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50代薬剤師の平均年収は?年収を上げる方法についても解説

この記事の監修者
藤野紗衣
【資格】
薬剤師

【プロフィール】
ライター。東北大学薬学部卒業後、おもに病院薬剤師として勤務。現在は医療関連のコラムや取材記事の制作に関わる。専門知識を一般の方にわかりやすく伝える記事や働く人を支える記事を書いている。

薬剤師は、給与水準が比較的高い職業であり、経験年数を重ねながら専門性を磨くことで、さらに年収アップをめざしやすくなります。
50代以降は、十分な経験を積んだベテラン薬剤師として、若年層よりも高い給与を得られる可能性があるでしょう。

一方で、現在の職場での給与に不満がある場合、転職は慎重に判断しなければなりません。
収入面でもやりがいの面でも満足できる働き方を実現するには、50代薬剤師の転職市場をふまえた職場選びが重要です。

本記事では、50代薬剤師の平均年収とともに、年収を上げるための方法、転職を考えるうえで知っておきたい求人の現状などを解説します。

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50代薬剤師の年収の相場

50代薬剤師の年収の相場

薬剤師の年収は、経験年数や勤務エリア、職場などによって大きく異なります。
資格の有無や役職による個人差もありますが、ここでは薬剤師全体の平均と比較しながら、50代薬剤師の年収相場を見ていきましょう。

50代の薬剤師と薬剤師全体の平均年収

厚生労働省の「令和5年賃金構造基本統計調査」によると、50代の薬剤師の平均年収は全体平均を大きく上回っています。

所定内給与額 年収
薬剤師全体
(年齢40.3歳、勤続年数7.9年)
38.9万円 577.9万円
50代前半の薬剤師 48万円 690万円
50代後半の薬剤師 47.9万円 723.7万円

50代前半の薬剤師の平均年収は690万円、50代後半では723.7万円です。
薬剤師全体の平均年収577.9万円と比べると、それぞれ112.1万円、145.8万円も多い金額となっていました。

50代になると管理職に就く薬剤師も増えるため、それに比例して平均年収も高くなっていると考えられます。
経験を活かして、新人薬剤師の指導や経営的な視点での業務に多く携われる場合、給与にも反映される可能性があるでしょう。

都道府県別平均年収

50代薬剤師の平均年収を都道府県別にまとめた公的なデータは存在しておらず、正確な数字を示すことは現状困難です。
一般的に、首都圏ほど年収が高いと予想されがちですが、薬剤師の場合はそうとも限りません。
薬剤師の平均年収に地域差が出るのは、需要と供給のバランスによる影響も大きいといえます。

例えば、薬学部が多い首都圏で働く薬剤師と比べたとき、地方都市のほうが高い給与水準となっている場合もあるでしょう。
薬剤師の供給が比較的豊富な首都圏は、市場が飽和状態になりやすいのに対し、人材が不足している都市では、採用活動に対して積極的な傾向にあるためです。
より優秀な薬剤師を獲得するため、好待遇での求人を出す施設も珍しくありません。

ただし、年収は個々の薬剤師の経験や能力、勤務先の経営状況など、エリア以外のさまざまな要素にも左右されることを心に留めておきましょう。

職場別の平均年収

薬剤師の主な職場となるのは、病院、調剤薬局、ドラッグストア、製薬会社です。
50代薬剤師の平均年収を職場別に調査した公的なデータは存在しないものの、一般的には次のような傾向が見られます。

職場 年収の傾向(平均年収との比較)
製薬会社 やや高い
ドラッグストア やや高い
病院 やや低い
調剤薬局 平均程度

製薬会社やドラッグストアに勤める薬剤師は、年収が比較的高くなる可能性があります。
病院勤務の薬剤師の年収はやや低め、調剤薬局では平均的な年収が見込まれるでしょう。

ただし、いずれの職場に勤める場合でも、役職に就いているか否かで年収は大きく異なります。
また、年功序列制度を採用している職場であれば、勤続年数を重ねるごとに給与も増えるのが一般的です。
50代薬剤師は、勤続年数がある程度長くなり、管理職も視野に入るという点で、平均よりも高い年収をめざしやすくなります。

年収に不安な50代薬剤師が忘れてはいけないこと

50代を迎えたことで、薬剤師としての年収や将来の雇用に不安を感じる場面もあるかもしれません。
ただし、自分のキャリアを見つめ直す際には、年収だけでなく、仕事のやりがいや働きやすさにも目を向けることが大切です。

50代薬剤師の方が、年収や将来の不安から働き方を迷ったとき、忘れてはいけないポイントを2つ紹介します。

仕事のやりがいを大切に

役職定年がある職場では多くの場合、50代後半頃を役職定年年齢に定めており、規定の年齢に達すると職位から外されてしまいます。
役職定年を迎えた薬剤師は、年収が少なからず下がり、仕事のモチベーションを保ちにくくなることもあるでしょう。
しかし、役職定年は自分の働き方を見つめ直すチャンスともとらえられます。

管理職の重責から離れた結果、視野が広がり、これまで見えていなかった課題や改善点を発見できるかもしれません。
また、新人薬剤師のサポートや若手管理職の育成など、豊富な経験を活かして新たなやりがいを見つけることも可能です。

職場の円滑な運営や若手人材の育成のため、自分が培ってきた知識や技術を役立てられる喜びは、仕事の満足度を大きく高めます。

長期間働くことができる職場は貴重

50代の薬剤師にとって、大幅な年収アップは難しいとしても、60代、70代まで働き続けられる職場は貴重な存在です。
安定して働き続けられる環境を見つけることは、長期的なキャリアを考えるうえで重要な意味を持ちます。

定年制度がない企業や再雇用制度が充実している企業であれば、年齢をハンデではなく強みに変えて、自分の能力を発揮できるでしょう。
薬剤師を取り巻く環境はつねに変化しており、同じ職場に長く勤める場合でも、継続的な学習によって専門性を磨いていけます。

ただし、どのような働き方を選択するかは最終的に自分次第です。
理想とする薬剤師像や職場に求める譲れない条件、生活スタイルなどさまざまな要素を考慮して、自分にとって最適な環境を見極めてみてください。

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50代薬剤師が年収を上げるには

50代薬剤師が年収を上げるには

薬剤師が50代から年収アップをめざす場合、以下3つの方法が考えられます。

  • さらに上の役職をめざす
  • 副業を行う
  • 難易度は高いが、転職を成功させる

それぞれメリットとデメリットがあるため、自分自身の状況や希望をふまえて、より良い選択肢を検討しましょう。

さらに上の役職をめざす

現在の職場で昇進をめざし、より高いポジションの役職に就くことで、年収を上げられる可能性があります。
自分以外にも多くの薬剤師が在籍する職場では、競争が激しくなりやすいため、自己研鑽を怠ることなく、昇進のチャンスがあれば積極的にアピールしましょう。

日々の業務で着実に成果を積み上げることはもちろん、職場全体の業務品質の維持・向上にも意欲的に取り組んでみてください。
薬学知識だけでなく、医療分野の幅広い知識とマネジメントスキルの習得も欠かせません。

また、現在役職に就いている人とのつながりを持つことも重要です。
経営視点での仕事との向き合い方を学べるとともに、キャリアアップに対する意欲もアピールできるでしょう。

ただし、役職が上がれば責任も重くなります。
希望する働き方と現在の能力を自分のなかで整理して、より高い役職に就く準備ができているかどうかを判断しましょう。

副業を行う

職場で副業が許可されている場合、薬剤師の専門性を活かしてダブルワークを始めるのも一つの選択肢です。
薬剤師の知識や経験を活かせる副業には、次のようなものが挙げられます。

  • 本業の職場とは異なる調剤薬局などでのパート・アルバイト勤務
  • 医療系ライターとしての執筆活動
  • 薬学関連の翻訳業務
  • オンラインでの薬学教育や健康相談

ライターや翻訳の仕事は、パソコンとインターネット環境があれば自宅でできるため、本業との両立がしやすいでしょう。
これらの副業は、単純に収入を増やせるだけでなく、新たなスキルや人脈を獲得する機会にもなります。

職場によっては副業が禁止されている場合もあるほか、管理薬剤師の方だと薬事に関わる副業は原則認められません。
規定をよく確認し、必要に応じて上司などにも相談しておけると安心です。

難易度は高いが、転職を成功させる

現在の職場での収入に不満がある場合、転職をするという選択肢もありますが、50代薬剤師の転職には難しい面もあることを念頭に置いておきましょう。
転職が難しいとされる理由を知るとともに、50代の薬剤師に求められる役割をふまえて職場を選ぶ必要があります。

50代薬剤師の転職が難しい理由

50代薬剤師の転職が難しいとされる第一の理由は、実務経験が豊富な人材は給料も高い傾向にあり、企業にとってはコストの負担が大きくなるためです。
また、採用から定年を迎えるまでが比較的早く、長期的に活躍してもらうことが難しい点も懸念事項となります。
休日出勤や夜勤への対応など、体力面での不安を抱かれることもあるでしょう。

これらの理由から、50代の薬剤師の転職市場は若年層と比べると狭くなる傾向にあります。
採用のチャンスをつかみとるには、自分の強みを活かせる転職先の見極めが必要不可欠です。

50代薬剤師にとって転職しやすい職場

50代薬剤師が転職をめざしやすいのは、中小規模や個人経営の調剤薬局、ドラッグストアなどの実務スキルが評価されやすい職場です。
こうした職場では、年齢を問わず経験豊富な薬剤師が重宝される傾向にあります。
すでに50代の薬剤師が活躍している職場の場合、年齢に関係なく能力を評価する環境が整っていると考えられるでしょう。

また、管理職経験や認定資格を持っている場合、その専門性を活かせる職場を探すのも一案です。
例えば、開設されたばかりの新しい調剤薬局などでは、専門性が高く即戦力となる薬剤師を求めている可能性があります。

50代薬剤師が注目すべき求人の現状

50代薬剤師の転職市場は決して広いとはいえませんが、スキルや経験を重視し、幅広い年齢層の人材を受け入れる職場も存在しています。
転職を成功させるためにも、薬剤師求人の現状を理解しておきましょう。

50代薬剤師は活躍・歓迎されている

上記でも触れたとおり、50代薬剤師がすでに活躍している職場は、ベテラン人材の価値を十分に理解していると考えられます。
即戦力を確保するため、「50歳以上の薬剤師歓迎」「50代の薬剤師活躍中」といった文言を使って求人を出している企業も少なくありません。
求人情報にこうした文言が記載されている職場は、能力を重視し、幅広い年齢層の薬剤師を採用している場合があります。

例えば、高齢の患者さんが多い調剤薬局などでは、50代薬剤師の豊富な経験や落ち着いた対応力が評価される可能性があるでしょう。

定年年齢が高い

転職を考える50代薬剤師にとって、定年年齢が高い、あるいは定年制度がない職場や再雇用制度が充実している職場も有力な選択肢です。
こうした職場では、転職後の長期的なキャリアプランも立てやすく、安定した雇用と収入を確保できます。

転職後に定年まで働ける期間が長いほど、一般的には採用されやすくなるでしょう。
企業側としては、採用した人材がすぐに定年を迎えてしまう事態は避けたく、優秀な薬剤師に長期間働いてほしいと考えているためです。

転職先を探す際は、求人情報や企業のホームページから、定年制度・再雇用制度について確認しておきましょう。
面接などで担当者と直接話せる機会があれば、長期的な雇用の可能性と自分の希望を共有しておくのもおすすめです。

50代薬剤師は年収より長期間働ける職場を大切にしたい

50代の薬剤師がキャリアを考えるうえで、年収だけにこだわって職場を選ぶと、働き方ややりがいに不満が生じてしまう可能性があります。
収入面の満足度はもちろん重要ですが、それと同時に、自分のスキルを活かして長く働ける環境かどうかも忘れてはいけないポイントです。

50代薬剤師の平均年収は薬剤師全体の平均を上回っているものの、職場の評価システムや役職、保有資格などによって個人差があります。
より高い年収をめざす場合、必ずしも転職が最善の選択肢とは限りません。
現在の職場に勤めながら、昇進のために専門性を磨いたり、副業を始めたりといった取り組みも考えられます。

長く活躍できる薬剤師であり続けるには、自分の強みを明確にし、能力が正しく評価される環境に身を置くことが大切です。
その点で、定年年齢が高い、もしくは定年制度がない職場や、再雇用制度が充実している職場への転職は、薬剤師の長期的なキャリア構築につながるでしょう。

即戦力を求めている企業にとって、実務経験の豊富な50代の薬剤師は魅力的な人材です。
60代、そして70代以降のキャリアプランも考慮したうえで、収入面でも精神面でも満足できる働き方を実現させてみてください。

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