
「ケアマネジャーの資格がなくなるのではないか」と一部で噂されています。
また、インターネットで「ケアマネジャー」と検索をすると、「廃止」といった検索ワードが一緒に出てきます。
本当に、ケアマネジャーの資格はなくなってしまうのでしょうか。
この記事では、ケアマネジャーの資格が廃止されるのかどうかを解説します。
以下の記事では、ケアマネジャーについて詳しく解説していますので、併せてご参照ください。
>>ケアマネジャーはどのような仕事?業務内容や仕事観を知って理解を深めよう
目次
ケアマネジャーの資格は廃止されるのか
結論からいうと、ケアマネジャーの資格は廃止されません。
しかし「ケアマネジャーの資格が廃止される(された)」といった情報が流れているのには、下記に記載の5つの原因があります。
- 受験資格の厳格化
- 国家資格取得者の試験免除科目の廃止
- 試験合格者の激減
- 法改正により管理者が主任ケアマネジャーに限定
- ケアプランの有料化
次の記事では、ケアマネジャーの資格について詳しく説明していますので、ご参照ください。
>>ケアマネジャーの受験資格を知りたい!受験に必要な資格や経験について解説
受験資格の厳格化
2018年度(第21回)の試験より、ケアマネジャーの質を向上させるために受験資格が厳格化されています。
2018年以前は、無資格であっても、介護施設での相談援助業務に5年間従事、介護業務に10年間従事、といった条件を満たしていればケアマネジャーの試験の受験資格が与えられていました。
しかし、受験資格が厳格化された2018年以降は、介護などの実務経験のみでは受験資格を満たすことができなくなりました。
このことが、ケアマネジャーの資格が廃止されるという噂の、一つの要因になっていると考えられます。
国家資格取得者の試験免除科目の廃止
2015年度より、特定の国家資格(医師、看護師など)保持者の試験科目の免除がなくなり、全員が同じ試験科目を受験する方針に変更となりました。
理由としては、ケアマネジャーの質や専門性の向上が挙げられます。
また、2014年以前に免除になっていた科目は、保健医療サービス(基礎・総合)と福祉サービス分野です。
保有している国家資格によって、免除科目が異なっていました。
試験合格者の激減
先述した受験資格の厳格化と国家資格取得者の試験免除科目を廃止した影響で、ケアマネジャーの試験合格者がその年に激減したことも、資格廃止の噂の原因になっていると考えられます。
【国家資格取得者の試験免除科目が廃止になる前後の試験合格者の推移】
受験者数 | 合格者数 | 合格率 | |
---|---|---|---|
2014年 | 174,974人 | 33,539人 | 19.2% |
2015年 | 134,539人 | 20,924人 | 15.6% |
引用元:厚生労働省公式サイト
【受験資格を厳格化した前後の試験合格者の推移】
受験者数 | 合格者数 | 合格率 | |
---|---|---|---|
2017年 | 131,560人 | 28,233人 | 21.5% |
2018年 | 49,332人 | 4,990人 | 10.1% |
引用元:厚生労働省公式サイト
また、昨年(2022年)の試験合格者数などの結果は、以下のとおりです。
受験者数 | 合格者数 | 合格率 | |
---|---|---|---|
2022年 | 54,406人 | 10,328人 | 19.0% |
引用元:厚生労働省公式サイト
これらの合格者の推移より、試験の受験資格や試験科目に変更があった年の合格率は下がっていますが、その後は平均並みに戻っていることがわかります。
法改正により管理者が主任ケアマネジャーに限定
2021年の介護法改正によって、居宅介護支援事業所の管理者が主任ケアマネジャーに限定されました。
主任ケアマネジャーになるには、「主任介護支援専門員研修」を修了する必要があり、実務経験も必要です。
すぐに主任ケアマネジャーを管理者にできる施設が約半数(44.9%)と少なかったことから、切り替えにあたって、主任ケアマネジャー以外が管理者を担当できる期間を延長する措置が取られています。
ケアプランの有料化
ケアプランの有料化とは、現在は自己負担のないケアプランを「1ヵ月一人あたり1,000円徴収」などのように、有料化しようという動きです。
これによって施設を利用する人が減り、ケアマネジャーの需要が減るのではないかといわれていることも、ケアマネジャーの資格が廃止されるという噂に関係している可能性があるでしょう。
なお、ケアプランの有料化は過去にも示唆されてきましたが、実際は先送りになっています。
今後ケアマネジャーの資格が廃止されることはあるのか
ケアマネジャーの今後ですが、高齢化が進む社会において需要がなくなることはないと予想されています。
高齢化社会におけるケアマネジャーの質を高めるために、厚生労働省は受験資格の厳格化や、国家資格保有者の試験免除科目の廃止を行いました。
また、介護現場では、人工知能(AI)を導入してケアプランを作成する取り組みが行われ始めています。
ですが、ケアマネジャーの業務内容には人間にしかできない業務もあり、AIにすべてを任せることはできません。
よって、ケアマネジャーの需要がAIの導入によってなくなることもないでしょう。
ケアマネジャーは廃止の予定はないが変化はしている
ケアマネジャーは、受験資格の厳格化や国家資格取得者の試験免除科目の廃止といった理由から、一部では資格の廃止も噂されています。
しかし、実際には資格を廃止する予定はありません。
高齢化の影響から、ケアマネジャーの資格は今後も需要が高まることが予想されており、政府はケアマネジャーの質の向上に向けた施策を実施しています。
このように、ケアマネジャーの資格は取得条件が変化していますが、なくなることはないでしょう。