脈拍数の測定方法を解説します。
脈拍数は、医師や看護師が患者さんの体調を知るうえで大切な指標です。
また、一般の人でも簡単に測定でき、特別な機械も必要ありません。
本記事では、脈拍の測定方法や、よくある疑問とその解答を紹介していきます。
目次
【看護師必読】脈拍の測定方法
手首での測り方と、手首で測れないときの解決法、脈拍の正常値などを見ていきましょう。
脈拍測定のポイント
看護師や看護学生が患者さんに行う場合を中心に解説します。
まず、診察前に患者さんの情報を確認しましょう。
既往歴はあるか、麻痺はないか、現在の臨床上の問題点を確認しましょう。
続いて脈拍測定です。
一般的に、脈拍を測る際は橈骨動脈(手首の脈)に触れます。
患者さんに手のひらを上に向けてもらい、手首の親指側に人差し指、中指、薬指の三本をそっと当てて測定しましょう。
ドクンドクンと脈打つのがわかるはずです。
そして、いくつかの観察項目をすべての患者さんに漏れなく観察していきます。
代表的な観察項目は次のとおりです。
- 左右差があるか
- 均等なリズムで脈を打っているか
- 脈の強弱はあるか
そのうえで、脈拍数を測定します。
脈が均等に打っていれば、15秒間のうちに何回脈があるかを測定し、あとから4倍して脈拍数を1分間あたりに直して記録します。
脈拍が不均等ならば、30秒か1分間の測定をしたほうが正確に測定可能です。
脈拍の強さに左右差がある場合には、血流障害が疑われます。
血流障害の原因として代表的なものは、閉塞性動脈硬化症、大動脈解離などです。
一般の方が自分で脈拍を測定する場合も、上記を参考にしてやってみてください。
脈拍が手首で測れないときの解決法
患者さんによっては、手首でうまく脈拍を測定できないことがあります。
例えば脈拍が弱い患者さんの場合、患者さんの脈拍と自分の脈拍の区別がつきにくい場合があるでしょう。
そういった場合、利き手で患者さんの脈拍を測りながら、もう片方の手で自分の利き手の橈骨動脈に触れていると測定しやすくなります。
また、患者さんの橈骨動脈に触れにくいときは、グーパーを何回か繰り返してもらうと触れやすくなります。
それでも測れなければ、首で脈拍を測ることも可能です。
その場合は、測定するほうと逆側に顔を向けてもらい、顎の骨の下あたりで総頚動脈を触知します。
上記の方法をとっても触知できないときは、血流障害の可能性があるのでナースのリーダーか医師に報告の必要があります。
脈拍の正常値
年齢ごとの脈拍の正常値は以下のとおりです。
新生児 | 110~140回/分 |
乳児 | 110~130回/分 |
幼児 | 90~110回/分 |
学童 | 75~90回/分 |
成人 | 60~100回/分 |
脈拍数は個人差が大きく、運動や緊張などによっても数値が変動します。
定期的にリラックスした状態で測定し、記録に残しましょう。
普段と違う傾向が見られた場合、何らかの病気が隠れているおそれがあります。
詳しくは下記のリンクを参考にしてください。
脈拍の測定方法に関するQ&A
ここからは、脈拍の測定方法にまつわるよくある疑問と、その回答を紹介していきます。
麻痺のある患者さんではどのように測定しますか?
原則麻痺側では脈拍を測定しません。
麻痺している側の腕は筋力が低下しており、筋のポンプ機能や血管運動などが低下しているため、循環血液量が健側より低下し、正確な脈拍を測ることができません。
正常と異なる値が出たとき、どのように対応しますか?
脈拍を測り、正常値から大きく外れていたり、普段と違う兆候が見られた場合、医師への報告が必要です。
一般の人にとっても、病院を受診するかどうかを判断する基準になるため、参考にしてください。
徐脈(<60回/分)
徐脈とは、脈拍が遅くなる不整脈です。
患者さんの普段の脈拍と比べて少なく、なおかつ新しい初見の場合は、血圧も測定したうえで医師に報告しましょう。
ただし、高齢の患者さんや、日常的に運動している患者さんの場合には、普段から徐脈に該当することも珍しくありません。
頻脈(>100回/分)
頻脈とは、脈拍が速くなる不整脈です。
直前に運動や緊張などがなく、なおかつ患者さんの脈拍が普段よりも速い場合、脈拍数や頻脈の持続時間、その他のバイタルサイン、発熱や脱水など原因と思われる所見とともに医師に報告しましょう。
リズム不整がある
脈拍が不規則な場合も、不整脈の可能性があります。
問題のない不整脈もありますが、脈拍だけでは判断できないので報告が必要です。
脈拍などバイタルの測定方法を再確認して現場で生かそう
脈拍数は、健康状態を示す指標の一つで、機械を使わず、なおかつ一般の人が自分で測定することができます。
脈拍数には個人差がありますが、正常値を大きく逸脱した場合や、普段と極端に違う値が出る場合、リズムに異常がある場合などは不整脈の疑いがあるため、医師に報告しましょう。