臨床心理士の受験資格を得るためには、大学院にて実習を受ける必要があります。
学校内の相談機関だけでなく学校外の臨床現場へ実習に行く機会もあり、大学で学んだ心理学関連の知識をより深く理解できるようになるでしょう。
臨床心理士は高い専門性が求められる職種であることから、実習時間も多く設けられているのが特徴です。
本記事では、臨床心理士の実習内容を解説します。
臨床心理士の業務内容や資格取得までの流れを知りたい方は、こちらの記事をご参照ください。
目次
臨床心理士の実習内容
臨床心理士の実習は、大きく学内実習と学外実習に分けられます。
それぞれの実習内容を詳しく見てみましょう。
学内実習
臨床心理士の学内実習は、学校内や学校付属の相談機関などで相談員が行う面接への陪席と、教員指導のもとに面接を担当することが主な内容です。
場合によってはケースカンファレンスを行ったり、相談員から適切なアドバイスや指導をもらったりして、心理面談について学びます。
ケースカンファレンスは事例検討会とも呼ばれ、経験豊富な教員の専門的な意見を聞きながら、事例ごとの面接の進め方を学ぶことが可能です。
学校内や学校の付属施設で実施される実習ではあるものの、実際に相談者の方やそのご家族を相手にするため、心理面談の専門性を実践的に身につけられるでしょう。
学外実習
臨床心理士の学外実習は、以下のような学校外部の専門機関で行われます。
- 学校や教育支援センター
- 児童養護施設
- 発達障がい者支援センター
- 医療機関
- 復職・再就職関連施設 など
各専門機関にて、対象者に合わせた予診や心理検査、集団療法、面接の進め方を学び、より専門性を深めていきます。
例えば小学校・中学校・高等学校での学外実習では、面接に陪席しながらスクールカウンセラーのサポートを行うほか、生徒や担任と個別で関わるケースもあるでしょう。
大学院によっては、実習先を自分の興味関心に合わせて選定してもらうこともでき、医療・保健分野や教育分野、産業分野など施設ごとの特徴を身をもって学べます。
臨床心理士の実習時間はどれくらい?
臨床心理士の実習時間は、修士1年次の臨床心理基礎実習と、2年次の臨床心理実習それぞれで90時間ずつ必要です。
厚生労働省の「現行の臨床心理士養成課程の概要・実態・課題と公認心理師制度に向けての提案」には、基礎実習と実習でそれぞれ2単位ずつ履修が必要と明記されています。
実習科目の単位数は、1週1回3時間の授業を15回履修することで1単位です。
つまり1単位45時間となり、2単位取得するためには90時間の履修が必要となります。
基礎実習で90時間、実習で90時間を履修し、合計180時間をかけて臨床心理の実践を学びます。
臨床心理士になるには実習で専門性を深めることが必要
臨床心理士の仕事は患者さんやそのご家族の人生に与える影響が大きく、求められる専門性も高いことから、大学院での実習経験が必要不可欠です。
実習は大きく学内実習と学外実習に分けられ、座学だけでは理解しきれない心理面接の難しさや、施設ごとで求められる臨床心理士の役割を深く理解できるようになります。
実習時間は、臨床心理基礎実習と臨床心理実習を合わせて180時間が必要です。
多いと感じるかもしれませんが、生きた臨床をきちんと学ぶことで患者さんやそのご家族への適切な支援につながるため、1回1回の実習に大切に取り組みましょう。