
栄養士の面接では、どのような質問が出るのでしょうか。
新卒の場合と転職の場合で、よく聞かれる質問とそれに対する回答例をまとめました。
面接で好印象を与えるための、逆質問例や準備すべきことについても解説します。
事前に入念に対策し、自信を持って面接に臨みましょう。
目次
栄養士の面接での質問と回答例
栄養士の面接では、志望動機や学生時代に力を入れたことなど、さまざまな質問をされることが予想されます。
新卒の場合と転職の場合に分けて、よく聞かれる質問と回答例を見ていきましょう。
回答のポイントもあわせて解説するので、参考にしてください。
新卒の場合
新卒の栄養士の面接では、これまでの経験や将来のビジョンについて聞かれることが多いです。
- この職場を志望した理由
- 栄養士になろうと思ったきっかけ
- 学生時代に注力したこと
- 長所、短所
- 苦手な人がいたときの関わり方
- どのような栄養士になりたいか
自分の強みを活かせる職場であることをアピールしましょう。
Q.この職場を志望した理由を教えてください
栄養士を志望する理由の例として、以下のような回答があります。
貴施設は地域に根差した食育活動に力を入れており、私がめざす栄養士像と合致しているからです。
学生時代に、地域の子ども食堂でボランティア活動をした経験から、食を通して地域に貢献したいと考えるようになりました。
貴施設で働くことで、その想いを実現できると感じ、志望しました。
志望理由を伝える際のポイントは、以下のとおりです。
【ポイント】
- 志望先の特徴を踏まえたうえで、自分の価値観とのマッチングを伝える
- エピソードを交えながら、具体的な想いを述べる
Q.栄養士になろうと思ったきっかけはなんですか
栄養士になろうと思ったきっかけに対する回答例は、以下のような内容が挙げられます。
高校生の頃、祖母が病気で食事制限をしていた際に、食事が原因で体調を崩したことがありました。
そのとき、適切な食事指導の大切さを実感したことが、栄養士をめざすようになったきっかけです。
大学では栄養学を学びながら、病院や高齢者施設で実習を重ね、栄養士としてのスキルを磨いてきました。
また、この回答におけるポイントは以下の点です。
【ポイント】
- なぜ栄養士をめざしたのかを、具体的なエピソードを交えて説明する
- 栄養士をめざしてからの努力や経験についても触れると好印象
Q.学生時代に注力したことは何ですか
学生時代に注力したことは、面接でよく聞かれる質問です。
回答例とポイントを参考にしてみてください。
学生時代に注力したのは、栄養学の知識と実践の両面でのスキルアップです。
管理栄養士の資格取得をめざして勉強し、子ども食堂でボランティア活動を行いました。
また、栄養学サークルでのイベント企画を通じてプレゼンテーションやコミュニケーション能力も向上しました。
これらの経験を活かし、栄養士として多くの人々に健康的な食生活を提供していきたいです。
【ポイント】
- サークルやボランティア活動など、栄養士としてのスキルにつながる経験を取り上げる
- どのような学びがあったのかを具体的に説明する
- チームワークや責任感など、社会人としても必要な力を身につけたことをアピールする
Q.長所と短所を教えてください
長所と短所を伝える際の例文は、以下のとおりです。
長所は何事にも粘り強く取り組むところです。
学生時代の研究では、何度も失敗を重ねながらも、最後までやり遂げることができました。
短所は、完璧主義のあまり時間がかかってしまうことです。
優先順位を見極め、効率的に業務を進められるよう改善しています。
以下のポイントを踏まえて、栄養士としての適正につながる回答を意識してみましょう。
【ポイント】
- 長所は具体的なエピソードを交えて説得力を持たせる
- 短所は自己分析したうえで、改善策も添えて話す
Q.苦手な人がいた場合どのように関わりますか
一見難しそうな質問ですが、回答例として、以下のような内容が挙げられます。
苦手な人であっても、相手の立場に立って考え、理解を深めるよう心がけます。
学生時代、初対面では苦手意識を持ったゼミ仲間とも、何度も話し合ううちに、次第に打ち解けることができました。
お互いの良いところを認め合い、助け合える関係を築けるよう、コミュニケーションを大切にしていきたいです。
ネガティブな回答にならないように、以下のポイントをおさえておくと良いでしょう。
【ポイント】
- 相手の良い面を見つけ、理解しようと努力することを伝える
- コミュニケーションを大切にし、信頼関係を築いていく姿勢を見せる
Q.どのような栄養士になりたいですか
この質問は、面接でよく聞かれる質問の一つです。
以下の回答例を参考にして、栄養士としての理想像を伝えましょう。
患者さんに寄り添い、QOLの向上に貢献できる栄養士になりたいです。
食事は健康の基盤であると同時に、生きる喜びにもつながります。
一人ひとりに合わせたきめ細やかな栄養指導を行い、患者さんが笑顔で食事を楽しめるようサポートしていきたいと考えています。
この質問におけるポイントは、以下のとおりです。
【ポイント】
- 自身の栄養士像を明確に持ち、熱意を込めて伝える
- 患者さんの気持ちを考え、寄り添う姿勢を見せる
- 組織の一員として、チームと協力して働く意欲も示す
転職の場合
経験者の転職面接では、前職での経験や今後の目標などがポイントになります。
自らの職歴をしっかりと振り返り、この先のキャリアについてのビジョンを持って面接に臨みましょう。
よく出る質問にはこのようなものがあります。
- 前職の退職理由
- 調理経験の有無
- 栄養士として課題にぶつかったときの対処法
- 栄養士として働くなかでのやりがい
- 他に受けている就職先
Q.前職の退職理由はなんですか
前職の退職理由を聞かれた際の回答例として、以下のような内容があります。
前職では、病院栄養士として食事管理や栄養指導に携わっていました。
一通りの経験を積んだところで、次のステップとして、高齢者施設で働きたいと考えるようになりました。
高齢者の栄養管理には介護の視点も必要です。
貴施設で、介護スタッフと連携しながら働くなかで、さらに成長したいと思い、転職を決意しました。
前職の退職理由を伝える際のポイントは、以下のとおりです。
【ポイント】
- 転職理由を明確に説明し、前向きな姿勢を見せる
- これまでの経験を活かして、さらにステップアップしたい想いを伝える
- 転職先の特徴を踏まえつつ、自身のめざす栄養士像とリンクさせる
Q.調理経験はありますか
調理経験を問われた際は、以下のような回答例が挙げられます。
前職の病院では、700食分の給食調理に携わっていました。
バランスのとれた献立の考案や、衛生管理にも注意を払ってきました。
また、料理教室の講師役も務め、家庭でも作りやすいレシピ提案を行った経験があります。
調理の楽しさを伝えることで、食への興味を引き出せるよう工夫してきました。
また、この回答におけるポイントは以下の3点です。
【ポイント】
- 大量調理の経験があれば、スケールメリットを出せることをアピール
- 安全面への配慮や、バランス献立のスキルについても触れる
- 調理経験を他の業務に活かした例があれば、具体的に説明する
Q.栄養士として課題にぶつかったときどのように対処しますか
面接でよく聞かれる質問の一つとして、課題にぶつかったときの対処法があります。
以下の回答例やポイントを参考にしてみてください。
まずは、先輩方や他職種の方にも相談して、客観的な視点からアドバイスをいただくようにしています。
前職の病院時代、とろみ剤の使用量がなかなか定まらないケースがあったため、看護師長から意見を聞き、患者さんの嚥下状態をこまめに確認しながら、何度も試行錯誤を重ねました。
最適な使用量とタイミングを見出せたときには、達成感を味わうことができました。
【ポイント】
- 一人で抱え込まず、周囲に助言を求める姿勢を見せる
- 困難な課題にも諦めずに取り組んだ経験を引用する
- 粘り強く解決策を導いた例を挙げ、課題解決力をアピールする
Q.栄養士として働くなかでのやりがいは何ですか
栄養士としてのやりがいを伝える際の例文は、以下のとおりです。
患者さんから「おいしかった」と言っていただいたときが、何よりうれしい瞬間です。
特に食欲不振の方が、栄養指導を通じて食事をしっかり召し上がれるようになったときは、やりがいを感じます。
前職の病院では、ミキサー食から軟菜食へステップアップできた患者さんが、「これなら食べ続けられる」と喜んでくださったことがありました。
食事が回復につながり、笑顔が見られたときの充実感は忘れられません。栄養士の仕事冥利に尽きる瞬間だと思います。
以下のポイントを踏まえて、自分なりのやりがいを伝えましょう。
【ポイント】
- 患者さんの回復につながった具体例を挙げ、医療への貢献を実感できる点を強調する
- 「食べる喜び」を引き出せた経験談を添えることで、使命感や人間性をアピールできる
Q.他にも受けている就職先はありますか
この質問は、志望意欲の強さを確認するためによく聞かれます。
以下のような回答例やポイントを参考に、志望度の高さをアピールすると良いでしょう。
医療系の転職サイトを活用し、病院や高齢者施設など、いくつかの求人に応募しています。
そのなかでも、貴施設は地域連携や多職種協働に力を入れている点に魅力を感じました。
チームの一員として、これまでの経験を活かしつつ、新しい視点も吸収できる環境だと感じています。
給与面の条件も拝見させていただきましたが、私にとってはやりがいを感じられる職場であることが何より重要です。
ぜひこちらで働かせていただきたいと考えております。
【ポイント】
- 正直に答えつつ、詳細すべてを伝える必要はない。
例えば、他にも数社受けているが詳細は控えたいと伝える。 - なるべく業界や職種を揃えて答える。
同じ栄養士関連の企業を受けていることを伝えると、一貫したキャリア志向が示せる。 - 「御社で働きたい」という強い意志を明確に伝える。
栄養士の面接における逆質問の例
面接の最後に「何か質問はありますか?」と聞かれた際は、以下のような逆質問をしてみましょう。
・御社で働くうえで必要なスキルは何ですか?
・チームワークを大切にしている点が魅力的です。職場の雰囲気を教えてください。
・入社後の教育体制について教えてください。
・栄養士が患者さんやご家族とコミュニケーションを取る機会はありますか?
・今後、栄養部門ではどのような取り組みを強化していく予定ですか?
企業理念への共感や、仕事への熱意をアピールできる質問が好印象です。
一方、給与や休暇など待遇面を重視しすぎる質問は控えめにしましょう。
初対面の面接では、「御社に入社できたらどのような働き方をしたいか」など、前向きな姿勢を見せることが大切です。
栄養士の面接に向けて準備すべきこと
面接当日は、以下の持ち物や身だしなみをチェックしておきましょう。
事前の準備を怠らず、自信を持って面接に臨むことが合格への近道です。
持ち物
面接では、以下の持ち物を用意しておきましょう。
- 履歴書・職務経歴書(予備も含めて複数部)
- 資格証明書類(管理栄養士免許証、栄養士免許証など)
- 健康診断書
- 筆記用具
- ポートフォリオ(過去の実績や作品例をまとめたもの)
- 印鑑
- メモ帳
- 電卓
面接の前日には、必要な書類がすべて揃っているか確認することが大切です。
履歴書などの重要な書類は、予備も含めて複数部用意しておくと安心でしょう。
また、メモ帳や電卓は、管理栄養士・栄養士としての実務経験をアピールする小道具にもなります。
資格証明書や健康診断書は、コピーでも構いませんが、提出を求められた際に速やかに対応できるよう準備を整えましょう。
身だしなみ
管理栄養士・栄養士は、食のサポートを行う専門職です。
細部まで清潔感が求められる職業だといえます。
身だしなみとして、「清潔感」「機能性」「調和性」の3原則を意識しましょう。
面接時は、服装だけでなく、髪型や爪、靴なども含めてトータルでチェックする必要があります。
また、動きやすさなど機能性も大切なポイントです。
注意すべき身だしなみのポイントは以下のとおりです。
- 清潔感のある服装(スーツやブラウス、ジャケットスタイルなど)
- 髪は清潔にまとめる(長い場合は束ねる、前髪は目にかからない程度に整える)
- アクセサリーは最小限に
- 爪は短く切り、マニキュアは避ける
- 靴は履き慣れたものを履く
面接先の施設の雰囲気に合わせた服の色や髪型を選ぶことで、「この人なら職場に溶け込める」と好印象を与えられます。
事前に職場の様子をリサーチし、相手に合わせた身だしなみを心がけましょう。
栄養士の面接で注意したいマナー
面接当日は、以下のようなマナーを意識しましょう。
- 面接開始の5~10分前に到着するのが理想です。
余裕を持って行動することで、落ち着いた状態で面接に臨めます。 - コートを着ている場合は、面接会場に入る前に脱いでおきましょう。
上着を着たままだと、面接への心構えが不十分だと思われるかもしれません。 - 控室に通された際は、スマートフォンを触るのは控えめにしましょう。
集中力が欠けている印象を与えないよう注意が必要です。
オンライン面接の場合は、接続トラブルなどにも備える必要があります。
事前に通信環境を整え、機器の動作確認を行っておくことが大切です。
カメラ越しでも、姿勢や表情は伝わるため、リラックスして臨めるよう、十分な準備を心がけましょう。
栄養士の面接は質問を想定した事前対策が大切
栄養士の面接では、管理栄養士や栄養士としての適性を見極めるための質問が問われます。
新卒の場合は志望動機や自己PR、転職の場合は前職での実績や転職理由が問われることがあります。
回答する際のポイントを意識しながら、学生時代の経験や、めざす栄養士像を掘り下げて答えましょう。
面接の最後には、逆質問をする機会もあるため、応募企業への志望意欲や、関心の高さをアピールできる質問を考えておくことが大切です。
また、服装や持ち物、身だしなみにも気を配り、好印象を与えられるよう入念に準備しておくと良いでしょう。