理学療法士は、病気やケガ、高齢や障がいによって運動機能が低下している人に対して、治療を行う仕事です。
治療方法には、主に運動や温熱、電気、水、光線などが用いられますが、マッサージは可能なのか気になる人もいるでしょう。
この記事では、理学療法士が治療でマッサージを行えるのかを解説します。
その他のマッサージ資格との違いも解説しているので、参考にしてください。
目次
理学療法士はマッサージをしても良い?
そもそも治療目的でマッサージを行うためには、マッサージに関する資格が必要です。
ここでは、国家資格である理学療法士が治療でマッサージを行っても良いのかを解説します。
医師の指示のもとなら違法ではない
結論からいうと、理学療法士は医師の指導のもとであればマッサージを行っても違法にはなりません。
実際に、理学療法士及び作業療法士法の第二条では、マッサージを治療手段に用いる旨が明記されています。
第二条 この法律で「理学療法」とは、身体に障害のある者に対し、主としてその基本的動作能力の回復を図るため、治療体操その他の運動を行なわせ、及び電気刺激、マツサージ、温熱その他の物理的手段を加えることをいう。
(引用元:○理学療法士及び作業療法士法)
つまり、マッサージは理学療法士の治療法として、法律で認められている行為です。
また、第十五条では病院や診療所において、医師の指示を行う際はマッサージ師の資格を規定する法律を適用しない旨も記載されています。
2 理学療法士が、病院若しくは診療所において、又は医師の具体的な指示を受けて、理学療法として行なうマツサージについては、あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律(昭和二十二年法律第二百十七号)第一条の規定は、適用しない。
(引用元:○理学療法士及び作業療法士法)
ただし、法律の条文上でも「医師の具体的な指示を受けて」と記載があるとおり、独自の判断でマッサージを行うことは違法であるため注意しましょう。
マッサージを看板に掲げての開業は違法
理学療法士がマッサージを行えるのは、あくまで医師の指示のもとでとなります。
そのため、マッサージを看板に掲げての開業は違法です。
医師以外がマッサージを仕事にするには、あん摩マッサージ指圧師免許、はり師免許またはきゅう師免許を受ける必要があると、法律に明記されています。
第一条 医師以外の者で、あん摩、マツサージ若しくは指圧、はり又はきゆうを業としようとする者は、それぞれ、あん摩マツサージ指圧師免許、はり師免許又はきゆう師免許(以下免許という。)を受けなければならない。
(引用:昭和二十二年法律第二百十七号 あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律)
したがって、理学療法士の資格だけでは、マッサージ店を開業することはできません。
理学療法士(リハビリ目的)と他のマッサージ資格の違い
マッサージによる治療法で開業するためには、法律により理学療法士以外の資格が必要です。
ここでは、理学療法士の資格と他のマッサージ資格の違いを解説します。
あん摩マッサージ指圧師との違い
あん摩マッサージ指圧師と理学療法士の違いは、治療に対する専門性です。
理学療法士は患者さんの運動機能向上のために、医師の指導のもとマッサージを含めた運動療法や物理療法を施します。
一方、あん摩マッサージ指圧師の場合は、あん摩やマッサージの手技を用いて、不調を改善するスペシャリストです。
専門職として法律で認められているので、医師の指示がなくても独断でマッサージを行うことができます。
理学療法士にとって、マッサージは数ある治療法の一つですが、あん摩マッサージ指圧師はあん摩やマッサージを駆使して患者さんの治療を行います。
柔道整復師との違い
柔道整復師も、理学療法士同様に国家資格の一種です。
ただし、理学療法士がリハビリを目的としてさまざまな治療を行うのに対し、柔道整復師は骨折や脱臼、打撲などのケガに対して整復や固定といった応急的な治療を行います。
これらの治療は、柔道整復師の資格を持っている場合、医師の許可なく実施可能です。
また、柔道整復師は、接骨院や整骨院の開業権も持っているので、技術を身につけ将来的に独立もめざせます。
理学療法士はマッサージを治療手段として行うことができる
今回は理学療法士のマッサージを解説しました。
理学療法士は医師の指示下であれば、治療手段としてマッサージを行うことが可能です。
マッサージには、軽摩法をはじめさまざまな手技があり、手技によって期待される効果も変わります。
覚えておくと理学療法の現場でも大いに役立つ可能性が高いです。
治療手段としてマッサージを覚え、患者さんのリハビリに貢献できる理学療法士をめざしましょう。
なお、理学療法士の難易度についてはこちらで紹介しています。
ぜひ参考にしてください。