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歯科衛生士が持っていると良い資格を解説

歯科衛生士のなかでも、キャリアアップをめざしたり、専門分野の勉強をしたいと考えている方はいませんか。
また、歯科衛生士の転職や就職に有利な資格を探している方もいるでしょう。

歯科衛生士にもさまざまな専門分野があり、その知識や技能を習得すると、それぞれの分野のプロフェッショナルとして認定を受けられる制度があります。
資格を取得すれば、専門施設や技能を活かした施設への転職も有利になる可能性があります。
また、勉強したことが資格として形に残るため、日々の臨床にも目的意識を感じることができるでしょう。

本記事では、歯科衛生士が持っていると良い資格を紹介します。
申請の条件や、認定資格の特色を解説するので、自分に合った専門分野での資格取得をめざしてみませんか。

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【専門別】歯科衛生士が持っていると良い資格

【専門別】歯科衛生士が持っていると良い資格

歯科衛生士がキャリア形成するために持っていると良い資格を専門別に解説します。
それぞれに必要な経験と取得のための条件があるため、ぜひ参考にしてください。

一般的な分野で役に立つ資格

歯科衛生士のなかでも、一般的な分野で幅広く活躍していたり、今後活躍したいと考えていたりする歯科衛生士の方も多いでしょう。
本章では、一般的な分野で働く歯科衛生士に役立つ認定資格を紹介します。

日本歯科衛生士会 認定歯科衛生士|分野A

認定歯科衛生士は、決められた専門分野で高度な知識と技能を持つ歯科衛生士に認められる資格です。
対象は日本歯科衛生士会の認定研修を修了するか、専門学会などから推薦された歯科衛生士で、認定歯科衛生士審査会に合格すると交付されます。
認定分野AとBで、必要とされる知識と技能の分野が異なります。

認定分野Aは、次のような分野です。

  1. 生活習慣病予防
  2. 摂食嚥下リハビリテーション
  3. 在宅療養指導・口腔機能管理
  4. 糖尿病予防指導
  5. 医科歯科連携・口腔機能管理
  6. 歯科医療安全管理

各コース共通で、次の基準が定められています。

  • 生涯研修制度専門研修において2コース・30単位以上修得している
  • 歯科衛生士業務経験が3年以上(内、各認定分野の実務経験1年以上)である
  • 認定研修で実習、演習を行う場合、歯科衛生士賠償責任保険に加入する

コースごとに、実務経験の要件が細かく定められています。
分野ごとに、各都道府県に数人から数十人しか認定されている歯科衛生士がいない、希少な資格です。
実務経験や研修時間などの条件が多いですが、挑戦して合格すればスキルアップやキャリアアップに役立つでしょう。

日本歯科衛生士会 認定歯科衛生士|分野B

分野Bに設定されているのは、次のような分野です。

  1. 障害者歯科
  2. 老年歯科
  3. 地域歯科保健
  4. 口腔保健管理
  5. う蝕予防管理

それぞれが関連する専門学会が審査機関となり、審査、推薦した歯科衛生士に対して、日本歯科衛生士会が認定します。
研修や実務経験に加えて学会からの推薦を得なければならず、資格に挑戦するまでに条件をクリアするのが大変な資格といえます。
しかし、認定されれば大きなアドバンテージとなるでしょう。

日本小児歯科学会 認定歯科衛生士

子供の歯科治療には、小児歯科の高い専門技能をもった歯科衛生士が不可欠です。
日本小児歯科学会認定歯科衛生士は、日本小児歯科学会が主導し、小児歯科についての技術や知識のある歯科衛生士を認定するものです。
小児歯科医療に関わる歯科衛生士の技能レベル向上と、その役割を同分野で働く医療者に広く知らせることを目的としています。

申請の条件は以下のとおりです。

  1. 歯科衛生士免許取得から5年以上経過している
  2. 通算5年以上の小児歯科学に関する研修と臨床経験、またはこれと同等以上の経験 があると認められる
  3. 申請時に1年以上引き続いて学会会員である
  4. 学会(全国大会、地方会大会)へ1回以上出席している
  5. 申請時に教育研修単位を30単位以上有する。そのうち小児歯科専門医または認定医がいる施設で得られる教育研修単位を10単位以上含む

※ただし、5の小児歯科専門医または認定医がいる施設で得られる教育研修単位が取得できなければ、筆記試験を受験し合格することで申請者の資格を認める。

申請後、書類審査、学会発表や口頭試問を経て承認までにかかる時間は1年以上です。
5年以上の研修や学会発表などを要しますが、学会に認められる制度であるため権威のある資格といえます。

口腔内の感染症対策に役に立つ資格

口腔内の感染症対策に役に立つ資格

口腔内の疾患を見るにあたり、感染症対策は不可欠な分野です。
本章では、口腔感染症に関する知識と技能を持ち、認定を受けたいと考える人におすすめの認定資格を解説します。

日本歯周病学会 認定歯科衛生士

日本では、55歳以上の成人の6割が歯周病にり患しているというデータがあります。
この制度は、歯周病への対応を的確に行うことができる歯科衛生士の認定と育成が目的です。

申請の条件は次のとおりです。

  1. 歯科衛生士の免許証を有する者
  2. 通算5年以上の歯周病学に関する教育、研修、臨床経験またはこれと同等以上の経験があると認められた者
  3. 申請時に実務経験単位と教育研修単位を合計30単位以上有する者
  4. 申請時に学会会員である
  5. 禁煙宣言に対して同意した非喫煙者である

資格の取得には、認定試験に合格する必要があります。
試験内容は書類審査とケースプレゼンテーション、症例に対する口頭試問です。
ケースプレゼンテーションや口頭試問への準備が必要なことに加え、非喫煙者と宣言することを条件に加えられているのが特徴です。

この認定歯科衛生士資格を取得すると、日本歯科衛生士学会の認定歯科衛生士の一つである、糖尿病予防指導コースの受講者資格が得られます。

日本臨床歯周病学会 認定歯科衛生士

この制度は、歯周病の予防と治療の専門的な知識・技術を持つ歯科衛生士を育成し、地域医療に貢献することを目的としています。

申請の要件は以下のとおりです。

  1. 通算3年以上歯周治療に携わった、またはそれと同等以上の経験を有する
  2. 申請時、継続して2年以上の学会会員歴がある
  3. 学会や教育研修会への参加が3年間で2回以上ある
  4. 申請時、教育研修単位を30単位以上取得している
  5. 歯周病患者を5症例提示し、そのうち1症例に関する口頭試問を実施

症例提示にも条件が細かく設定されており、それをクリアする症例選択や指導者の推薦を要します。
日常診療で歯周病治療に従事している点と、学会への参加が重視された資格です。

認定取得後は、より専門的な歯科衛生士として歯周治療に取り組むことができ、技能を活かせます。
この認定歯科衛生士を取得すると、日本歯科衛生士学会の認定歯科衛生士のうち、糖尿病予防指導コースの受講者資格が得られます。

日本口腔衛生学会 認定歯科衛生士

日本口腔衛生学会による認定歯科衛生士は、口腔衛生の実現のために活躍する歯科衛生士を育成し、認定するものです。

申請の条件は以下のとおりです。

  1. 歯科衛生士である
  2. 申請時、日本口腔衛生学会会員であり、会員歴が通算3年以上
  3. 教育活動の経験、学会参加、発表の単位数の合計が35単位以上あるもの

ケースプレゼンテーション試験で合否が判定されるため、ケースプレゼンテーションの準備が必要です。
申請の要件を満たすのは、他の資格と比較すると容易といえるでしょう。

日本口腔感染症学会 院内感染予防対策認定歯科衛生士

日本口腔感染症学会院内感染予防対策認定歯科衛生士は、学術的な活動が求められるだけではなく、開業医でも取得しやすい点で、他の認定歯科衛生士と異なります。
開業医に身近な学会として、開業医や歯科衛生士を対象に、院内感染予防対策に対する意識の向上と研鑽、情報の獲得をうながすことを目的に認定されています。
したがって、学会活動に重きを置かず、日常業務における努力でも認定資格を得られるよう配慮されているのが特徴です。

具体的な必須条件は以下のとおりです。

  1. 申請時に学会会員であること
  2. 歯科衛生士歴が5年以上であること
  3. 過去5年間に日本口腔感染症学会総会や学会主催の研修会、セミナーに3回以上参加していること

さらに、学会発表、講演、医学関連雑誌などでの論文掲載、大学や研究会などでの講義や講演などの経験が複数必要となります。
しかし、臨床に携わる衛生士と研究や教育に関わる衛生士で満たさなければならない条件が異なるほか、免除の規定が多いのが特徴です。
代わりに、臨床に携わる歯科衛生士にはスタンダードプリコーションの理解と院内感染予防対策に関するマニュアルの整備が求められます。

この認定衛生士を受けると、院内感染症対策について関心を高め、マニュアル整備や感染対策の理解を進めることで、病院全体のレベルを高めることができます。

日本口腔インプラント学会 インプラント専門歯科衛生士

この認定資格は、口腔インプラントに対する歯科衛生士の専門的知識と技術を維持・発展させ、国民の口腔保健の増進に貢献することが目的です。

申請の条件は以下のとおりです。

*日本国歯科衛生士の免許証を有すること
*2年以上継続して正会員であること
*3年以上インプラント治療の介助又はメインテナンスに携わっていること
*正会員として本会学術大会または支部学術大会に2回以上参加していること
*正会員としてインプラント専門歯科衛生士教育講座を2回以上受講していること
*最終補綴物を装着して2年以上経過した症例のインプラント治療の介助又はメインテナンスを行った経験が3症例以上あること
*口腔インプラント専門医1名の推薦があること

出典:2022年度「インプラント専門歯科衛生士試験」についてのお知らせ|日本口腔インプラント学会

試験は症例報告による口述試験です。
症例報告書の準備が必要になります。

インプラント専門歯科衛生士となると、インプラント治療の術前・術中・術後における患者さんのケアを任されることが多いでしょう。
術前は患者さんの口腔内の環境を整え、インプラント手術による感染が起こりにくいように努めます。
術中は手術のアシストをし、術後にはインプラント周囲粘膜炎やインプラント周囲炎の予防に尽力します。

歯科矯正や審美歯科に役立つ資格

歯科矯正や審美歯科に役立つ資格

歯科衛生士は、歯科矯正や審美歯科においても重要な役割を担う職業です。
また、ニーズの増えている分野であるため、専門知識を持った認定歯科衛生士が必要とされています。
本章では、歯科矯正や審美分野で活躍したい歯科衛生士におすすめの資格を見ていきましょう。

日本成人矯正歯科学会 認定矯正歯科衛生士

認定矯正歯科衛生士には、1級と2級があります。
認定矯正歯科衛生士を取得すると、矯正歯科も行う歯科クリニックや審美歯科クリニックなどへの転職、就職が有利になるでしょう。

認定矯正歯科衛生士2級の申請の条件は、以下のとおりです。

  1. 日本の歯科衛生士免許を有すること
  2. 日本成人矯正歯科学会の会員であること
  3. 矯正歯科専門医療機関、大学病院矯正歯科、または矯正歯科臨床も行う医療機関に常勤で3年以上の継続した矯正歯科臨床で従事していること
  4. 日本成人矯正歯科学会の学会などに参加していること

試験は書類のみの審査で、合格率も高いことが予想されます。
1級は、2級を1回更新後申請可能となり、加えて学術大会にて講演をすることという条件があります。

ホワイトニングコーディネーター

ホワイトニングコーディネーターは歯科衛生士のみが取得できる資格です。
この制度の目的は、ホワイトニングの基本的知識を取得し、適切な情報の普及とアドバイスができる人材を育てることです。

講習を受講し、同日に行われる試験をクリアすれば認定されます。
歯科衛生士で、日本歯科審美学会の学会員になれば申請可能です。
ホワイトニングは歯科衛生士であれば誰でも行えますが、正しく詳細な知識を持つホワイトニングコーディネーターは、特に審美歯科クリニックなどで重宝されるでしょう。

日本歯科審美学会 歯科衛生認定士

日本歯科審美学会の歯科衛生認定士は、審美歯科領域全般の口腔衛生に対する専門知識、技術の習得、研究、教育を行うものと認定された歯科衛生士です。

申請の条件は、以下のとおりです。

  1. 学会学術大会に2回以上出席すること
  2. 歯科審美に関連する発表を行うこと
  3. 申請時点で3年以上の会員歴を持つ歯科衛生士
  4. 口腔衛生業務を行い、歯科審美に関する啓発活動を行うこと

審美歯科のニーズは上昇傾向にあり、その専門家である歯科衛生認定士は、転職にも有利に働くでしょう。

日本顎咬合学会 認定歯科衛生士

この認定制度は、歯科衛生士の歯科補綴など、顎咬合学分野の専門知識と技能を持った衛生士を認定する制度です。

認定条件は以下のとおりです。

  1. 歯科衛生士の免許をもち、日本顎咬合学会の満2年以上の会員歴がある
  2. 2年以上の臨床経験がある
  3. 日本顎咬合学会の学術大会への参加経験がある
  4. 支部長、咬み合わせ指導医、指導歯科衛生士の3名の推薦がある
  5. 認定事前研修を受講後、認定試験を受験し、合格する

研修と試験の受験が必要で、試験の出題範囲は比較的広範囲といわれます。
しかし、合格すれば専門性を明確に示すことができる貴重な資格です。
さらに、認定歯科衛生士となってからも経験を積むことで、指導歯科衛生士の認定を受ける資格を得られます。

歯科衛生士が持っているとプラスになる資格でキャリアアップをめざそう

歯科衛生士がキャリアアップして取得できる認定歯科衛生士について解説しました。
さまざまな分野で認定歯科衛生士が認められていることが理解できたでしょう。
本記事を読んで、自分に合った資格を取得し、キャリアアップをめざしましょう。

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