
専門学校や大学に通う予定がない場合でも、「保育士資格を取得したい」と考えている方はいるでしょう。
保育士資格は一生ものなので、取得したいという気持ちがあれば、資格取得に挑戦してみるのも良いかもしれません。
この記事では、高卒で保育士資格を取得するにはどうしたら良いのか、試験内容や勉強方法などをご紹介します。
今後、保育士試験を受験する際の参考にしてください。
目次
高卒でも保育士の受験資格はある?
高卒でも保育士資格の取得をめざすことは可能です。
ただし、高校を卒業した時期によって、保育士試験の受験資格を満たすための条件が異なります。
高校の卒業年月日が「平成3年3月31日以前」、または高校の保育科の卒業年月日が「平成8年3月31日以前」に該当する人には、保育士試験の受験資格があります。
一方で、高校の卒業年月日が上記に該当しない方(平成3年4月1日以降に高校を卒業した方)の場合は、児童福祉施設での実務経験を積まないと、保育士試験を受験できません。
高卒で保育士資格の取り方
高卒でも保育士資格が取れると先述しました。
ここでは高校卒業後、専門学校や大学に進学しない場合の、保育士資格の取り方をご紹介します。
児童福祉施設で実務経験を積む
平成3年4月1日以降に高校を卒業した方が、保育士試験の受験資格を得るためには、以下の実務経験を満たさなければなりません。
- 児童等の保護または援護に、2年以上かつ2,880時間以上従事
正社員としての勤務だけではなく、パート・アルバイトでもかまいません。
フルタイムで2年間勤務すると、最短で保育士試験の受験資格を得ることが可能です。
また、実務経験を積むことのできる施設は、以下の2種類に区分されます。
- 受験資格に該当する施設
- 受験資格認定基準に該当する施設・事業
それぞれ見ていきましょう。
受験資格に該当する施設
受験資格に該当する施設とは、児童福祉法第7条に基づく児童福祉施設を指します。
該当する施設は以下のとおりです。
- 保育所(利用定員20名以上)
- 保育所型認定こども園
- 幼保連携型認定こども園
- 児童厚生施設(児童館)
- 児童養護施設
- 助産施設
- 乳児院
- 母子生活支援施設
- 障害児入所施設
- 児童発達支援センター
- 児童心理治療施設
- 児童自立支援施設
- 児童家庭支援センター
出典:全国保育士養成協議会
受験資格認定基準に該当する施設・事業
受験資格認定基準に該当する施設・事業での勤務を、保育士資格の受験資格を満たす実務経験とするためには、各都道府県の知事に受験資格認定を申請し、認められなければなりません。
該当する施設には以下のようなものがあります。
- 認可外保育施設(認証保育園、認定保育園 等を含む)
- 小規模保育事業(小規模認可保育所 等)
- 幼稚園型認定こども園
- 地域裁量型認定こども園
- 幼稚園(特別支援学校幼稚部を含む)
- 家庭的保育事業(保育ママ 等)
- 居宅訪問型保育事業
- 事業所内保育事業
- 放課後児童健全育成事業(学童クラブ・放課後児童クラブ・学童保育 等)
- 一時預かり事業
- へき地保育(特例保育)
- 小規模住居型児童養育事業(ファミリーホーム)
- 障害児通所支援事業(保育所訪問支援事業を除く)
- 一時保護施設
- 放課後等デイサービス(児童デイサービス)
- 院内保育
- 企業主導型保育事業 等
出典:全国保育士養成協議会
保育士筆記試験を受験
保育士試験には筆記試験があり、年に2回(4月と10月)開催されます。
出題される科目は以下のとおりです。
- 保育原理
- 教育原理および社会的養護
- 子ども家庭福祉
- 社会福祉
- 保育の心理学
- 子どもの保健
- 子どもの食と栄養
- 保育実習理論
上記8つの科目すべてにおいて、合格基準に達した方にのみ、実技試験の受験資格が与えられます。
なお実技試験に進めなかったとしても、筆記試験を受験した年を含めて3年間、合格基準に達した科目の試験は免除されます。
保育士実技試験を受験
実技試験では以下の3分野のうち、2分野を選択して受験します。
分野 | 試験内容 |
音楽に関する技術 | 課題曲が2曲与えられ、幼児に聴かせることを想定して弾き語りを行う |
造形に関する技術 | 試験当日に提示された一場面を絵画で表現する |
言語に関する技術 | 課題として与えられた物語の中から一つを選択し、3歳児の子どもに3分間のお話をすることを想定して、子どもが集中して聞けるような読み聞かせを行う |
実技試験に合格すると、保育士資格を取得できます。
高卒の保育士資格取得のための試験勉強方法は?
高校卒業後、専門学校や大学に進学することなく、保育士資格の取得をめざすには、実務経験を積むだけでなく、試験対策の勉強が必要です。
勉強方法としては独学か、通信教育を活用する方法があります。
独学
独学は通信教育を受講するのに比べて、費用を安く抑えられる点がメリットです。
また、自分にあった教材を選ぶことができ、通勤時間など隙間時間を利用して勉強できる点も、独学のメリットといえるでしょう。
しかし勉強していくなかで、わからないことがあっても質問できない点は、デメリットです。
よって、モチベーションを維持できる人に適した勉強法といえます。
通信教育
通信教育は、資格試験に精通した専門家が監修したテキストを利用でき、試験のポイントを効率よく押さえられる点が、メリットとしてあげられます。
また、わからないことは質問ができ、すぐに問題が解決できる点も通信教育のメリットです。
しかし、独学で勉強をするよりも費用がかかる点は、通信教育のデメリットとなります。
高卒でも受験資格を満たせば保育士になれる
高校を卒業した年によって、保育士試験の受験条件は異なりますが、高卒でも保育士になることが可能です。
保育士試験は筆記試験と実技試験があり、すべての科目に合格しなければ、資格を得ることができません。
しかし筆記試験は、合格基準に達した科目に受験免除期間が設けられているため、一度不合格になっても、翌年以降に合格するチャンスは十分にあります。
諦めずに勉強して、保育士資格の取得をめざしましょう。