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保健師の名称独占とは?業務独占との違いを解説

保健師は、保健所や企業、学校で活躍する健康相談・生活指導のスペシャリストです。
しかし対象者に技術を提供するわけではないため、相談・指導に資格が必要なのかと疑問に思ったことはありませんか。

保健師の名称独占・業務独占について知ると、保健師の業務内容がより明確になります。
本記事では、保健師の名称独占・業務独占とは何なのか、そして保健師の業務について解説します。
保健師への理解を深めて、将来の選択肢を増やしてみてはいかがでしょうか。

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保健師の名称独占とは

保健師の名称独占とは

まず名称独占とは、資格を持たない人がその名称を名乗ってはいけないということです。
名称独占により、社会的な信用を得て、対象者との信頼関係をスムーズに築いたり、被害を未然に防いだりすることが目的です。

相談や指導は資格がなくても行えますが、無資格で保健師と名乗って業務を行うと処罰があります。
平成18年に改正された保健師助産師看護師法によって制定されており、処罰の対象になると、30万円以下の罰金に処するとされています。

次の各号のいずれかに該当する者は、三十万円以下の罰金に処する。
一 第四十二条の三の規定に違反した者

引用元:保健師助産師看護師法 第四十五条の二

保健師でない者は、保健師又はこれに紛らわしい名称を使用してはならない。

引用元:保健師助産師看護師法 第四十二条の三

保健師資格を取得するためには、はじめに看護師資格を取得しなければなりません。
看護師資格を取得後、保健師の受験資格が得られます。
保健師の業務は、相談・指導がメインですが、医療と保健に関する一定知識をあわせ持つことで、「保健師」として名称独占が行えるのです。

名称独占は国家資格を分類する指標の一つ

名称独占は国家資格を分類する指標の一つ

名称独占は、国家資格を分類する指標の一つです。
文部科学省によると、以下で解説する4つに分けられます。
国家資格を分類することによって、それぞれの職種の特徴を理解することができるでしょう。

名称独占資格

名称独占資格とは、資格を持つ人だけが名称を名乗ることができる資格です。
資格を持たない人が業務を行っても問題ありませんが、その名称を名乗って業務を行うことは禁じられ、紛らわしい名称を用いることも違法です。
保健師助産師看護師法によると、名称独占の規定は以下のように記されています。

第四十二条の三 保健師でない者は、保健師又はこれに紛らわしい名称を使用してはならない。

引用元:保健師助産師看護師

例えば、保健師の資格を持たない人が相談を受けたり指導を行ったりしても違法にはなりませんが、保健師と名乗ってそれらを行うことは違法になります。
保健師の場合には、資格を活かして独占的な業務はできませんが、対象者に信頼性が高い情報を提供できるため、名称独占資格を活かした活動が可能です。

業務独占資格

業務独占資格とは、資格を持つ人だけが独占的にその業務に携わることができる資格です。
特定の業務においては、資格保有者でなければ携わることができません。
例えば医師免許を持たない人が医業を行った場合には、「三年以下の懲役若しくは二百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する」と規定されています。

第二十九条 保健師でない者は、保健師又はこれに類似する名称を用いて、第二条に規定する業をしてはならない。

引用元:保健師助産師看護師法

業務独占資格は、無資格で業務を行うことによって、「対象者の健康や財産などが脅かされる恐れがある業種において規定されているもの」と考えるとわかりやすいでしょう。

設置義務資格

設置義務資格とは、特定の事業を行う際に選任・設置する必要がある資格です。
業務独占資格は特定業務を行う際に必要な資格ですが、それに対して設置義務資格は企業が特定事業を行うために必要になる資格です。
文部科学省では以下のように説明しています。

設置義務資格:特定の事業を行う際に法律で設置が義務付けられている資格。

引用元:文部科学省

例えば、50人以上の労働者が働く企業なら「衛生管理者」を設置する義務があります。
食品を扱う企業なら、業務内容によって「食品衛生管理者」が必要です。
業務独占資格は個人に必要な資格、設置義務資格は企業に必要な資格と考えるとわかりやすいでしょう。

技能検定

技能検定というのは、働くうえで必要な技術の習得レベルを評価する国家検定制度です。
技能検定は130職種あり、建築関係から食品関係までさまざまな資格があります。
文部科学省では以下のように説明しています。

技能検定:業務知識や技能などを評価するもの。

引用元:文部科学省

技能検定は、能力に応じて「特級」・「一級」・「二級」・「三級」・「基礎級」が定められていて、合格すると等級を示して「技能士」という名称を用いて仕事ができます
上記した名称独占に近い考え方です。

等級によって受験資格が異なります。
技能の水準を客観的に判断できるため、仕事を任せる際の基準となります。
試験問題は中央職業能力開発協会が作成し、各都道府県が実施をします。

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保健師は名称独占だが業務独占ではない

保健師は名称独占だが業務独占ではない

保健師は名称独占に該当しますが、業務独占には該当しません
資格を持っていない人が業務をしても、処罰されるような問題にはなりません。
この理由として、保健師の主な業務が健康相談・生活指導であることがあげられます。
無資格者が業務を行っても、命や財産に関わるような直接的な被害を与えることがないからです。

しかし「保健師」と名乗って、無資格の人が業務を行うと処罰があります。
資格によって、専門的知識を持っていることの証明になり、社会的な信用が保証され、「相談・指導」がスムーズにできるからです。
一方で医師や看護師、助産師などの医療職は、専門的な知識・技術が必要であるため、名称独占・業務独占どちらにも該当します。

保健師と同じく、介護福祉士も「名称独占だが業務独占ではない」という資格の一つです。
資格がなくても介護に携わることができますが、名称を名乗って業務を行うことは禁じられています。

保健師の仕事として対象外になる業務

保健師の仕事として対象外になる業務

保健師は、上記しているように「健康相談・生活指導」が主な業務です。
助産師も「健康相談・生活指導」を行うため、両者を対比させて確認してみましょう。

保健師 助産師
勤務先 ①保健所や行政関係施設に勤める「行政保健師」
②企業に勤める「産業保健師」
③学校に勤める「学校保健師」
④病院に勤める「病院保健師」
①病院・診療所
②助産所
③産後ケアセンター など
対象者 勤務先で指導の依頼があった方 妊婦やじょく婦(産後間もない女性)、新生児
資格取得の条件 看護師資格保持者 看護師資格保持者
女性

いずれの資格・勤務先においても保健指導を行うことに変わりはありませんが、対象者が妊婦やじょく婦(産後間もない女性)、新生児の場合には、指導の内容が一般の方と異なるため助産師が活躍します。

また助産師・保健師ともに、医療行為を行わない、資格取得に看護師資格が必要である点も類似点ですが、対象者が異なることが大きな違いです。
なお助産師資格においては、現状日本国内では女性に限定されています。

名称独占は資格を持ってないと保健師として名乗れない規制

資格を持っていない人が保健業務を行うことは可能ですが、保健師として名乗ることはできません。
名称独占は国家資格を分類する指標であり、保健師と同じく「名称独占で業務独占にはあたらない」身近な資格として介護福祉士や栄養士があります。

この「名称独占」は専門知識を持っていることの証明であり、対象者との社会的信用・信頼関係構築に役立ちます。
名称独占資格を取得して、スムーズな業務運営に役立ててください。

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執筆者について

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