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歯科医師と医師の違いを詳しく解説|免許取得方法から仕事内容・給料まで

名前に「医師」と付いていることから、歯科医師は、内科や外科の医師と同様に歯科を専門に選んだ医師であると思っている方は多いのではないでしょうか。
実は、歯科医師と医師はまったく別の職種です。

歯科医師と医師では、資格取得のルートや仕事内容、働く場所など、すべてが違います。
この記事では、どのように違うのか、なぜ違う資格なのかなど、歯科医師と医師の違いについて解説していきます。

歯科医師と医師の免許の違い

歯科医師と医師の免許の違い

歯科医師と医師は、卒業する学部も、受験する国家試験も違います。
いずれも「医師」と付くため、持っている資格は同じだとイメージしやすいですが、歯科医師と医師の免許はまったく別のものです。
具体的にどのように違うのかを、下記で解説します。

免許を定めている法律が違う

歯科医師になるためには、歯科医師免許が必要です。
歯科医師免許は、大学の歯学部や歯科大学を卒業し、歯科医師国家試験に合格することで取得できます。

また、医師になるためには、医師免許が必要です。
医師免許は、大学の医学部を卒業し、医師国家試験に合格することで取得できます。

歯科医師免許は歯科医師法、医師免許は医師法で定められています。

医師は、医師免許を取得したからといって、歯科診療はできません。
歯科医師ができるのは歯科医療のみで、医師は歯科以外の全身を診察します。
つまり、歯科医師と医師はまったく違う種類の職業なのです。

歯科医師と医師の免許が別になった歴史的背景

そもそも、どうして歯科医師と医師の免許が別なのか、考えたことはありませんか。
ギリシャ・ローマ時代、医療は祈祷師や医師によって行われてきました。
対して、抜歯は歯抜き師、入れ歯は入れ歯師など、歯に関することは職人が行っていました。

そのため、19世紀にアメリカの大学で医学部が創設されたとき、歯学はartであってscienceではないという考えから、医学部に含まれませんでした。
そこから歯学と医学の道は分かれ、その風土はヨーロッパや日本へ流れ込んだと考えられています。

歯科医師と医師の仕事・職場の違い

前述したように、歯科医師と医師は診る領域や規定する法律などがまったく違うため、仕事内容や職場も異なります。
ここでは、歯科医師と医師の、仕事内容や職場の違いを見ていきましょう。

仕事内容の違い

取得する国家試験が違うため、歯科医師と医師の仕事内容は別物です。
対比するためにも、それぞれの仕事内容の違いを下表で示します。

歯科医師 医師
役割 歯科医療および保健指導で国民の健康な生活を守ること 医療および保健指導で国民の健康な生活を守ること
仕事内容 ・歯の治療
・保健指導
・健康管理
臨床医:患者に対し診察をして、病気の治療・予防などを行う
研究医:病気の原因や中身を研究して治療法を見つける
診療科 ・歯科
・小児歯科
・矯正歯科
・歯科口腔外科
・審美歯科
・外科
・内科
・小児科
・眼科
・産婦人科
・耳鼻いんこう科
・皮膚科
・精神科
・救急科
・放射線科
・麻酔科など

上表のように、歯科医師と医師はまったく別の診療を行います。
また、歯科医師と一言でいっても、虫歯治療などの一般歯科だけではなく、がんなどの悪性腫瘍除去を中心に口腔内の手術を行う口腔外科なども診療科の一つです。

働く職場の違い

令和2年の厚生労働省の「医師・歯科医師・薬剤師統計の概況」によると、半数以上の歯科医師が診療所の開設者や代表者になっています。
残りの約3割は診療所、約1割は病院に勤務し、その他の約3%は教育機関や研究機関、行政施設、介護施設などで働いています。

施設別の歯科医師の構成割合(%)
医療機関の従事者 病院の従事者 病院(医育機関附属の病院を除く) 3.0
医療機関附属の病院 8.5
診療所の従事者 診療所の開設者又は法人の代表者 54.8
診療所の勤務者 30.6
医療施設・介護老人保健施設・介護医療院以外の従事者 1.5
その他の者 1.5

医師の勤務先は病院が半数以上と最も多く、3割が診療所という統計結果でした。
このように、歯科医師と医師は働く先が大きく違います。

施設別の医師の構成割合(%)
医療施設の従事者 病院の従事者 病院(医育機関附属の病院を除く)の開設者又は法人の代表者 1.5
病院(医育機関附属の病院を除く)の勤務者 45.3
医育機関附属の病院の勤務者 16.9
診療所の従事者 診療所の開設者又は法人の代表者 21.4
診療所の勤務者 10.2
介護老人保健施設の従事者 1.0
介護医療院の従事者 0.1
医療施設・介護老人保健施設・介護医療院以外の従事者 2.8
その他の者 0.8

歯科医師と医師になる方法の違い

前述でも少し触れましたが、歯科医師になるためのルートと医師になるためのルートは違います。
どのようなルートをとることでそれぞれの免許を取得できるのか、その過程で学ぶことはどのようなことなのかを、具体的に解説します。

免許を取得するルート

歯科医師免許の取得 医師免許の取得
高校

歯科大学・大学歯学部(6年間)

歯科医師国家試験合格

歯科医師免許取得
高校

大学医学部医学科(6年間)

医師国家試験合格

医師免許取得

歯科医師になるには、大学の歯学部や歯科大学で6年間の教育を受け、単位を取得し卒業します。
そして歯科医師国家試験に合格し、歯科医師免許を取得しなければなりません。

2006年4月からは、資格取得後に研修施設の指定を受けた病院や診療所などで臨床研修を1年以上行うことが義務付けられています。

医師をめざす場合は医学部や医科大学で6年間の教育を受け、単位を取得し卒業することで、医師国家試験を受けることができます。
国家試験に合格して医師免許を取得したうえで、2年以上の臨床研修を受けなくてはなりません。

学ぶ内容

歯学部と医学部の教育内容には、共通点と相違点があります。
解剖学や生理学、病理学などの基礎科目は、歯学部も医学部と同様に人間の体全身のことを学びます。

また、歯学部の臨床科目では内科学、外科学、眼科学などの医学部の診療領域も学びますが、メインとなるのは歯科保存学や歯科補綴学、歯周病学、歯科矯正学、口腔外科学など、歯学の専門性に沿った科目です。

医師はその他に、法律との関係を研究する法医学、予防医学なども学びます。

歯科医師と医師の給料の違い

令和4年の厚生労働省の調査によると、歯科医師の平均年収は810万円、医師の平均年収は1,429万円でした。
平均年収だけ見ると大きな差がありますが、開業医か勤務医か、または診療科などによっても変動があります。

ここ数年の歯科医師と医師の平均年収は、以下のとおりです。

年度 歯科医師 医師
令和4年 810万円 1,429万円
令和3年 787万円 1,378万円
令和2年 788万円 1,440万円
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歯科医師と医師では免許や診る分野が違う

歯科医師と医師は、同じ「医師」が付く職種とはいえ、定められる法律や国家試験の種類、診療できる領域など、多岐に渡って大きく違います。
資格取得までのルートも別で、歯科医師は歯学部や歯科大学、医師は医学部や医科大学を卒業したうえで、それぞれの国家試験に合格しなければなりません。

平均給料は医師のほうが高い傾向にありますが、どの診療科なのかや開業の有無などによっても変動します。
自分がやりたい内容や興味がある分野を考え、歯科医師や医師をめざしましょう。

執筆者について

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