
看護師へのステップアップをめざす准看護師が、看護師国家試験の受験資格を得るためには、養成課程のある学校で2年以上学ばなければなりません。
この養成課程には通信制もあります。
しかし、通信制を受講するためには、准看護師としての実務経験が7年以上必要です。
現在、通信制の受講に必要な実務経験を7年から5年に短縮する議論が行われていますが、実際に短縮される見込みはあるのでしょうか?
目次
准看護師の通信制受講に必要な実務経験は5年になるのか?
准看護師が看護師国家試験の受験資格を得るために必要な看護師養成課程に、通信制が登場したのは2004年ですが、当初、その受講に必要な実務経験は10年以上でした。
その後、2015年に閣議決定された「『日本再興戦略』改訂2015」のなかで「通信制看護師学校養成所の入学基準の緩和」が設けられ、厚生労働省で会議が行われました。
会議では、実務経験を5年にする案や3年にする案も出たことが記録されています。
また、当時の読売新聞(2015年7月5日付)でも「実務経験の期間を5年程度に緩和する方針を厚生労働省が固めた」と取り上げられています。
実際には、教育を提供する体制や整備すべき体制などが検討され、2018年4月より実務経験年数は7年に短縮されました。
この会議のなかで、施行後3年を目処に実務経験年数を5年に短縮できるか検討することとなっており、2021年がその施行後3年にあたります。
【2023年現在】通信制で看護師になるための実務経験は7年のまま
2023年現在、通信制に必要な実務経験をさらに短縮し、5年とすることについては、有識者のなかで依然として議論があるものの、実際に必要な実務経験年数は7年のままです。
看護師資格を取得する方法は、通信制教育の他に、全日制、定時制の学校に通学するルートもあります。
通信制 | 全日制 | 定時制 | |
学習期間 | 2年 | 2年 | 3年 |
入学要件 | 准看護師としての実務経験年数が7年以上必要 | 准看護師資格が必要 (最終学歴が中学校卒業の場合、准看護師としての実務経験3年以上) |
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特徴 | 座学は主に通信教材を使用。 登校が必要な授業や 病院などで見学実習もある。 登校日数は2年間で50日以上の規定があり、学校ごとに異なる。 |
最短で看護師資格を取得できるルート。 | 昼間定時制と夜間定時制がある。 学校ごとに授業時間や曜日が異なる。 3年生は実習がメイン。 |
【将来】通信で准看護師になるための実務経験が5年になる可能性は?
2022年11月28日に、実務経験年数の短縮について話し合いが行われました。
しかし、現時点で結論は明らかではありません。
会議では以下のデータなどを参考に、有識者で話し合われました。
- 実務経験年数を7年以上に変更してからの入学者割合の推移
- 2021年度入学者の年齢
- 2015年と2020年に学生と教職員へ実施した、実務経験年数に対するアンケート結果の比較
データの結果を踏まえた会議では、5年にする利点や7年のままでいる利点など、さまざまな意見が出ました。
しかし、5年に短縮したほうが良いと判断できる結論には至らず、次回に持ち越しとなっています。
そのため、現時点で実務経験年数を5年以上にする案は、未定の状態です。
准看護師の実務経験年数を理解して通信制学習も視野に入れよう
准看護師が通信制教育を利用して看護師資格を得るための条件として、実務経験年数があります。
必要な実務経験の年数は、通信制がスタートした当初は10年でしたが、2018年より7年に短縮されました。
3年後の2021年に見直される予定でしたが、さらに短縮して5年にするかどうかは結論が出ておらず、現在も7年以上のままとなっています。
看護師資格を取得しようと考えている准看護師の方は、必要な実務経験の年数が今後変わるかもしれないということも頭に入れておくと良いでしょう。
