
薬剤師として働いている人や、薬剤師をめざしている人のなかには、「薬剤師は年収が低い」といわれるのを耳にしたことがある人も少なくないのではないでしょうか。
そこで今回の記事では、薬剤師の平均年収や「平均年収が低い」といわれてしまう原因などについて解説します。
薬剤師や薬剤師をめざしている人は、最後まで読んでみてください。
目次
薬剤師の年収は低い?一般企業と比較
まず、日本人の平均年収と薬剤師の平均年収を比べてみましょう。
令和2年発表の国税庁による民間給与実態統計調査によると、1年を通じて勤務した給与所得者の平均給与は436万円でした。
一方薬剤師の平均給与は、令和3年賃金構造基本統計調査によると580.5万円であり、日本人の平均給与を150万円近く上回っていることがわかります。
そのため、単純に比較すると薬剤師の年収は「低い」とはいえません。
薬剤師の年収が低いといわれる理由
薬剤師の平均年収は全職種の平均年収よりも高いのにも関わらず、「薬剤師の年収は低い」といわれてしまうのはなぜなのでしょうか。
給料が上がりにくい
薬剤師の給料には、初任給は高いものの、その後昇給しにくいという特徴があります。
その原因は、役職の枠が少ないことや、年次の昇給が少ないことなどです。
薬剤師は役職の枠が少ないため、役職手当が支給されるような役職に就くのが困難です。
特に30~40代で給料が頭打ちとなりやすく、「給料が上がらない」と感じることがあります。
同じ6年制大学を卒業した医師や歯科医師と比較されやすい
薬剤師と同様に6年制大学を卒業することで免許取得をめざせる医療職である医師や歯科医師と比較されることも、「薬剤師は年収が低い」といわれてしまう理由の一つです。
薬剤師、医師、歯科医師はいずれも国家資格ですが、薬剤師の平均年収が580.5万円であるのに対し、医師の平均年収は1378.3万円、歯科医師の平均年収は787.2万円と、薬剤師よりも高いことがわかります。
業種・エリアにより給料に大きな差がある
一口に薬剤師といっても、年収は業種や勤務エリアによって大きく異なります。
なかには良くない条件で働かざるを得ない薬剤師もおり、すべてを平均した結果、低い平均年収となってしまうのです。
学費の割に年収が低く見られる
「学費のわりに見返りが少ない」と感じる薬剤師もいるでしょう。
薬剤師になるための大学では、私立の場合1,000万円以上の学費が必要となります。
また、卒業まで6年間と長い時間も要するため、いざ薬剤師になったときに「かけた金額と時間の割に給料が低い」と感じてしまうのかもしれません。
薬剤師の初任給や、20代の年収について知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。
薬剤師の年収が低いかは職場によっても異なる
働き先によって薬剤師の年収が大きく異なるのは、先述のとおりです。
具体的に、職場による年収の違いを解説します。
調剤薬局
調剤薬局で働く薬剤師の平均年収は、450~700万円です。
若手薬剤師の場合は年収が400万円台であったとしても、その後経験を積み、昇給や管理薬剤師などへのキャリアアップにより、600~700万円程度の年収をめざせます。
病院薬剤師
病院薬剤師の平均年収は、400~650万円です。
病院は他の職場よりも院内薬局としての収益が少ないことが、他業態と比較しての年収の低さに影響していると考えられます。
ドラッグストア
ドラッグストアで働く薬剤師の平均年収は500~700万円です。
なかでも調剤室併設型のドラッグストアは高収入が狙える職場です。
他の職場と比較して年収が高めなのは、業界の店舗展開が急速に拡大し人手不足となっていることや、大手企業が運営しているドラッグストアが多いことなどが影響していると考えられます。
製薬会社
製薬会社で働く薬剤師は、さらに管理薬剤師やMR、研究職、治験コーディネーターなどさまざまな職種に分かれるため、それによっても年収は異なります。
平均すると600~900万円と、他の職場で働く薬剤師より年収が高い傾向です。

他の職場と比較すると、能力に見合った昇給が可能であることが、高い年収につながりやすいといえます。
薬剤師の年収は低いといわれるが、働き方を見直せば年収アップも見込める
今回の記事では、「薬剤師の年収が低い」といわれる理由や年収の実情、職場やエリアなどによる年収の違いを解説しました。
さまざまな理由で「薬剤師の年収は低い」といわれますが、実際には薬剤師の平均年収は日本人の平均年収よりも高いです。
また、職場やエリアによって年収に大きな開きがあるため、年収が頭打ちになって困っている薬剤師でも、働き方を見直すことで大幅な年収アップを狙える可能性もあります。
ぜひ自分のキャリアについて考えてみましょう。