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チーム医療における理学療法士の役割は?チーム医療にとって大切なことも解説

この記事の監修者
蔵重雄基
広島大学医学部保健学科理学療法学専攻を卒業後、介護施設や整形外科クリニックに勤務。 介護予防の講師や県の地域リハビリ推進のための委員も行っている。
理学療法士と並行してライターとしても活動。 医療や介護分野での経験を活かし、さまざまなメディアに執筆中。

チーム医療は、さまざまな医療専門職が協力して患者さんの治療にあたる、重要な医療形態です。
そのなかで理学療法士は、独自の専門性を活かしながら他の職種と連携し、患者さんの回復を支援する重要な役割を担っています。

本記事では、チーム医療の理学療法士の具体的な役割と、効果的なチーム医療を実践するために大切なポイントについて解説します。
理学療法士をめざす方や、チーム医療に関心のある理学療法士にとって参考になる内容となっていますので、ぜひ最後までお読みください。

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チーム医療における理学療法士の役割

チーム医療における理学療法士の役割

チーム医療において、理学療法士は理学療法の専門家として、患者さんの機能回復を支援するのが役割です。
ここでは、理学療法士がチーム医療のなかで担う主な役割について、具体的に説明していきます。
患者さんの状態評価から、他職種との連携、そして在宅リハビリテーションまで、理学療法士の幅広い活動範囲を紹介します。

患者さんの状態を詳細に観察・評価

リハビリを担当する理学療法士は、患者さんと長時間にわたって個別に関わる機会が多いため、他の職種よりも細かく患者さんの状態を観察・評価ができます。
リハビリテーション専門職として、患者さんの筋肉や関節の動き、心肺機能などの身体機能、さらには基本的な動作(立つ、歩くなど)から生活環境までを、総合的に評価が可能です。

このような詳細な観察・評価の結果は、チーム医療において他の職種と共有され、治療内容に反映されます。
理学療法士の専門的な視点から得られた情報は、患者さんの回復過程を把握し、適切な治療方針を立てるうえで非常に重要な役割を果たすのです。

患者さんの機能回復の支援

理学療法士は、運動療法や物理療法(電気・熱などの物理的刺激を用いた治療)を通じて、患者さんの心身機能の回復を支援します。
運動や動作の専門家として、日常生活に必要な基本動作の回復に焦点を当てたリハビリを行うのが特徴です。
例えば、麻痺があり起き上がりや寝返りができなくなった患者さんに、運動や電気刺激などで麻痺の回復を促しながら、目標とする動作の練習をして、失われた動作を回復させます。

また、嚥下(えんげ)機能や呼吸機能など、さまざまな身体機能の回復においても、チーム医療のなかで専門的な役割を担います。
例えば、嚥下障害のある患者さんに対しては、言語聴覚士と連携しながら、姿勢調整や呼吸訓練などを通じて嚥下機能改善をサポートするのも理学療法士の役割です。

チームメンバーとの連携・協働

理学療法士は、医師や看護師をはじめとするチームメンバーと密接に連携・協働しながら、患者さんの治療にあたります。
リハビリテーションや動作の専門家としての患者さんの評価や、実際に行ったリハビリの内容をチームメンバーに伝え、それぞれの専門職が意見を出し合うことで、より質の高いリハビリサービスの提供につなげていきます。

連携・協働する職種は、理学療法士が関わる現場の状況によってさまざまです。
例えば、回復期の現場では主に医師や看護師、他のリハビリ専門職との連携が中心となりますが、生活期の現場では、それらに加えてケアマネジャーや介護士との連携・協働も重要になってきます。
患者さんの状態や治療段階に応じて、適切な職種と連携しながら最適な治療を提供していくのです。

患者さん・ご家族への情報提供・相談対応

患者さんやそのご家族からリハビリテーションに関する悩みや相談を受けた際、適切な情報提供を行うのも理学療法士の役割です。

特に、在宅生活でできるだけ自立した生活をめざす患者さんには、リハビリとともに、介助者の負担を軽減するための、ご家族に対しての適切な介助方法の指導も並行して行います。
例えば、ベッドから車椅子への移乗方法や、自宅でできる簡単な運動方法などを具体的に説明し、実践的なアドバイスを提供します。

情報提供や相談対応を通じて、患者さんとそのご家族の生活の質向上を支援するのも、理学療法士の重要な役割の一つです。

チーム医療の推進・改善

リハビリテーション専門職の立場から、チーム医療の推進と改善に貢献するのも、理学療法士の大切な役割です。
自身の専門分野で気付いた点を他職種に伝え、各専門職の強みを最大限に活かせるようサポートします。

具体例として、褥瘡(じょくそう)対策のチーム医療で、理学療法士はポジショニングや体位変換の方法について看護師や介護士に指導を行います。
これにより、チーム全体で適切なアプローチができるよう促進するのです。
このような取り組みを通じて、チーム医療の質を向上させ、患者さんにとってより効果的な治療の提供が可能となります。

福祉用具の選定・指導

理学療法士は、運動や動作に関する専門的な知識を活かし、患者さんの残存機能を最大限に引き出すための、適切な福祉用具の選定や使用方法の指導も行います。

例えば、患者さんの痛みを軽減しつつ安全な歩行をサポートするための、杖などの歩行補助具の提案です。
また、適切な車椅子やクッションの選択をサポートすることで、褥瘡予防や介護者の負担軽減にも貢献します。

福祉用具の専門家としての役割も、理学療法士のチーム医療の重要な責務の一つです。
患者さんの生活の質向上と、介護者の負担軽減の両面から、適切な福祉用具の活用を促進していきます。

在宅リハビリテーションへの支援

理学療法士は、訪問リハビリなどの在宅でのリハビリテーション支援も行います。
在宅リハビリテーションでは、訪問看護や訪問診療などの他の在宅サービスと連携し、チーム医療を提供します。

在宅リハビリテーションの大きな利点は、患者さんの実際の生活環境で必要な動作を直接評価し、その場で適切な指導ができることです。
例えば、自宅での入浴動作や階段の昇降など、施設内では再現が難しい動作も、実際の環境で評価し、改善のためのアプローチを行うことができます。

このように、理学療法士は在宅という特殊な環境下でも、他の医療・介護サービスと連携しながら、患者さんの生活機能の向上を支援する重要な役割を担っています。

チーム医療を行う理学療法士にとって大切なこと

チーム医療において理学療法士が効果的に役割を果たすためには、いくつかの重要なポイントがあります。
まず、チームのなかで理学療法士として必要な役割を正確に理解し、責任を持って遂行することが大切です。
理学療法士は、作業療法士などの他のリハビリテーション専門職とともに、患者さんに質の高いリハビリを提供できるよう、自身の専門性を最大限に発揮する必要があります。

また、医療従事者間の連携と信頼関係の構築も非常に重要です。
チーム医療では、医師や看護師、管理栄養士など、理学療法士以外にも多くの専門職が協働します。
それぞれの専門職が独自の視点で得た情報を、チーム内で円滑に共有していくことが求められます。

こうした連携をスムーズに行うためには、他職種を尊重し、お互いの専門性を重視し合う、フラットな信頼関係を築くことが不可欠です。
理学療法士は、自身の専門性を活かしつつ、他職種の意見にも耳を傾け、患者さんにとって最善の治療方針をともに考えていく姿勢が大切です。

理学療法士のチーム医療における役割を理解して他職種との連携を図ろう

チーム医療の理学療法士の役割は、患者さんの状態を詳細に観察・評価し、機能回復を支援することから始まります。
さらに、チームメンバーとの密接な連携・協働から患者さんやご家族への情報提供・相談、チーム医療の推進・改善、福祉用具の選定・指導、そして在宅リハビリテーションへの支援まで、役割は多岐にわたります。

これらの役割を効果的に果たすためには、理学療法士としての専門性を発揮しつつ、他職種との信頼関係を構築し、円滑なコミュニケーションを図ることが重要です。
患者さん中心の医療を実現するために、理学療法士には自身の役割を十分に理解し、多職種との連携を積極的に進めていくことが求められます。
これにより、より質の高いチーム医療の実現と、患者さんの生活の質向上が叶うのです。

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