
病院は種類ごとに、規模や役割、スタッフの待遇など、さまざまな違いがあります。
病院への就職や転職を考える際は、その病院の種類も把握しておきましょう。
本記事では、病院の種類について、開設者別、機能別の2つの観点から紹介していきます。
目次
【開設者別】病院の種類
病院は、開設者別に以下の5種類に分類できます。
- 国立病院
- 公立病院
- 公的病院
- 大学病院
- 一般病院
それぞれの詳細について見ていきましょう。
国立病院
国立病院は「独立行政法人国立病院機構」が経営している病院です。
国からの援助によって運営されており、休日や評価基準は国の基準に準じます。
運営目的や業務の範囲などは独立行政法人国立病院機構法で管理されており、法規制に則った運営が求められます。
国立病院は国の医療向上に貢献する中心的な役割を担うため、民間病院などと比較して重症度の高い患者さんを受け入れることが多く、医療レベルも高いといえるでしょう。
公立病院
市立病院や県立病院などの公立病院は、都道府県や市町村などの自治体が運営している病院です。
社会インフラの一部として地域医療の中心を担う存在であり、スタッフは地方公務員として働きます。
公的病院
公的病院(公的医療機関)は医療法第31条により、以下の者が開設する医療機関と定義されています。
- 都道府県・市町村
- 地方公共団体の組合
- 国民健康保険団体連合会
- 日本赤十字社
- 社会福祉法人恩賜財団済生会
- 厚生農業協同組合連合
- 社会福祉法人北海道社会事業協会
公立病院との違いは開設母体です。
公的病院(公的医療機関)は、都道府県や市町村、地方自治体以外のほかに、日本赤十字社や厚生農業協同組合連合などの指定された団体が開設した医療機関全体を指します。
公立病院と同様、地域医療の中核を担う存在です。
大学病院
大学病院は、国立私立に関わらず、大学が運営している病院です。
大学の資金や研究成果を利用できるので、最先端医療に触れられる機会も多いでしょう。
また、勉強会なども積極的に行われているので、キャリアアップやスキルアップの機会にも恵まれやすいです。
一般病院
一般病院とは、医療法人や社会福祉法人などが運営する病院です。
運営母体が国、自治体、教育機関などでない病院は、一般病院に分類されます。
なお、医療機関の名前に「病院」とつけるには、病床数が20以上であることが必要です。
病床数が20未満の医療機関は診療所(クリニック)に区分されます。
一般病院の詳しい解説は、下記記事を参照してください。

【機能別】病院の種類
病院のなかでも、特に規模の大きなものは、以下のような特別な機能を持つ病院に該当する場合があります。
- 地域医療支援病院
- 特定機能病院
それぞれみていきましょう。
地域医療支援病院
地域医療支援病院は、地域医療の中核的存在として、医療を提供している病院を指します。
主に、紹介患者に対する医療の提供や、かかりつけ医と連携して地域医療の確保を図ることが創設の目的です。
また、救急医療の対応や、地域の医療従事者の研修なども行います。
地域医療支援病院として承認されるには病床200床以上など、大規模な設備が必要になります。
特定機能病院
特定機能病院とは、高度医療の提供や医療技術の開発を目的に設置される病院です。
一般病院と比較して、高度な医療技術の提供や、開発にかかる研修能力などを備えておくことが必要であり、厚生労働大臣の承認を得て名乗ることができます。
承認要件は厳しく、病床数400床以上、かつ通常の2倍程度の医師を配置しなければならないなど、多くの条件をクリアすることが必要です。
地域医療支援病院よりも要件が多いため、より大きな施設規模が求められるでしょう。
病院の種類・特徴を理解して最適な職場を探そう
病院は、種類や特徴によって職場環境が大きく変わります。
種類ごとの特徴を理解することで、自分にとって最適な職場環境を探す参考になるでしょう。
「地域医療の中心に関わりたい」「最新医療の知見を深めたい」など、目的に合わせて職場を選ぶことが大切です。