
介護福祉士は、高齢者や障がい者の日常生活をサポートする重要な役割を担っています。
しかし、その仕事では体力的にも精神的にも大変なことが多くあります。
目次
介護福祉士の仕事で大変なこと
介護福祉士の仕事は、身体的にも精神的にも負担が大きいものが多くあります。
特に大変だと感じる部分について、詳しく見ていきましょう。
体力が求められる
介護福祉士の仕事では、利用者の身体を支えたり、抱えたりすることが多くあります。
そのため、日々の業務をこなすには十分な体力が必要不可欠です。
介護の現場で長く働いていると、腰を痛めてしまうことも多いように、身体への負担は大きいものがあります。
加えて、人手不足によって一人当たりの仕事量が多くなるケースもあり、身体的な負担がさらに増大してしまうこともあるのです。
勤務時間が不規則になることがある
特別養護老人ホームや有料老人ホームなどの入所施設で働く介護福祉士は、夜勤があることが一般的です。
夜勤の形態は施設によって異なりますが、2交代制の場合は休憩をはさむとはいえ16時間程度もの長時間勤務になることもあります。
また、日勤と夜勤を繰り返す不規則な勤務体制が続くと、生活リズムが崩れてしまい、体調を崩しやすくなってしまいます。
規則正しい生活を送ることが難しいというのも、大変さの一つといえるでしょう。
給与が見合わないと感じることもある
介護福祉士の仕事内容には、身体的にも精神的にも負担が大きいものが多くあります。
しかし、その割に給与が少ないと感じる人も少なくありません。
令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果によると、介護福祉士の平均月収は331,080円でした。
一方、毎月勤労統計調査令和4年9月分の結果では、一般労働者の所定内給与は319,256円です。
介護福祉士の平均月収は一般労働者よりも高いものの、仕事内容に見合っていないと感じる人もいるのが現状です。
実際に、令和4年度介護労働実態調査の結果では、介護職員の退職理由として「収入が少なかったため」が全体の3位となっています。
慢性的に人手不足である
介護の現場では、慢性的な人手不足が問題となっています。
第8期介護保険事業計画に基づく推計では、2023年度には約233万人、2025年度には約243万人の介護職員が必要とされています。
しかし、2022年度時点での介護職員数は約215万人であり、2023年度までに約18万人が不足している状況です。
人手不足が続くと、希望する休暇が取りにくくなったり、理想とする介護サービスの提供が難しくなったりと、職場への不満発生にもつながります。
人間関係で悩むことがある
令和4年度介護労働実態調査の結果によると、介護職員の退職理由として最も多かったのが「職場の人間関係に問題があったため」でした。
介護の現場では、職場の人間関係の悩みを抱える人もいます。
職場では、スタッフ間だけでなく、利用者やそのご家族とのコミュニケーションも欠かせません。
しかし、多様な人との関わりのなかで良好な関係を築き、長く維持することは簡単ではありません。
人間関係の悩みは、介護福祉士にとって大きなストレスになることもあるのです。
介護福祉士は大変だがやりがいもある
介護福祉士の仕事は大変なことも多いですが、それと同時にやりがいを感じられる瞬間もたくさんあります。
仕事のやりがいについて見ていきましょう。
感謝の言葉や笑顔をもらえる
利用者やそのご家族から、「いつもありがとう」と直接感謝の言葉をかけてもらえることがあります。
笑顔で感謝を伝えられると、自分が人の役に立っていること、社会に貢献できていることを実感できるでしょう。
利用者の良い変化を見られる
介護福祉士は、利用者の生活の質を向上させるために、日々の業務に取り組んでいます。
そのため、利用者に良い変化が現れたときには、大きなやりがいを感じることができます。
例えば、これまで介助が必要だった車いすへの移乗や更衣などが自力でできるようになったときや、以前と比べて表情が明るくなったときなどは、介護サービスの成果を目の当たりにできるうれしい瞬間だといえるでしょう。
人生の先輩から貴重な経験談を聞ける
介護施設の利用者は、豊富な人生経験を持つ人がほとんどです。
そのため、利用者との会話のなかで、自分では体験したことのない貴重な経験談を聞くこともできます。
利用者一人ひとりが歩んできた人生は十人十色です。
実体験に基づく話を聞くことができるのは、介護福祉士ならではの特権かもしれません。
聞いた話を自分の人生に活かすこともできるでしょう。
介護業界唯一の国家資格でキャリアと収入アップが狙える
介護福祉士は、介護業界で唯一の国家資格です。
そのため、資格取得によって収入アップを狙うことができます。
実際に、令和2年度の社会福祉士・介護福祉士・精神保健福祉士就労状況調査結果報告書によると、資格手当の平均額は9,055円でした。
また、介護福祉士の資格を取得したあとは、認定介護福祉士やケアマネジャーなどのさらなるキャリアアップをめざすこともできます。
自身のスキルアップを図りながら、介護の仕事を続けていくことができるのです。
介護福祉士に向いている人の特徴
介護福祉士は、誰にでも向いている仕事ではありません。
ここでは、介護福祉士に向いている人の特徴について詳しく見ていきましょう。
人とのコミュニケーションが得意な人
介護の現場では、利用者やそのご家族、職場のスタッフなど、さまざまな人とコミュニケーションを取りながら仕事を進めていく必要があります。
そのため、人とのコミュニケーションが得意な人ほど、介護福祉士に向いているといえるでしょう。
逆に、コミュニケーション能力が低い人は、利用者やご家族とのトラブルに発展してしまったり、仕事に必要な情報のやりとりがうまくいかなかったりと、困難に直面する可能性が高くなってしまいます。
円滑なコミュニケーションを担う力は、介護福祉士にとって欠かせない能力です。
明るく元気に仕事ができる人
介護施設の利用者のなかには、何らかの不調を抱えていたり、日によって気分の浮き沈みがあったりする人もいます。
そのような利用者に接する際、明るく元気な対応ができる人は、利用者の気持ちを前向きな方向に変化させる力を持っているのです。
また、明るく振る舞うことは、一緒に働くスタッフの士気を高めたり、職場の雰囲気を良くしたりする効果も期待できます。
介護の仕事では、周囲へ好影響を与えられるポジティブさが求められるといえるでしょう。
体力があり力仕事が得意な人
介護の仕事では、日々の業務のなかで身体を動かす機会が非常に多くあります。
一般に、利用者の身体介助は欠かせない業務の一つであり、抱え上げたり支えたりする力仕事が必要です。
そのため、体力があり力仕事が苦にならない人は、介護福祉士に向いているといえます。
介護の仕事は、心身ともに健康であることが何よりも大切な条件なのです。
向上心のある人
介護福祉士には、介助技術や介護保険制度など、身につけるべき知識や技術が非常に多くあります。
そのため、常に学ぶ姿勢を持ち、自己研鑽を怠らない向上心が欠かせません。
新しい知識や技術は、日々の業務をこなすだけでは身につけることができません。
向上心を持って、自主的に研修に参加したり、資格取得に向けて勉強したりすることが求められます。
介護の仕事は、常に成長を続けられる人に向いているといえるでしょう。
介護福祉士には大変なことも多いがやりがいのある仕事
介護福祉士の仕事は、体力的にも精神的にも大変な部分が多くあります。
重労働や不規則な勤務体制、給与の低さ、人手不足、人それぞれの間関係の悩みなど、さまざまなストレス要因が潜んでいるのです。
しかし、その一方でやりがいを感じられる瞬間も数多くあります。
利用者やご家族から直接感謝の言葉をかけられたり、利用者の生活の質が向上する姿を目の当たりにできたりすることは、この仕事の魅力だといえるでしょう。
介護福祉士という仕事に興味を持ったら、ぜひ一度介護施設の見学に行ってみましょう。
実際の現場の雰囲気を肌で感じることで、自分に合った働き方を見つけられるはずです。
介護の仕事は大変ですが、それ以上にやりがいのある素晴らしい仕事だということを実感できるに違いありません。