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臨床心理士は大学院に行かなくても取得できる?他の資格についても解説

この記事の監修者
野口亜美梨様_プロフィール
野口亜美梨
【資格】
臨床心理士・公認心理師

【プロフィール文】
教育・医療分野に長年従事し児童から高齢者まで幅広く経験
心理面接、心理検査、プレイセラピー、治験業務等で活躍中
仲間と支えあって働くことがモットー

臨床心理士は、日本臨床心理士資格認定協会によって認定が行われている、心理系の民間資格です。
心の専門家として、精神的な悩みや問題を抱える人々に寄り添い、臨床心理学の知識と技術を駆使してサポートを行います。
業務には高度な専門性が求められることから、臨床心理士の資格を取得するには、定められたカリキュラムを履修して大学院を修了し、受験資格を得ることが前提となります。
資格取得に向けて計画的に準備を進めましょう。

本記事では、臨床心理士の資格取得に必要なプロセスを解説するとともに、大学院に行かないルートでも取得をめざせる心理系資格を紹介します。

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臨床心理士になるためには大学院に行かないといけない?

臨床心理士になるためには大学院に行かないといけない?

臨床心理士は、高度な専門知識と実践的なスキルを要する職業です。
そのため、資格取得のプロセスにも厳格な規定があり、基本的には大学院へ行かないと受験資格を得られません。

臨床心理士は大学院の修了が必須

臨床心理士になるためには、大学院の修了が原則必須となります。
指定された大学院や専門職大学院でカリキュラムを履修して修了しなければ、臨床心理士試験の受験資格を満たせないためです。

大学院への進学・修了には一定の費用と時間がかかりますが、このプロセスを経て取得した臨床心理士の資格は、高い専門性の証明になります。
臨床心理士の資格を活かして、病院や精神保健施設といった医療・保健分野をはじめ、教育分野や産業分野、司法分野など幅広い場所で活躍できるでしょう。

臨床心理士になるために進学できる大学院

臨床心理士をめざせる大学院は、大きく以下3種類に分けられます。

  • 指定大学院
  • 臨床心理士専門職大学院
  • 指定大学院の通信制

それぞれの特徴や違いを詳しく見てみましょう。

指定された大学院

臨床心理士をめざす場合、日本臨床心理士資格認定協会による指定大学院を修了し、受験資格を得るのが基本的なルートです。
指定大学院には、第1種指定大学院と第2種指定大学院の2種類があり、それぞれ次のような違いがあります。

種類 第1種指定大学院 第2種指定大学院
専攻・課程の名称 「臨床心理学」、または「臨床心理学」に特化した名称 「臨床心理学」に特化した名称
大学院数
※2023年8月時点
148校 8校
担当教員 臨床心理士の有資格者5名以上、専任教員4名以上が在籍し、そのうち2名以上は教授であること 臨床心理士の有資格者4名以上、専任教員3名以上が在籍し、そのうち1名以上は教授であること
実習施設 附属臨床心理相談室や学外実習設備 附属臨床心理相談室や、大学院から委嘱されて実習を行う学外施設
資格試験 大学院修了時に臨床心理士資格審査の受験資格を得られる 大学院修了後1年以上の実務経験を積むことで、臨床心理士資格審査の受験資格を得られる

指定大学院は複数存在し、それぞれ学費や立地、カリキュラムなどに特色があります。
複数校を比較検討し、自分にとって最適な環境で学べる大学院を見つけましょう。

臨床心理士専門職大学院

臨床心理士専門職大学院は、全国に6箇所あり、高度な専門職に携わる人材の育成を目的に創設された、専門職大学院制度に該当する教育機関です。
臨床心理士専門職大学院は、通常の指定大学院と比べると実習時間が多く設けられており、より実践的な経験を積めるという特徴があります。
また、修士論文ではなく実習を元にした事例研究を行うことが特徴で、臨床心理士資格試験の際に課される論文記述試験が免除されるのがメリットです。

より実践的なスキルを身につけたい方や臨床実践に重点を置きたい方にとって、臨床心理士専門職大学院は魅力的な選択肢といえるでしょう。

指定大学院の通信制

社会人の方が働きながら臨床心理士の資格取得をめざす場合、日中に大学院へ通学するのはなかなか難しい可能性があります。
この場合、通信制の指定大学院で学ぶのも一つの選択肢です。
仕事を続けながら必要な単位を取得し、臨床心理士の資格取得をめざせるのがメリットです。

通信制大学院では一般的に、オンラインでの講義やレポート提出、スクーリング(対面授業)などを組み合わせたカリキュラムが組まれています。
社会人の方も現在の生活スタイルを大きく変えることなく、自分のペースで学習を進めやすい反面、履修に関する自己管理能力や計画性は必須となるでしょう。

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臨床心理士以外で大学院へ行かなくてもめざせる心理系資格

臨床心理士以外で大学院へ行かなくてもめざせる心理系資格

臨床心理士の資格を取得するには、必要なカリキュラムを修了しなければならず、大学院に行かないという選択肢は基本的にありません。
ただし、臨床心理士以外の心理系資格のなかには、大学院修了を必須としないものも存在します。
心理学の知識を活かして働きたい方や、大学院へ進まずより短期間で資格を取得したい方は、次のような心理系資格を検討してみてください。

  • 公認心理士
  • 認定心理士
  • メンタルケアカウンセラー
  • 家族相談師
  • SNSカウンセラー

各資格の特徴や一般的な取得ルートを見てみましょう。

公認心理師

公認心理師は、2017年に誕生した日本ではじめての心理系国家資格です。
公認心理士の取得ルートはいくつかあり、その多くは大学院への進学を前提としていますが、大学院に行かずとも実務経験によって受験資格を満たせる場合があります。
公認心理師の資格取得ルートは、主に以下2種類です。

  • 4年制大学で指定された科目を履修し、大学院で指定された科目を履修する
  • 4年制大学で指定された科目を履修し、認定施設で2年以上の実務経験を積む

実務経験を積める認定施設は全国に9箇所と限られていますが、大学卒業後、大学院へ進まず実務経験を積むことでも、公認心理士の国家試験にチャレンジすることも可能です。
いずれのルートも最終的には試験に合格する必要があるため、自分にとって学びやすい環境を見極めましょう。

認定心理士

認定心理士は、公益社団法人日本心理学会が認定する心理系の民間資格です。
心理学専攻によって基礎知識・技術を修得した人材であることを証明する、心理系の基礎資格に位置づけられています。

認定心理士資格は、大学院に進学しなくても取得が可能です。
4年制大学で指定の心理学関連科目を履修し、必要な単位数を取得すれば、認定申請が行えます。

認定心理士は職能に直結する資格ではありませんが、心理学の基礎を幅広く学んだ証明となり、仕事にも専門性を活かせる可能性があるでしょう。

メンタルケアカウンセラー

メンタルケアカウンセラーは、臨床心理学の入門知識と対人で求められる基礎的なコミュニケーション能力を証明する民間資格です。
認定講座の修了によって資格を取得でき、大学院修了などの学歴に関する要件は設けられていません。

メンタルケアカウンセラー認定講座では、臨床心理学に基づく傾聴技法やカウンセリングの基礎を学べます。
資格の認定団体は、「メンタルケア学術学会」「一般財団法人生涯学習開発財団」「一般財団法人日本こころ財団」の3ヵ所です。
職場や日常生活でのコミュニケーション能力の向上をめざす方や、心理カウンセラーの仕事に興味がある方などに適した資格といえます。

家族相談士

家族相談士は、一般社団法人家族心理士・家族相談士資格認定機構が1999年から認定を行っている民間資格です。
家族相談士の資格を取得するには、以下いずれかの条件を満たしたうえで、資格認定試験に合格する必要があります。

  • 家族相談士養成講座を2021年以降に修了している
  • 家族心理に関する研究実績や1年以上の実務経験を有している
  • 家族相談士の資格を失効してから2年以内に再審査を希望している

心理系資格のなかでも、家族相談士は家族間の問題に特化しており、カウンセラーなどに従事する方が家族支援への理解を深めるために役立てられます。

SNSカウンセラー

SNSカウンセラーは、ソーシャルメディアを通じたカウンセリング技能を証明する民間資格です。
若者を中心に広く浸透しているSNSを通じて相談支援を行うため、カウンセリングを求める若年層へのアプローチに適しています。
SNSカウンセラー資格の取得方法は、心理カウンセラー資格の有無によって異なり、いずれのルートでも養成講座の受講が必要です。

  1. 全国SNSカウンセリング協議会が指定する心理カウンセラー資格を持っている場合、SNSカウンセラー養成講座(2日間)を受講する
  2. 心理カウンセラー資格は持っていないものの、隣接国家資格を取得済みの場合、カウンセリング講座(50時間)とSNSカウンセラー養成講座(2日間)を受講する
  3. 心理カウンセラー資格も隣接国家資格も持っていない場合、いずれかを取得し、1~2の手順で認定要件を満たす

すでに心理カウンセラー資格を持っている方は、比較的スムーズに認定手続きを進められるでしょう。

自分に合った心理学に携わる資格を取得しよう

臨床心理士は、高い専門性が求められる資格であり、大学院修了が必須となります。
大学院へ進まずに心理系資格を取得したい場合、公認心理師や認定心理士、メンタルケアカウンセラーなどを検討してみてください。
学びたいことやキャリアプランが明確にある方は、家族相談士、SNSカウンセラーのような特定の分野に特化した資格も選択肢になります。

心理学の知識とスキルは、医療・福祉分野や教育分野、産業分野など多くの職場で活かせるものです。
自分に合った心理系資格を取得して、キャリアの可能性を広げるために役立てましょう。

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