総合トップ 情報かる・ける > 職種・資格について > 管理栄養士 > 管理栄養士と調理師の違いは?資格・業務内容・待遇をそれぞれ解説
情報 かる・ける

管理栄養士と調理師の違いは?資格・業務内容・待遇をそれぞれ解説

管理栄養士と調理師は、どちらも食に関する国家資格 となっています。
将来食品や調理系の仕事に就きたいと考えている場合、 どっちが難しいのか、どっちを取得したほうが就職で有利になるのか、気になる方もいるでしょう。

この記事では、管理栄養士や調理師の資格取得方法と、職場や年収の違いについて詳しく紹介します。
ダブルライセンスを取得するメリット・デメリットにも触れているので、両方取得することを考えている方も参考にしてみてください。

管理栄養士の求人を探す

管理栄養士と調理師を比較

管理栄養士と調理師を比較

管理栄養士と調理師は、資格を持っていることで働ける場所に違いがあります。
資格取得のために必要な勉強や受験条件、就職後の収入に関しても異なるので、比較して紹介します。

管理栄養士

管理栄養士は、国家試験に合格して、厚生労働大臣から管理栄養士免許を受けている人のことです。
育ちざかりの子どもから病気を抱える高齢者まで、あらゆる人の体調や状態に合った食事メニューを作り、栄養管理を行うことで健康をサポートする仕事をしています。

栄養学の専門家とも呼ばれ、管理栄養士になると、食に関わるさまざまな現場で幅広く活躍 できます。

必要な資格

管理栄養士になるには国家試験を受験して合格する必要がありますが、試験には受験資格があるため、誰でも受けられるわけではありません。
管理栄養士国家試験を受けるには、2つの方法があります。

1つ目は、管理栄養士養成課程がある大学や短大、通信大学を卒業する方法です。
2つ目は、栄養士養成課程がある大学や短大、通信大学を卒業して、栄養士の資格を取得する方法です。
こちらは栄養士として実務経験を積んでから管理栄養士国家試験を受験する必要があります。

管理栄養士国家試験の内容は、以下のとおりです。

日程:1日(午前/午後)
配点:1問1点(200点満点)
試験科目数:10科目
合格基準:200点満点のうち約60%の正答率
2021年合格率:64.2%

受験には条件があるため、前提として受験者は全員大学や短大、通信大学で管理栄養士や栄養士の専門的な勉強をしています。
それでも合格率は64.2%になっているため、資格の取得難易度はやや難しめといえるでしょう。

主な職場

管理栄養士の主な職場は、医療施設高齢者施設教育機関などです。

医療施設の勤務先は、主に病院です。
医療チームの一員として医師や看護師などの医療職と協力し、入院患者さんに適切な食事提供や栄養管理を行います。

高齢者施設の勤務先は、特別養護老人ホームなどの介護施設です。
老人ホームには身体がうまく動かせない方もいるため、少量でバランス良く栄養が摂取できる献立作成や栄養管理を行うことが管理栄養士の仕事になります。

教育機関の勤務先は、小・中学校や保育園、学校給食センターなどがあります。
仕事内容は給食の献立作りや子どもへの食育など、勤務先によってさまざまです。

また、スポーツ施設や社員食堂、行政機関に勤務する方もおり、食事と栄養に関わるさまざまな業種で働くことができます。

平均年収

厚生労働省によると、管理栄養士を含む栄養士の全国的な平均年収は約373万円です。

地域別で見てみると、東京の平均年収が396万円であるのに対し、大阪の平均年収は約369万円となっています。
会社の従業員数によって年収が大きく変化することはありませんが、地域によって は平均年収に50万円以上の差があります。

また、政府統計による年齢別の平均年収を見てみると、栄養士女性の20代前半が約284万円、30代前半が約356万円となっています。(男性の統計はなし)
勤続年数が長ければ給料の昇給が見込めるほか、役職手当がつくこともあるため、結果的に年収が増える計算です。
収入を上げるためには、同じ職場で長く続けることが大切な職業といえるでしょう。

調理師

調理師は、国家試験に合格して調理師免許を取得した人だけが名乗ることができる、調理のエキスパートです。
飲食店や給食施設、食堂などの調理を仕事とする場所は、すべて勤務先の候補にあげられます。

仕事は料理を作ることだけではなく、食材の仕入れ、メニューの考案、衛生管理など多岐にわたります。
資格を取得してからも、仕事を通じて技術や知識を習得し続ける必要がある仕事になります。

独立して自分のお店を持ったり、料理教室を開いたりするキャリア形成も可能なため、将来の選択肢が広い職業といえるでしょう。

必要な資格

調理師になるための国家試験には、管理栄養士同様に受験資格があります。
家庭で毎日料理を作っている方でも、受験資格がなければ調理師試験は受けられませんので、受験方法を確認しておきましょう。

調理師試験を受験するには、学歴と職歴に条件があります。
詳細は以下のとおりです。

学歴
・中学校卒業以上
職歴
・飲食店営業(喫茶店は除く)
・魚介類販売業
・惣菜製造業(複合型惣菜製造業)
・学校や病院などの給食施設
上記の職種にて、2年以上調理業務を行っていることが条件

アルバイトの場合でも、2年間継続して6時間以上の勤務を週に4日以上行っていれば、受験資格があるとみなされます。

調理師国家試験の内容は、以下のとおりです。

日程:午後のみ
配点:1問1点(60点満点)
試験科目数:6科目
合格基準:60点満点のうち約60%の正答率
ただし、1科目でも平均点を大幅に下回る場合は不合格
2021年合格率:60%前後

調理師試験の合格基準は合計得点が6割以上であることですが、1科目でも平均を下回ると不合格になることがあるので、偏りのない知識が必要になります。
合格率は管理栄養士よりも低い60%前後となっていますが、受験資格のハードルが低めなため、受験者のなかで知識量の差が出やすい試験ともいえるでしょう。

また、調理師免許を取得するには、調理学校に通う方法もあります。
調理学校であれば、国家試験が免除され、卒業と同時に調理師免許の取得が可能です。

主な職場

調理師の主な職場は、飲食店や宿泊施設、医療機関、教育機関などさまざまです。

飲食店の勤務先は、和食料亭や西洋レストラン、中華料理屋など料理を提供している場所全般です。

宿泊施設の勤務先は、ホテルや旅館などです。
コックとして宿泊客に向けた食事を作ったり、新メニューを考案したりします。

医療機関の勤務先は、病院です。
病院調理師とも呼ばれ、病院食の調理を行います。

教育機関の勤務先は、小・中学校や給食センターです。
決められた献立にしたがって、生徒数百人分の給食を調理する仕事になります。

他にも調理に関する職場であればどこでも有利に働く資格であるため、資格取得によって選べる職場の幅はかなり広がります。
しかし、職場によっては資格があっても皿洗いから始まることもあるので、根気よく学び続ける姿勢が大切です。

平均年収

政府統計による調理師の全国的な平均年収は、約341万円です。

年齢別の平均年収では、20代前半の男性が約301万円、女性が約272万円であるのに対し、30代前半の男性が約376万円、女性が約292万円となっています。
調理師は10代でも取得が可能で早く経験が積めるため、20代でも勤続年数によっては安定した年収が見込めるかもしれません。

厚生労働省による地域別の平均年収を見てみると、東京が約377万円、大阪が約348万円となっています。
同じ都道府県の栄養士よりも年収が低い地域が多くありました。

管理栄養士の求人を探す

管理栄養士と調理師、両方の資格を持つメリット・デメリット

管理栄養士と調理師は、どちらも食に関する資格です。
資格取得のために必要な知識が重なっている部分もあるため、学校によっては両方の資格を取得できるところもあります。

ここではダブルライセンスを持つことで、どのようなメリットがあるのかを紹介します。
デメリットもあるので、資格取得の参考にしてみてください。

メリット

ダブルライセンスを持っていれば、栄養学の専門的な知識調理の技術を両方持った人物であるという証明になります。
調理や食に関する職場に就職したいと考えているなら、両方持っていたほうが就職先の選択肢が広がり、就職活動を有利に進められるでしょう。

特に、新卒採用では将来的に活躍してくれる人材が求められているため、在学中にダブルライセンスを取得すると、知識や技術を学ぶ意欲や力があることのアピールにもつながります。

デメリット

ダブルライセンスを持つこと自体がデメリットになることはありませんが、取得には時間と労力がかかります。

また、調理師免許を持っていることで給料が大幅に上がるわけではない点も、デメリットに感じる方がいるでしょう。
同じ職場で栄養士と調理師を募集している場合、栄養士には資格手当がありますが、調理師には手当が付かないことがあります。

もちろん、調理師免許がないと応募できない求人や免許を持っていることで資格手当を得られる企業もあるため、確認が必要です。

管理栄養士と調理師は両方あるとメリットも多い

管理栄養士と調理師は職場が共通している場合があり、栄養士でも調理が必要な場面や調理師でも栄養バランスの取れた料理を作る場面があります。
そのため、両方持っていると自信を持って仕事に取り組むことができるでしょう。

調理師や管理栄養士のどちらかを取得して仕事している方が、あとからもう一方の資格を取得するケースも少なくありません。

それでもどちらを取れば良いのか迷ってしまう場合は、将来どのような仕事をしたいのか考えてみてください。
学校給食の献立作りや食育、福祉施設勤務などで人々の健康をサポートしたいなら管理栄養士、調理に携わりたいなら調理師がおすすめです。

管理栄養士の求人を探す

執筆者について

情報かる・けるは、医療・介護従事者として働いている方や、これから目指す方の「知りたい」に応えるメディア。 全国54,000件以上の求人を扱う弊社スタッフが、編集部として情報発信! “いい仕事が見つかる・いい仕事を見つける”ための、有益なコンテンツをお届けします。 https://twitter.com/karu_keru

いいねと思ったらシェア
見つかる・見つける かる・けるとは?

かる・けるは、医療介護の仕事を探せる求人情報サイト。あなたに合った医療介護求人が見つかります。すべてのお仕事情報は、勤務地、年収や月収などの給与、正社員、契約社員、パート・アルバイト、業務委託などの雇用形態、施設のサービス形態といった条件で検索でき、希望に合う求人を簡単に探しやすいのが魅力です。就きたいお仕事が見つかったら、そのまま応募も可能。応募はダイレクトに求人掲載事業者に届くので、スピーディかつスムーズに進みます。医療介護分野での就職はもちろん、転職、復職の際にも活躍するサイトです。