
公認心理師は2017年に法施工された国家資格です。
比較的新しくできた資格であるため、将来性に不安を覚える人もいるでしょう。
この記事では公認心理師資格が制定された背景を紹介しつつ、将来性を詳しく解説しています。
公認心理師の資格取得をめざすべきかの判断に役立てられる内容になっているので、ぜひ一読ください。
なお、公認心理師の仕事内容などは、以下の記事で詳しく解説しています。

目次
公認心理師の資格ができた背景
公認心理師の資格ができた背景として、近年国民の心の健康問題が複雑化、多様化してきたことがあげられます。
精神疾患患者数の増加やいじめ、ひきこもりなど多様な問題に対して支援の充実が求められています。このようななかで国民が、安心して心理的な支援を受けられるように、心理的支援の充実や一定の資質保持を目的に制定されました。
国立病院などでは、国家資格の制度化前から多くの心理療法が精神疾患だけでなく、がんやHIVなどの患者さんの支援に活用されていました。
心理的な疾患以外に、身体の病気によるメンタルの不調等にも、より充実した支援が必要とされています。
公認心理師の将来性は高い
公認心理師資格制定の背景を踏まえて、将来性を見ていきましょう。
現在日本の精神疾患患者は増加傾向にある
現在の日本は精神疾患患者が増加傾向にあり、公認心理師の将来性は高いといえます。
実際に厚生労働省が発表しているデータによると、平成14年に258.4万人だった精神疾患の患者数は、平成29年で419.3万人まで増加しています。
特にアルツハイマー病で外来を受診する患者さんが15年前と比較して7.3倍となっており、後期高齢者の精神疾患患者の増加が顕著です。
高齢者の問題だけではなく、いじめやひきこもり・児童虐待など学校やご家族等の社会と関係した問題、自殺・災害等の社会問題の広がりによって、支援の充実が求められています。
心理職の国家資格である公認心理師は、活躍の場が広がると考えられるでしょう。
病院に配置する公認心理師を増加させる提言もある
令和元年の厚生労働省の調査において、心理職の雇用のある医療機関の割合は、精神科主体病院では83.4%、総合病院・⾝体科主体病院では 29.7%でした。
同調査において、⼼理職に期待する役割や業務として、医療現場で心理アセスメントや心理面接を実施したり、多職種医療におけるチームの一員として貢献したりすることがあげられています。
また患者さんだけでなく、チームスタッフのメンタルケアに貢献するなど、従業員の精神安定を図る役割を求められていることも示されました。
今後、病院での活躍も期待されています。
公認心理師の将来性は臨床心理士より高い?
公認心理師とは別の心理系の資格として、臨床心理士があります。
臨床心理士は1988年に資格認定が開始された心理系の民間資格ですが、公認心理師制度ができる前は事実上の公認資格とされていて、広く認知されています。公認心理師は精神疾患が増加傾向にある現代で、多様なメンタル疾患に対して安心して支援を受けられる目的で作られた国家資格です。
国家資格である公認心理師と、民間資格である臨床心理士とでは、それぞれ受験ルートや資格更新の必要性が異なります。
公認心理師資格を取得するためには、大学で決められた心理系科目を履修したうえで、指定大学院でさらに心理関連科目を修了することが必要です。
一方で臨床心理士の場合は、大学での心理系の履修は必須ではなく、指定大学院にて必修科目を履修すると受験資格が得られます。
現状、臨床心理士の多くが公認心理師資格を取得し、業務内容として大きな違いはありません。しかし、公認心理師には「心の健康に関する知識の普及を目的とした教育や情報提供」も業務内容に含まれます。臨床心理士と比較して公認心理師は「社会の健康づくり」により重視した資格といえるでしょう。
大学院によってはダブルライセンスをめざせる場合もあるため、これから資格取得を考えている人はどちらも取得するのがおすすめです。
公認心理師は将来性が高く需要のある資格
公認心理師は、精神疾患患者数が増加傾向にある日本で将来性が高い資格です。
心理系で唯一の国家資格で、需要のある資格といえるでしょう。
今後は病院のチーム医療などに公認心理師の活躍が期待されています。ぜひ取得して心理の専門家として活躍してください。