
相談支援専門員は、障がいのある人やそのご家族が、社会的に自立して生活できるようサポートする職業です。
医療や福祉に関する職業には、働くうえで国家資格が必要な職業がありますが、相談支援専門員として働くうえで国家資格は必須ではなく、無資格からでもめざすことができます。
相談支援専門員になりたくても、本当に無資格からでもめざせるのか、どのように職場を見つけるのかと疑問に思っている方もいるのではないでしょうか。
今回は相談支援専門員になるまでのプロセスや求人、相談支援専門員になる際の注意点を説明します。
目次
相談支援専門員は無資格でもめざせるが必要な要件がある
相談支援専門員は無資格でもめざせる職業です。
資格には国家資格や民間の資格などさまざまなものがありますが、ここでの無資格は国家資格を保持していないことを「無資格」と定義し、説明していきます。
相談支援専門員になるために国家資格は必要ありませんが、実際に働く際には実務経験と相談支援従事者初任者研修を修了することが要件として挙げられています。
相談支援専門員になるには3〜10年ほど相談支援業務あるいは直接支援業務の実務に従事したあと、研修を受けるプロセスが必要です。
相談支援専門員として働く際に必要な要件を、以下に詳しくまとめました。
研修:相談支援専門員に必要な研修
相談支援専門員に関わる研修として、以下の3つがあります。
- 相談支援従事者初任者研修
- 相談支援従事者現任研修
- 主任相談支援専門員研修
それぞれの研修の目的は、障がい者への対応やサービスをより高いレベルで実施できるようにし、地域を基盤とした質の高い相談業務を提供できる相談支援専門員を養成することです。
また、地域づくり、困難事例への対応や人材育成などを担い、地域の中核的役割を果たす専門職を育成する目的で、上位資格として主任相談支援専門員研修も設定されています。
一般的には、一定の実務経験を経たのち、初年度に42.5時間の相談支援従事者初任者研修を修了すると、相談支援専門員になることができます。
相談支援専門員として働きはじめたあとも、5年ごとに24時間の相談支援従事者現任研修を受けることが必要です。
さらに相談支援従事者として3年以上の実務経験を経たのち、30時間の主任相談支援専門員研修を修了すると、主任相談支援専門員になれます。
相談支援従事者現任研修の受講要件は以下のとおりです。
- 過去 5年のなかで2年以上の相談支援の実務経験がある
- 現在相談支援業務に従事している
初回の現任研修受講に限っては、必ず1.の要件を満たすことが求められます。
実務経験:相談支援業務に従事
相談支援専門員になるために必要な実務経験には、相談支援業務と直接支援業務があります。
相談支援業務とは、施設や医療機関などにおいて障がい者の日常生活の自立支援に関わる相談に応じ、助言や指導をする業務です。
相談支援業務に該当する従事内容はさまざまですが、例えば一定の期間に障がい児相談支援事業や、身体障がい者相談支援事業に通算3年以上従事した場合などは、相談支援専門員に必要な実務経験があるとみなされます。
その他の相談支援業務に携わる場合でも、通算3〜5年の実務経験が必要です。
相談支援業務を担いながら相談支援専門員をめざしている方は、短くとも3年以上、上記のような実務を経ておく必要があることを覚えておきましょう。
実務経験:直接支援業務に従事
直接支援業務とは、障がい者の入浴や排泄、食事などの介助をしたり、これらの指導に関わったりする業務です。
例えば、障がい者支援施設や老人養護施設などで介護職を担当した場合には、直接支援業務にあたります。
これらの業務に従事した場合、無資格の場合は相談支援専門員になるためには通算10年以上の実務経験が必要です。
ただし、保育士の資格や、社会福祉主事任用資格、児童指導員任用資格者、精神障害者社会復帰指導員任用資格を保有している場合は、直接支援業務を通算5年以上経験すれば、実務経験があるとみなされます。
無資格の相談支援専門員でも求人はある
では、無資格の相談支援専門員でも求人はあるのでしょうか?
実際の求人サイトを見てみました。
<A病院の求人例>
仕事内容 | 障がい者の支援相談所における相談業務の担当者 |
応募要件 | 相談支援従事者養成研修を受講した者 |
雇用形態 | 正社員 |
長期休暇・特別休暇 | 年次有給休暇、慶弔休暇、産前産後休暇 |
待遇 | 各種社会保険加入、院内託児室、退職金 |
この求人例では応募要件に国家資格などは挙げられておらず、無資格から相談支援専門員になった人も対象とした求人があることがわかります。
その他の求人サイトを見ても、この求人例のように病院や相談支援事業所の相談支援専門員の正社員求人で、国家資格など特別な資格を求めないものは多く見られます。
また、病院や相談支援センター、基幹相談支援センターの求人が多く、これらの場所が相談支援相談員のおもな活躍の場となっていることもわかりました。
相談支援専門員の求人情報が気になる方は、ぜひ求人サイトを見てみてください。
無資格で相談支援専門員をめざす際の注意点
ここまで、相談支援専門員になるための要件や求人の情報などを、具体例を挙げてお伝えしてきました。
しかし、無資格からめざせるからという理由で相談支援専門員になると、就業後にギャップが生じたり、自身のキャリアに迷いが出てくる可能性もあります。
ここでは、そのようなことを防ぐために相談支援専門員になる際の注意点を詳しく見ていきます。
仕事内容をしっかりと理解する
相談支援専門員になる場合、相談支援専門員の業務内容や役割をしっかりと理解しておくことが必要です。
医療・福祉関係の職場では多職種で対象者の健康や生活を支援する場面があるため、自身の業務内容を理解し、対象者を適切に支援することが欠かせません。
また、相談支援専門員はケアマネジャーや生活相談員などと業務内容が似ているように感じる点もあるため、それらとの違いもしっかり理解しておく必要があります。
相談支援専門員とケアマネの違いは、次の記事をご参照ください。
必要な知識とスキルを身につける
国家資格が求められない相談支援専門員は、その専門性を周囲に理解されず、本来なら範囲外である業務まで任されて業務範囲が広くなってしまうこともあります。
また、障がい者との接し方に悩むなど、業務自体に負担を感じることもあるかもしれません。
これから相談支援専門員をめざす人は、「無資格でできる仕事=楽な仕事」ではないことを念頭に置いておくと良いでしょう。
また、相談支援専門員として障がい者や多職種と接するうえで、障がい者に限らない福祉全般の知識も必須です。
そのため、相談支援専門員として業務に従事している人のなかには、福祉に関する資格を持っている人もいます。
平成28年度相談支援専門員の業務等の実態に関する調査によると、相談支援専門員の保有資格は以下のとおりです。
- 社会福祉主事任用資格:38.8%
- 社会福祉士:35.2%
- 介護福祉士:35.0%
- 介護支援専門員:26.7%
- 居宅介護職員初任者研修(ホームヘルパー2級以上含む):25.3%
- 精神保健福祉士:21.9%
- 保育士:10.7%
- 児童指導員任用資格:8.9%
- 看護師:2.7%
※神奈川県障害者自立支援協議会 研修企画部会の調査結果
この調査から、回答者の多くが何らかの専門的な資格を保有していることが読み取れます。
特に社会福祉主事任用資格、社会福祉士、介護福祉士の資格を保有している人はそれぞれ回答者の3割を超えており、相談支援専門員の仕事をするうえでそれらの資格が土台となっていることを伺わせます。
このことからも、相談支援専門員は無資格でめざすことができても、専門的な知識やスキルが必要な仕事であるといえるでしょう。
無資格でも相談支援専門員をめざせる
障がい者の自立支援に欠かせない相談支援専門員は、無資格からでもめざせます。
必要な知識やスキルを持った相談支援専門員として活躍できるように、今からできることを少しずつ始めていきましょう。