理学療法士は運動療法や物理療法を用いて、対象者が自立した日常を送れるようにサポートするリハビリテーションのスペシャリストです。
理学療法士として働きたい人のなかには、理学療法士だけで生活を安定させられるか不安な人もいるでしょう。
今回は、理学療法士のダブルライセンスとしておすすめの資格を7つ紹介します。
また、理学療法士がダブルライセンスを持つメリットとデメリットも解説するので、ぜひ参考にしてください。
目次
理学療法士のダブルライセンスとしておすすめのステップアップ資格7選
理学療法士のダブルライセンスとしておすすめの資格は以下の7つです。
- 認定理学療法士
- 専門理学療法士
- 柔道整復師
- 義肢装具士
- 栄養サポートリーム専門療法士
- シーティング・コンサルタント
- JATAC-ATC
ここからは、それぞれの概要や特徴を見ていきましょう。
【専門性を高められる】認定理学療法士
受験資格 | 規定のカリキュラムを受講 |
試験内容 | ・日本理学療法士協会指定研修の講義内容 ・認定必須研修会での講義内容 |
合格率 | ー |
資格の種類 | 日本理学療法士協会認定資格 |
認定理学療法士は、臨床実践分野での専門性をより身につけていることを示せる資格です。
取得により、理学療法士の臨床技術や知識の維持や向上が期待できます。
認定資格を持っていると、より専門性の高い理学療法士として認知されるため、昇給したい場合にもおすすめです。
また、転職時にアピールもできるため、キャリアアップにも活用できるでしょう。
【専門性を高められる】専門理学療法士
受験資格 | ・規定のカリキュラム受講 ・都道府県や全国規模の各学会への参加・発表 ・論文提出 |
試験内容 | 論文の口頭試問 |
合格率 | ー |
資格の種類 | 日本理学療法士協会認定資格 |
専門理学療法士も認定理学療法士と同じく、日本理学療法士協会の認定資格です。
専門理学療法士は、自らの専門性を高める学問的指向性の高い人材育成のために作られました。
専門理学療法士は規定のカリキュラムを受講することはもちろん、学会への参加や発表、論文の提出などを行う必要があります。
認定理学療法士よりも人数が少なく、より希少性の高い資格といえるでしょう。
学会や研究活動に力を入れるため、講師として活躍したい人にもおすすめの資格です。
【信頼性の高い国家資格】柔道整復師
受験資格 | 柔道整復師養成施設で必要な知識と技能を3年以上修得 |
試験内容 | 解剖学、生理学、運動学、病理学概論、衛生学、公衆衛生学、一般臨床医学、外科学概論、整形外科学、リハビリテーション医学、柔道整復理論および関係法規 |
合格率 | 62.9% |
資格の種類 | 国家資格 |
柔道整復師は理学療法士と混同されやすい資格です。
理学療法士が怪我や病気の人に運動療法や物理療法を行うのに対し、柔道整復師は打撲、捻挫、脱臼および骨折などを手技により治療します。
似て非なる資格ですが、両方の資格を持っていれば、リハビリテーションだけではなく、怪我の治療もできるので便利です。
国家資格である柔道整復師は養成施設で3年以上学ぶ必要があるため、容易に取得できる資格とはいえません。
しかし、国家試験に合格すると柔道整復師として開業する資格も得られます。
【信頼性の高い国家資格】義肢装具士
受験資格 | 義肢装具士養成施設で必要な知識と技能を3年以上修得 |
試験内容 | 臨床医学大要、義肢装具工学、義肢装具材料学、義肢装具生体力学、義肢装具採型・採寸学および義肢装具適合学など |
合格率 | 68.5% |
資格の種類 | 国家資格 |
義肢装具士は、身体の一部や機能を失った人のために、医師の指示に基づいて義肢装具を製作します。
具体的には装着部位の採型や採寸、製作を担い、身体への適合を確認します。
理学療法士のリハビリテーションの知識と義肢装具士の知識を持っていれば、制度の高い義肢装具を製作できるのがメリットです。
また、リハビリの際に義肢装具士としての観点からアドバイスができるようになり、より患者さんの気持ちに寄り添えるでしょう。
職場によっては資格手当がつき、収入がアップする可能性もあります。
【リハビリに特化】栄養サポートチーム専門療法士
受験資格 | ・管理栄養士、看護師、薬剤師、臨床検査技師、言語聴覚士、理学療法士、作業療法士、歯科衛生士、診療放射線技師の国家資格を有する ・医療・福祉施設に5年以上勤務し、栄養サポートの業務に従事 ・学会・研究会へ規定の回数参加 ・認定施設で40時間の実地修練を修了 |
試験内容 | 日本臨床栄養代謝学会の『静脈経腸栄養テキストブック』に準拠 |
合格率 | ー |
資格の種類 | 日本臨床栄養代謝学会認定資格 |
栄養サポートチーム専門療法士はNST専門療法士とも呼ばれており、栄養管理のスペシャリストです。
特定の国家資格を有している人にのみ受験資格があり、理学療法士も含まれています。
栄養サポートチーム専門療法士は、栄養管理を行う医療チームの中心として活躍することが期待されます。
理学療法士として活動する際にも、栄養管理の観点でアドバイスできるのがメリットです。
【リハビリに特化】シーティング・コンサルタント
受験資格 | 理学療法士、作業療法士、医師、看護師、言語聴覚士、義肢装具士、介護福祉士 |
試験内容 | 基礎知識、実技、シーティング・シンポジウムでの発表または事例検討会での事例提出など |
合格率 | ー |
資格の種類 | NPO法人日本シーティング・コンサルタント協会認定資格 |
患者さんが適切に座れる姿勢に調整し、二次的障害の予防や心身機能の改善を促します。
限られた資格の持ち主に受験資格があり、理学療法士もその対象です。
リハビリテーションと車いすは深い関わりがあるため、取得することでより患者さんのメリットに資する活動が行えるようになるでしょう。
【スポーツに特化】JATAC-ATC
資格要件 | 1.NATA認定トレーナー、日本体育協会認定アスレチック・トレーナーの資格
2.柔道整復師、理学療法士、鍼灸師、作業療法士、看護師、保健師、助産師、救急救命士、あん摩マッサージ指圧師、カイロプラクター、栄養士、薬剤師、養護教諭のいずれかの資格をもち、かつ協会の通信教育講座で認定する単位を取得 3. 2年制以上の専門学校や大学でスポーツ科学系のコースを卒業し、協会が認定する単位を取得 1,2,3のいずれかに該当 |
試験内容 | 研修会の参加 |
合格率 | ー |
資格の種類 | 特定非営利活動法人ジャパン・アスレチック・トレーナーズ協会認定資格 |
JATAC-ATCは、さまざまなスポーツを医療面や予防面からサポートするスペシャリストであることを示します。
JATAC-ATCを取得すれば、スポーツの特性を理解することにつながるため、理学療法士としてもスポーツ選手などの怪我予防に対応できます。
JATAC-ATCには厳しい受験資格がありますが、理学療法士の資格を持っていれば受験資格として認められます。
理学療法士の資格をより詳しく知りたい方は、次の記事を参考にしてください。
ダブルライセンスは理学療法士のスキルを高めてから取得するのがおすすめ
ダブルライセンスとは、複数の資格を持つということです。
ダブルライセンスの目的は、キャリアアップや転職、知識・技術の向上など人それぞれですが、もともとある資格を活かせる資格を選ぶことが大切です。
ここからは、理学療法士がダブルライセンスを取得するメリットとデメリットを紹介します。
ダブルライセンスのメリット
理学療法士のなかには、ダブルライセンスで活躍の場を広げている人もいます。
ダブルライセンスのメリットは、キャリアアップや転職の際にアピールポイントになることです。
同じ資格を持った人がいるなかで複数の資格を持っていれば、自分と他人を差別化するのに役立つでしょう。
また、1つの資格のみを持っている人に比べて、知識や技術に対する信用につながります。
ただし、理学療法士に関係のない資格を持っていても信用にはつながらないため、資格選びは慎重に行いましょう。
ダブルライセンスのデメリット
ダブルライセンスのデメリットは、費用と時間がかかることです。
資格によっては養成学校に通わなければならず、年単位で費用がかかります。
また、資格取得のためには勉強しなければならず、理学療法士として働きながら時間を確保する必要があるでしょう。
他にも、資格の種類によっては十分に現状の仕事に活かせない可能性もあります。
関連している資格だったとしても、その職場によっては資格手当に対応していない場合もあるでしょう。
資格の勉強を始める前に、理学療法士の仕事に活かせるかをあらかじめ確認しておく必要があります。
ダブルライセンス取得で理学療法士のキャリアップをめざそう
理学療法士はリハビリテーションのスペシャリストとして活躍できる資格です。
単独の資格でも理学療法士として働けますが、ダブルライセンスを取得すれば、さらに活躍の場が広がります。
また、同じように理学療法士の資格を持っている人との差別化にもなり、昇給や転職で有利になる可能性もあるでしょう。
スキルアップのためにも、ぜひ自分にぴったりな資格を探してみてください。