
「歯科医師国保の保険料はいくら?」
「他の健康保険よりもお得って本当?」
歯科医師国保について、上記のような疑問を持つ人もいるかもしれません。
歯科医師国保とは、歯科医院で働いている人や、そのご家族が加入できる健康保険です。
この記事では、歯科医師国保の保険料や、他の健康保険との金額の違いについて解説していきます。
目次
歯科医師国保の保険料
歯科医師国保は「歯科医師国民健康保険組合」の略で、歯科医院で働く人やご家族が利用できる健康保険です。
歯科医師や歯科衛生士はもちろん、歯科助手や歯科受付など、資格を必要としない職種でも利用できます。
歯科医師国保は、運営する組合がいくつかあり、どの組合の保険に加入するかは地域ごとに異なります。
なかでも加入者数がもっとも多いのは、20の府県を対象とする全国歯科医師国民健康保険組合です。
組合ごとに保険料にも若干の違いがあるため、ここでは保険料をホームページで公表している歯科医師国保のうち、3つをピックアップして紹介します。
埼玉県歯科医師国民健康保険組合
埼玉県歯科医師国民健康保険組合の保険料は、以下のとおりです。
第1種組合員:事業主 | 平等割 | 8,000円 |
収入割 | 前年の診療報酬額に 8/1,000を乗じて得た額の1/12 年間限度額320,000円 新規加入した年度及び その翌年度は、10,000円 |
|
第1種組合員:事業主以外 | 平等割 | 15,500円 |
第2種組合員:勤務医 | 平等割 | 15,500円 |
第2種組合員:勤務医以外 | 平等割 | 10,500円 |
組合員の世帯に属する家族 | 平等割 | 8,000円 |
埼玉県歯科医師国民健康保険組合では、事業主のみ平等割と収入割によって歯科医師国保の保険料が計算され、それ以外の従業員は収入に関係なく区分に合わせて平等に保険料が徴収されます。
従業員は第1種と第2種に分けられており、第1種は一般社団法人埼玉県歯科医師会に入会している従業員が該当します。
第2種組合員に該当するのは、第1種組合員が開設または管理する歯科医医療機関に勤務する従業員です。
愛知県歯科医師国民健康保険組合
愛知県歯科医師国民健康保険組合の保険料は、以下のとおりです。
保険料月額 1人当たり ([1]+[2]) |
内訳 | ||
医療分 [1] |
後期高齢者 支援金分 [2] |
||
正組合員 | 20,900円~48,900円 | 均等割 + 所得割 16,000円〜28,000円 |
4,900円 |
正組合員家族 | 13,200円 *1 分院長46,900円 *2 歯科医師27,200円 |
8,300円 *1 分院長42,000円 *2 歯科医師22,300円 |
4,900円 |
準組合員 | 13,200円 *1 分院長46,900円 *2 歯科医師27,200円 |
8,300円 *1 分院長42,000円 *2 歯科医師22,300円 |
4,900円 |
準組合員家族 | 11,700円 *1 分院長46,900円 *2 歯科医師27,200円 |
6,800円 *1 分院長42,000円 *2 歯科医師22,300円 |
4,900円 |
後期高齢者 (75歳以上正組合員) |
3,000円 | 3,000円 | ー |
*1 正組合員の家族・準組合員・準組合員の家族で医療法人の開設する歯科医療機関の管理者
*2 正組合員の家族・準組合員・準組合員の家族で歯科医師(*1医療法人の開設する歯科医療機関の管理者は除く)
(引用:保険料額|愛知県歯科医師国民健康保険組合)
愛知県歯科医師国民健康保険組合では、正組合員か準組合員によってご家族も保険料が変わります。
正組合員とは、一般社団法人愛知県歯科医師会の会員のことです。
准組合員は正組合員が所属する医療機関に勤務する従業員を指します。
例えば、正組合員が開設している歯科医院に勤務する歯科助手は準組合員となり、保険料は月額13,200円です。
大阪府歯科医師国民健康保険組合
続いて、大阪府歯科医師国民健康保険組合の保険料を見ていきましょう。
保険料(月額) | |
甲種組合員(管理) | 32,700円 (38,100円) |
甲種組合員(勤務) | 27,700円 (33,100円) |
後期高齢組合員 | 200円 |
甲種組合員の家族 | 12,900円 (18,300円) |
乙種組合員第1 | 22,200円(27,600円) |
乙種組合員第2 | 19,400円(24,800円) |
乙種組合員の家族 | 12,900円 (18,300円) |
減額申請により適用 甲種組合員(管理のみ) |
減額①・・・22,300円 (27,700円) |
減額②・・・25,700円 (31,100円) |
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介護保険料 | 5,400円 |
※( )内の金額は、介護保険第2号被保険者の保険料です。
*介護保険第2号被保険者・・・40歳誕生日の前日から65歳誕生日の前々日まで。
※保険料減額申請について
減額①・・・前年分の総収入が600万円以下で、総所得が300万円以下
減額②・・・前年分の総収入が600万円を超え1,100万円以下で、総所得が300万円以下
(引用:保険料について|大阪府歯科医師国民健康保険組合)
大阪府歯科医師国民健康保険組合では、甲種か乙種かにより、そのご家族も含めて保険料が変わります。
甲種は大阪府歯科医師会の会員を指し、それ以外の従業員は乙種に分類されます。
また、乙種も第1と第2に分かれており、以下の違いがあるので確認しておきましょう。
- 乙種第1:甲種以外の歯科医師
- 乙種第2:歯科技師・歯科衛生士・助手・受付等の従業員
歯科医師国保の保険料とその他保険料の違い
歯科医師健康保険の保険料は、国民健康保険や社会保険の健康保険と比べて、どのくらいの違いがあるのでしょうか。
ここでは、大阪府で乙種第2組合員として働いている場合の月額の保険料19,400円(介護保険を含めると24,800円)を参考に、その他の保険料との違いを見ていきましょう。
国民健康保険との違い
国民健康保険の保険料は市町村や都道府県により異なりますが、収入に比例して高くなり、大阪府の場合、報酬月額が18.5万~19.5万円未満だと月額19,551円です。
つまり、大阪府の歯科医院で働き乙種第2組合員に該当する人の場合、給与収入が月額18.5万円以上になると、歯科医師国保のほうが保険料が安くなります。
介護保険料も加味する場合、報酬月額が21万~23万円未満になると月額の保険料が26,642円となり、大阪府における歯科医師国保の保険料を上回ります。
ただし、国民健康保険と歯科医師国保では保障の範囲内などにも違いがあります。
歯科医師国保に加入する際は、金額以外の面も理解しておきましょう。
歯科医師国保のデメリットは、以下で詳しく解説しているので参考にしてください。

社会保険との違い
社会保険の健康保険と、歯科医師国保を比較すると、圧倒的に歯科医師国保のほうが割安です。
大阪府のケースで比較すると、社会保険料が歯科医師国保の19,400円以下で済むのは、報酬月額が21万円以下の場合です。
歯科医院で働く際に月額が21万円を超える場合は、歯科医師国保のほうが収める金額が低くなります。
ただし、歯科医師国保は年金加入はないため、国民年金以外に年金を受け取りたい場合は「歯科医師国民年金基金」などに別途加入が必要になる点は覚えておきましょう。
歯科医師国保は保険料が低くお得
歯科医師国保は、収入によっては、国民健康保険や社会保険に加入するよりも保険料を安く抑えることができます。
ただし、歯科医師国保の保険料は所属する組合によって料金が変わるので、よく確認しておきましょう。