薬剤師は、医薬品全般に関する幅広い知識を持つ薬の専門家です。
調剤・服薬指導・医薬品の販売などに携わり、さまざまな場所で活躍しています。
薬剤師にはどのようなメリットがあるのか、働く場所によってメリットが異なるのか、気になる方もいるのではないでしょうか。
この記事では、薬剤師という仕事のメリット・デメリットをご紹介します。
目次
薬剤師のメリットは?
薬剤師のメリットとして、以下3つが挙げられます。
- 多職種の平均より残業時間が少ない
- 年収が他職種の平均よりも高い傾向にある
- 医療職なのに夜勤がほとんどない
一つずつ解説していきます。
多職種の平均より残業時間が少ない
薬剤師のメリットの一つ目は、多職種の平均より残業時間が少ないことです。
区分 | 所定内実労働時間数(時間) | 超過実労働時間数(時間) |
薬剤師(男女計) | 164 | 9 |
令和4年の賃金構造基本統計調査によると、薬剤師の平均労働時間は164時間、月平均残業時間は9時間でした。
病院の場合、入院患者の急変や医師から指示が出る時間によって残業が発生しやすくなりますが、基本的に9時から18~19時前頃までの勤務です。
職場によっては残業時間が多くなるケースもありますが、一般企業に比べると少ないといえます。
年収が他職種の平均よりも高い傾向にある
二つ目のメリットは、年収が他の職種の平均よりも高い傾向にあるところです。
平均給料・賞与の年額(令和2年) | |
管理薬剤師(保険薬局:法人) | 736万円 |
薬剤師(保険薬局:法人) | 487万円 |
薬剤師(一般診療所:全体) | 742万円 |
薬剤師(一般病院:全体) | 529万円 |
管理薬剤師(同一グループ:1店舗) | 933万円 |
薬剤師(同一グループ:1店舗) | 588万円 |
管理薬剤師(同一グループ:20店舗以上) | 670万円 |
薬剤師(同一グループ:20店舗以上) | 498万円 |
引用元:中医協医療経済実態調査
中医協医療経済実態調査のデータによると、令和4年度の薬剤師の平均年収は、保険薬局(法人)が487万円、一般病院(全体)が529万円です。
令和4年分民間給与実態統計調査によると、一般労働者の平均年収は約458万円なので、一般的な仕事に比べると薬剤師は高収入です。
医療職なのに夜勤が少ない
三つ目のメリットは、医療職なのに夜勤がほとんどないところです。
調剤薬局や24時間営業ではないドラッグストアなどであれば、夜勤はありません。
同じ医療職でも医師・看護師・検査技師などは夜勤があります。
ただし、救急医療を行っている総合病院や24時間営業のドラッグストアでは、薬剤師にも夜間対応が求められる場合もあるので、就業前に確認が必要です。
夜勤がある場合でも、給与面でのメリットがあります。
薬剤師は前述のとおり、ベースの給与水準が高い傾向です。
夜勤では25%深夜割増賃金が加算されるので、給与水準が高い分、割増賃金も高くなります。
働く場所別|薬剤師のメリット
薬剤師の働き方には、大きく分けて以下の4つがあります。
- 調剤薬局で働く
- ドラッグストアで働く
- 病院で働く
- 公務員として働く
調剤薬局で働くメリット
薬剤師が調剤薬局で働くメリットは以下の3つです。
- 店舗数が多いので働く場所を見つけやすい
- 医療機関であり雇用が安定している
- 営業時間が決まっているので残業が少ない
調剤薬局は全国に店舗があり、家の近くに職場を見つけやすいメリットがあります。
高齢化が進み、医療業界へのニーズは今後も伸び続けるでしょう。
在宅医療が進むなか、調剤薬局はかかりつけ薬局としての役割が増すと考えられます。
また、調剤薬局は9時前後から営業を開始し18~19時頃に閉まるところが多いため、プライベートの時間を確保しやすいでしょう。
ドラッグストアで働くメリット
ドラッグストアで働くメリットは以下の3つです。
- 高収入をめざせる
- 自分の判断で薬を提案できる
- コミュニケーション能力が高められる
ドラッグストアは大手企業が経営している場合が多く、給与面に優れた求人が多い傾向にあります。
昇格して高収入をめざせるのも魅力です。
ドラッグストアでは、医師の処方箋なしに扱えるOTC医薬品を販売しています。
患者さんの訴えを聴き、症状に合わせたOTC医薬品を自分の判断で提案できるため、薬剤師としてやりがいを感じられるでしょう。
また、ドラッグストアには幅広い年代のお客さんが訪れます。
そのため治療目的だけでなく、予防・栄養管理・介護などの相談をされることもあり、知識が増えコミュニケーション能力も高まります。
病院で働くメリット
病院で働くメリットは以下の3つです。
- チーム医療に携われる
- 入院から退院まで一貫して患者さんと関われる
- 最先端の医療に関われる
病院薬剤師の役割は、調剤だけではありません。
感染対策チームや栄養サポートチーム、緩和ケアチームなど、医師や看護師をはじめとする医療スタッフと一緒にチーム医療に携わることができ、薬剤師として大きなやりがいを感じられます。
入院から退院まで一貫して患者さんと関わり、服薬指導や投与薬剤のタイムリーな評価を行えるのも病院薬剤師ならではのメリットです。
また、医療現場は常に進歩しており、承認されたばかりの新薬を投与する場合もあります。
新薬の有効性や安全性、相互作用などを調べたり、医師へ提案したりできることは、薬剤師として大きなやりがいにつながります。
公務員として働くメリット
薬剤師が公務員として働くメリットは以下の2つです。
- 退職金などの収入が安定している
- 公務員に準じて福利厚生が充実している
公務員薬剤師は、勤務年数に応じた昇給・退職金制度もあり、一般の薬剤師に比べてもさらに収入が安定しやすい傾向にあります。
薬剤師のデメリット
薬剤師のデメリットは、以下の3点が挙げられます。
- 大手会社だと住居の移動をともなう人事異動がある
- 生涯勉強しなくてはならない
それぞれ解説していきます。
これから薬剤師をめざしている方はぜひ参考にしてみてください。
大手会社だと住居の移動をともなう人事異動がある
大手会社が運営する調剤薬局やドラッグストアは全国展開しており、薬局長・ブロック長・エリア長などの管理職として経験を積める一方で、異動もあります。
住み慣れた場所や家からの引越しは、金銭的にも精神的にも負担です。
加えて、異動した先で患者さんとの信頼関係を新たに築いていく必要にも迫られます。
転勤を希望しない場合は、就職する際に「地域限定勤務希望」の旨を伝えておく必要があります。
「こんなはずではなかった」と後悔しない働き方をするには、あらかじめ就職先の情報収集をすることが大切です。
生涯勉強しなくてはならない
薬剤師は生涯勉強を続けていかなければなりません。
令和3年3月31日現在、厚生労働省の「薬価基準収載品目リスト」に掲載されている医療用医薬品は1万5千程度あり、科学の進歩により、新しい医薬品が次々と開発されています。
患者さんに安全な治療を受けてもらうため、新薬の副作用・他剤との組み合わせ・禁忌など、最新で正確な情報を入手し続けなければなりません。
薬剤師として働くメリットは年々拡大している
医薬品全般に関する知識をもつ薬剤師の資格は一生ものです。
高齢化にともない、薬剤師のニーズは病院から地域密着型の調剤薬局や在宅医療など、多岐にわたっています。
ドラッグストアも全国規模で増えており、今後も薬剤師が活躍できる場は拡大していくでしょう。
薬剤師のやりがいは以下の記事を参考にしてみてください。