いろいろな経験をすることで、学生生活をより充実したものにできます。
また、多様な経験は看護師としての視野を広げることにもつながります。
看護学生のうちに、趣味にとことん時間を使ったり、興味があることにチャレンジしたりしてみると良いでしょう。
看護学生の生活をイメージしよう
看護学生の1年は、座学と実習、長期休暇を中心に構成されています。
そのなかでも、講義の日と実習の日でスケジュールは異なります。
専門的な知識や実践的なスキルを着実に習得するために、メリハリをつけて過ごしましょう。
また、看護学生のうちは勉強や実習だけでなく、将来に向けた準備として自己分析や趣味へのチャレンジにも時間を割くこともおすすめです。