調剤事務(調剤薬局事務)の仕事を始めたいものの、「年収はいくら?」と疑問に思う方や、「給料が安いと聞いて不安」と感じている方も多いでしょう。
そこで今回は、調剤事務の年収・月収や、医療事務など他の事務系の職種との給料比較、給料アップの方法を紹介していきます。
目次
調剤事務の平均年収・平均月収
まずは、調剤事務の正社員での平均的な年収・月収について説明します。次に地域別、雇用形態別の給料についても確認していきましょう。
正社員の年収・月収・手取りの相場
調剤事務の給料の平均は以下のとおりです。
- 平均年収:270万~320万円
- 平均月収:18万円
また、平均月収は、年齢とともに上がっていく傾向にあります。
- 20~29歳:16~17万円
- 30~39歳:18~19万円
- 40~49歳:21~23万円
- 50~59歳:25万円
出典:平均年収.JP
地域別の年収
上記は全国平均ですが、給料は地域によって差があります。
平均年収の高い4都府県と低い県を見ていきましょう。
- 東京都:約420万円
- 大阪府:約360万円
- 神奈川県、愛知県:約330万円
- 最も低い県 沖縄県:約240万円
東京、沖縄では180万円もの差があることがわかります。
調剤事務の給料が気になっている方は、全国平均ではなく、居住している都道府県の平均給与を確認し、求人内容と照らし合わせてみましょう。
出典:平均年収.JP
アルバイト・パート・派遣の時給相場
調剤事務は正社員以外の求人が多いという特徴があります。
- アルバイト・パート:平均時給約940円
- 派遣:平均時給約1,050円
なお、派遣の場合は時給の幅も広く、時給1,500円~1,800円の求人も数多く存在します。
期間限定の仕事やシフト制の仕事など、働き方が選べることが非正規雇用のメリットであり、派遣で高時給の仕事を選べば正社員より稼げる場合もあります。
調剤事務の給料は安い?他職種との給料比較
「調剤事務は給料が安い」と耳にして不安に思っている方も多いのではないでしょうか。
ここからは、他の事務系の職種と比較して給料に差があるかを確認していきます。
事務職全般との比較
調剤事務は事務職の一種ですが、一般事務など他の事務職全般と比較した場合、給料に違いはあるのでしょうか。
事務職全般の平均年収は332万円となっています。(出典:AG法律アカデミー)
調剤事務の年収の平均は270万~320万円なので、調剤事務は他の事務職全般と比べた際、給料が安いといえるでしょう。
同じ事務職でも、専門的な資格を保有していることが働く条件になる職種は、給料が高くなる傾向にあります。
調剤事務は、無資格で働けることがメリットであると同時に、給料が低くなる要因となっています。
医療事務との比較
調剤事務と同じく、医療関係の事務職として有名なのが医療事務です。
両者を給料や雇用形態などの点から比較していきます。
給料
医療事務の平均年収は250~350万円で調剤事務と大きな違いはありませんが、医療事務に関連する資格を持っていると給料が高くなる場合があります。
(出典:平均年収.JP)
調剤事務と医療事務は、働く場所と仕事内容に違いがあります。
- 調剤事務:薬局、ドラッグストアでの受付、会計、レセプト
- 医療事務:病院、クリニックでの受付、会計、レセプト、クラーク
医療事務には、クラークと呼ばれる文書作成など、医療分野に関する業務が含まれています。
給料自体はあまり変わらないため、限られた業務内容に集中したい方には、調剤事務の方が給料に見合っていると感じるかもしれません。
雇用形態
医療事務に比べて、調剤事務はアルバイト・パートの求人が多い傾向にあります。
そのため、調剤事務の方がライフスタイルに合わせた働き方がしやすいといえます。
ただし、調剤薬局事務の給与相場が低いのは、非正規雇用が多いことも影響しています。
短時間勤務になると給料も変動するため、より多く稼ぎたい方は、正社員雇用を目指す必要があるでしょう。
給料が安くても調剤事務が人気の理由
調剤事務の給料は、医療事務とあまり差はないものの、事務全般に比べると安い傾向にあることがわかりました。
しかし、調剤事務は人気のある職種です。
給料が安くても人気な理由はどこにあるのでしょうか。
未経験・資格なしでもできる
調剤事務は未経験かつ資格がなくてもできる仕事なので、間口が広いのが特徴です。
求人募集も、資格不要である場合が大半です。
「医療関係の仕事に興味はあるけど資格は持っていない」という方はもちろん、ブランクがある方でも安心して復職できる仕事です。
ただ、資格があると給料アップにつながるメリットがあり、未経験の場合は資格を持っている候補者が面接で優遇される可能性もあるため、資格取得は前向きに検討することをおすすめします。
将来性
高齢化社会のなかで、調剤事務は世の中に欠かせない仕事であり、専門職でもあるので比較的安定した仕事だと言われています。
また、調剤事務の勤務先は調剤薬局やドラッグストアなど、全国どこにでもあります。
引越しなどで転職をする場合でも、勤務先を見つけやすいのも魅力です。
働きやすさ
調剤事務はアルバイト・パート・派遣の求人が多いため、さまざまな働き方を選べます。
子育てや介護をしながらの短時間勤務や、少ない日数で働きたいといった、個々のライフスタイルに対応することができます。
残業も少なく、予定を立てやすいといったメリットもあります。
調剤事務での給料アップの方法
調剤事務の仕事に就きたくても、「給料がもっと高くないと無理」「一人暮らしできないのでは?」と不安に思う方もいるでしょう。
そこで覚えておきたいのが、調剤事務の仕事で給料をアップする方法です。ここでは、具体的な方法をいくつか紹介します。
「調剤事務管理士」などの資格取得
資格なしで始められる調剤事務ですが、資格取得によって給料アップを目指せます。
以下が調剤事務の仕事に役立つ代表的な8つの資格です。
- 調剤事務管理士
- 調剤報酬請求事務専門士
- 登録販売者
- 調剤薬局事務検定試験
- 調剤報酬請求事務技能認定
- 調剤事務実務士
- 医療保険調剤報酬事務士
- 調剤薬局事務資格
全体的に取得しやすい資格が多くなっています。
なかでも給料アップにおすすめの資格3つを詳しく紹介します。
調剤事務管理士
調剤薬局で薬剤師をサポートする人材を認定する検定試験です。
処方せん受付や会計、保険レセプトの作成などの事務能力が求められます。
合格率は60%で、独学でもしっかりと対策をすれば、十分取得が可能です。
調剤報酬請求事務専門士
調剤報酬の的確な算定や説明ができるスキルを証明する資格です。
3級から1級までのランクがあり、2級もしくは1級を取得すると、転職や昇給の際に評価されます。
合格率は1級で約20%、2級で約40%と言われており、調剤事務関連の資格のなかでは難易度が高い資格となります。
登録販売者
一般医薬品の販売に必要な専門資格です。
合格率は約40~50%と、調剤事務管理士に比べてやや低めですが、公的資格で信頼度も高い資格です。
求人募集でも「登録販売者歓迎!」という文言が頻繁に使われており、給料アップにもつながります。
また、調剤事務だけでなく、大手ドラッグストアの店長クラスといったキャリアでも有利になる資格なので、将来的なキャリアアップを図りたい方にもおすすめです。
昇給・昇格する
正社員の場合、昇格によって月収が5千円程度変わるのが一般的です。
アルバイト・パートの場合も、勤続年数が長ければ昇給を行っている勤務先も多くあります。
冒頭に挙げた年齢別の平均月収でも、年齢にともなって給料も上がっていることがわかります。
調剤事務は離職率が低い仕事でもあるため、長く続けて昇給・昇格を狙うこともできます。
勤務先を変える
調剤事務の勤務場所は、街の調剤薬局やドラッグストアになりますが、全国チェーンのドラッグストアは個人経営の薬局などと比較して給料が高い傾向にあります。
また、ボーナスや住宅補助などの福利厚生も大手の方が充実している場合が多いようです。
現在の職場でなかなか給料が上がらず悩んでいる方は、転職して仕事先を変えるのも手段の一つです。
調剤事務の給料は比較的安いが給料アップは可能
調剤事務は、平均年収270万~320万円で医療事務とあまり変わりませんが、一般的な事務職よりも低い傾向にあります。
しかし、無資格・未経験でもチャレンジできること、短時間勤務など柔軟な働き方が可能で、安定していることを考えると、人気があるのもうなずけます。
給料アップを目指したい方は、資格を取得して転職・昇給につなげる方法もあります。資格取得は、面接で有利になるなど未経験の方にもメリットがあるので、ぜひ調剤事務の資格取得を前向きに検討してみてください。