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言語聴覚士のダブルライセンスのおすすめは?メリット・デメリットも解説

この記事の監修者
霧ヶ峰
霧ヶ峰
【資格】
言語聴覚士

【プロフィール】
名前:霧ヶ峰
4年制大学で心理学を学んだ後、2年制の養成校を卒業。
回復期リハビリテーションから、維持期、訪問看護、小児など幅広い分野を経験。
現在は、言語聴覚士として働きながら、ライティング活動で医療系の記事執筆に携わっています。

言語聴覚士として活躍しながら、さらなるスキルアップをめざす方も多いのではないでしょうか。
その一つの方法として、ダブルライセンスの取得があります。

ダブルライセンスとは、言語聴覚士の資格に加えて別の資格を取得することです。
これにより、専門性を高め、キャリアの幅を広げることができます。

本記事では、言語聴覚士に適したダブルライセンスの選択肢や、取得によるメリット・デメリットについて詳しく解説します。
キャリアアップを考えている方は、ぜひ参考にしてください。

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言語聴覚士のダブルライセンスにおすすめの資格

言語聴覚士のダブルライセンスにおすすめの資格

言語聴覚士がダブルライセンスをめざす際、いくつかの資格の選択肢があります。
それぞれの資格は、言語聴覚士の業務と関連性が高く、相乗効果が期待できるものばかりです。

以下に、おすすめの資格を紹介していきます。
各資格の特徴や取得方法、言語聴覚士との関連性について詳しく解説しますので、自分に合った資格を見つける参考にしてください。

介護福祉士

介護福祉士は、高齢者や障がい者の生活支援を行う専門職です。
食事介助や嚥下体操、認知機能維持のためのアクティビティー提供やコミュニケーション練習など、言語聴覚士の専門分野と関連する業務もあります。単なる介護だけでなく、本人やそのご家族への助言も行うため、言語聴覚士の業務と親和性が高いといえます。

主な職場は介護施設になるため、言語聴覚士として介護施設で働く人にとって特に有利な資格です。
患者さんの日常生活全般をサポートできるようになり、より包括的なケアが可能になるでしょう。

介護福祉士になるには、福祉系大学または短期養成施設、一般養成施設で学び、介護福祉士国家試験に合格する必要があります。
学ぶ施設や年数によっては実務経験も求められます。

言語聴覚士としての経験を活かしつつ、介護の専門知識を身につけることで、より質の高いサービスを提供できるようになるでしょう。

管理栄養士

管理栄養士は、病気の方や高齢者、健康な方に対して、専門的な知識と技術を用いて栄養指導や管理を行う専門職です。
その活躍の場は、医療施設や老人福祉施設、介護施設、児童福祉施設、学校、企業など多岐にわたります。

言語聴覚士の業務には摂食・嚥下障害のリハビリが含まれており、近年では嚥下障害と栄養面の関連が重要視されてきているため、栄養面をサポートする管理栄養士の資格を持つことは大きなメリットとなります。
患者さんの食事内容や栄養状態を専門的に評価し、食事の質や栄養バランスを考慮したリハビリテーションプランを作成し、より効果的なリハビリを行うことで、患者さんの回復をサポートすることができるでしょう。

管理栄養士になるには、高校卒業後に管理栄養士養成課程か栄養士養成課程のある大学、短大、専門学校を卒業する必要があります。
その後、国家試験に合格することで資格を取得できます。

言語聴覚士と管理栄養士のダブルライセンスを持つことで、患者さんの口腔機能と栄養状態を総合的に管理し、より質の高い医療サービスを提供できるでしょう。

公認心理師

公認心理師は、保健医療、福祉、教育などの分野で、心理学の専門知識と技術を活かして支援が必要な人に相談、助言、指導、その他の援助を行う専門職です。
2017年に公認心理師法によって、日本で初めての心理職の国家資格として定められました。

言語聴覚士は、コミュニケーションに困難を抱えている方を多く対象とするため、患者さんやご家族と深く関わることが多く、対人心理の理解が重視されます。言語聴覚士が公認心理師の資格を取得することで、患者さんやご家族の心理状態をより深く理解し、心身の両面からアプローチすることができます。
特に、発話や言語に問題を抱える患者さんや、コミュニケーション障害を抱える患者さん、発達障害のある患者さんは、心理的な不安やストレスを抱えていることも多く、心理的なサポートも、より専門的に行えるようになるでしょう。

公認心理師の資格を取得するには、大学で必要な科目を履修し、卒業後に指定された科目のある大学院に進んで修了するか認定施設で2年間実務についたあと、年に1回行われる国家試験に合格する必要があります。

言語聴覚と心理学の専門知識を併せ持つことで、患者さんの言語障害だけでなく、心理的な側面からもアプローチできるようになります。
これにより、より包括的で効果的なリハビリテーションの提供が可能になるでしょう。

保育士

保育士は、専門知識や技術を持って子どもの保育を行い、保護者への支援や助言、指導も行う専門職です。
言語聴覚士、特に小児科や発達支援センターなどの小児分野で働きたい方にとって、保育士の資格は非常に有用なダブルライセンスとなります。

子どもの言語発達に関する深い知識と、保育の専門スキルを併せ持つことで、より効果的な支援が可能になります。幼児期は、言語と情緒の発達が密接に関連する時期で、訓練を嫌がったりと支援が難しいケースも多く存在しますが、保育士としての知識を活かし、子どもの情緒発達に寄り添いながら、言語聴覚士としての専門的な支援を行うことで、子どもが安心して言語発達の支援を受けれるようになります。
また、保護者とのコミュニケーションもスムーズに行えるようになるでしょう。

保育士になるには、大学、短大、専門学校の保育士養成課程で2年以上学ぶか、その他の大学や短大を卒業後に年に2回ある保育士試験に合格するルートがあります。
言語聴覚士としての経験を活かしつつ、子どもの発達全般に関する知識を深めることができます。

言語聴覚士と保育士のダブルライセンスを持つことで、子どもの言語発達支援をより総合的に行えるようになり、小児科や療育施設などでの活躍の場が広がるでしょう。

手話通訳士

手話通訳士は、手話を用いて聴覚障がい者と聞こえる人とのコミュニケーションを手助けし、また聴覚障がい者の生活上の困難をサポートする専門職です。
言語聴覚士にとって、手話通訳士の資格は聴覚障がいの患者さんへのサポートを行う際に非常に役立ちます。

手話通訳士になるには、手話通訳技能認定試験に合格することが必要です。
この試験は、手話の技能だけでなく、聴覚障がい者の福祉や関連法規についての知識も問われます。

言語聴覚士が手話通訳士の資格を取得することで、聴覚障がいを持つ患者さんやその家族に信頼感を与え、より深いコミュニケーションが行えるようになるため、言語発達やコミュニケーション能力の向上に対して、より専門的で包括的な支援が可能になります。
また、聴覚障がい者の社会参加支援や、手話を使用する患者さんへのリハビリテーションプログラムの立案など、より専門的なサービスを提供できるようになるでしょう。

このダブルライセンスは、聴覚障がい者支援施設や特別支援学校などでの活躍の場を広げる可能性も高くなります。

ケアマネジャー

ケアマネジャー(介護支援専門員)は、介護が必要な人にどのようなサービスが必要かを判断し、ケアプランの作成を行う専門職です。
言語聴覚士がこの資格を取得すれば、介護が必要な患者さんのケアプランとリハビリプランの両方を提供でき、患者さんの多面的なニーズに応じた包括的な支援が可能となります。コミュニケーションや食事面にニーズを感じている患者さん・ご家族は多く、言語聴覚士としての専門知識を持つことで、言語・コミュニケーション障がいや嚥下障がいを持つ患者さんに対して、より的確で個別化されたケアプランを作成し、適切な支援の提供や満足度の高いサービスが実現できます。

ケアマネジャーになるには、介護支援専門員実務研修受講試験に合格し、実務研修を受けて各都道府県の介護支援専門員名簿に登録しなければなりません。
受験資格として、指定された法定資格を持ち、対人援助業務の経験が5年以上かつ従事した日数が900日以上であることなどの条件があります。

言語聴覚士としての経験を活かしつつ、ケアマネジメントのスキルを身につけることで、患者さんの生活全体を見据えたより包括的なサポートが可能になります。
また、チーム医療や介護チームのなかで、専門的な知識を活かしながらリーダーシップを発揮し、利用者にとってスムーズなケアの調整へつながるため、多職種連携の中心的な役割を担うことができ、キャリアアップにもつながるでしょう。

このダブルライセンスは、介護施設や在宅介護支援センターなどでの活躍の場を広げる可能性が高くなります。

作業療法士

作業療法士は、身体や精神に障がいのある人の心身機能を回復させ、日常生活の自立や社会生活に復帰できるように訓練、指導、援助を行う専門職です。
言語聴覚士と作業療法士のダブルライセンスを持つことで、身体的な障がいと言葉の障がいに苦しんでいる人をより総合的に支援できるようになります。

作業療法士になるには、作業療法士国家試験に合格して免許を取得する必要があります。
受験するには、高校卒業後に国が指定した作業療法士養成課程のある大学、短大、専門施設で3年以上学び、卒業しなければなりません。

このダブルライセンスを取得することで、言語聴覚士が専門とする患者さんの言語機能・コミュニケーション面と、作業療法士が専門とする身体的・精神的な機能や日常生活動作面の両面からアプローチできるようになります。
例えば、脳卒中後の患者さんに対して、言語訓練と同時に上肢機能の回復訓練を行うなど、より包括的なリハビリテーションの提供が可能になります。特に、複雑な症状を持つ患者さんに対しては、両方の専門知識を活かしてより効果的なサポートへつながります。
また、両方の資格を持っていることで医療機関や福祉施設、教育機関など就職先の選択肢が広がります。そして、より多角的な視点から患者さんの状態を評価して方針を提案できるため、チーム内での価値が高まり、リハビリテーション部門でのリーダーシップを発揮する機会も増えるでしょう。

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言語聴覚士がダブルライセンスを取得するメリット

言語聴覚士がダブルライセンスを取得することには、いくつかの大きなメリットがあります。

まず、スキルアップし、支援の幅を広げることが可能です。
例えば、言語聴覚士と管理栄養士のダブルライセンスを持つことで、摂食・嚥下障害のある患者さんに対して、言語面だけでなく栄養面からもアプローチできるようになります。

次に、キャリアアップの可能性が高まる点です。
ダブルライセンスを持つことで、チームやリハビリ部署内での価値が高まり、給料が増える、資格手当がつくなど、給与アップにつながりやすくなります。
また、より専門性の高いポジションへの昇進チャンスも増えるでしょう。

さらに、自分の強みとしてアピールできます。
就職活動や転職の際に、ダブルライセンスは大きな武器となります。
他の候補者と差別化を図り、より良い条件での就職や転職につながる可能性が高まるでしょう。

言語聴覚士がダブルライセンスを取得するデメリット

ダブルライセンスの取得には多くのメリットがありますが、同時にいくつかのデメリットも存在します。

最も大きなデメリットは、時間とお金がかかることです。
ダブルライセンスのために資格を取得するには、学校や養成施設、通信講座などで学ばなければなりません。
これには相当な時間と費用が必要となります。また、資格取得のために仕事を一時的に減らす必要がある場合、収入が減る可能性もあります

特に国家資格である資格を取ることは簡単ではありません。
仕事をしながら勉強を両立させるのは、大きな負担になる可能性があります。
また、試験に合格するまでに複数回のチャレンジが必要になることもあるでしょう。

さらに、ダブルライセンスが必ずしも役に立つとは限らないという点も考慮する必要があります。
取得した資格が実際の業務で活かせない場合や、職場環境によっては評価されないこともあります。
自分のキャリアプランと照らし合わせて、慎重に判断することが重要です。

ダブルライセンスで言語聴覚士としてスキルアップをめざそう

言語聴覚士としてのキャリアをさらに充実させるために、ダブルライセンスの取得は有効な選択肢の一つです。
介護福祉士、管理栄養士、公認心理師、保育士、手話通訳士、ケアマネジャー、作業療法士など、さまざまな資格との組み合わせが考えられます。

ダブルライセンスを取得することで、専門性の向上、サービスの質の向上、キャリアアップの可能性など、多くのメリットが期待できます。
一方で、時間とコストがかかることや、必ずしもすべての職場で評価されるわけではないというデメリットもあるでしょう。

自身のキャリアプランや興味、得意分野を考慮しながら、最適なダブルライセンスを選択することが求められます。
また、資格取得後も継続的な学習と実践を通じて、両方の資格を効果的に活用していくことが大切です。

ダブルライセンスの取得は、言語聴覚士としての可能性を広げる素晴らしい機会となります。
患者さんにより良いサービスを提供したい、自身のキャリアをさらに発展させたいと考えている方は、ぜひチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

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執筆者について

情報かる・けるは、医療・介護従事者として働いている方や、これから目指す方の「知りたい」に応えるメディア。 全国80,000件以上の求人を扱う弊社スタッフが、編集部として情報発信! “いい仕事が見つかる・いい仕事を見つける”ための、有益なコンテンツをお届けします。 https://x.com/karu_keru

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