保護者対応は、保育士の仕事の一つです。
毎日の保護者対応を適切に行うことで、保護者と良好な関係を築くことができます。
しかし、対応を誤ってしまうとトラブルやクレームにつながるため、苦手意識を持っている方もいるかもしれません。
この記事では、保育士の保護者対応のコツを解説しています。
また、保護者対応が必要なケースの対処法も、事例別にご紹介しています。
保護者対応が苦手で不安だと感じている保育士の方は、ぜひ参考にしてみてください。
目次
保育士の保護者対応のコツ
保護者と良好な関係を築くために必要な、保育士の保護者対応のコツは次の7つです。
- コミュニケーションをこまめにとる
- 適切な言葉選びを心がける
- 連絡帳を活用する
- 傾聴・共感を意識する
- ネガティブな報告は口頭で伝える
- 身だしなみを整える
- 園長や主任に相談する
それぞれ詳しく解説します。
コミュニケーションをこまめにとる
保育士が保護者と会える送り迎えのわずかな時間で、積極的にコミュニケーションを取りましょう。
自分の子どもが園内でどのように過ごしているのかがわからない保護者にとって、保育士からの報告はうれしいものです。
送り迎えにじっくり時間をとって話すのは難しいですが、子どもが楽しそうにしていた様子や頑張ったことなど、簡単な内容で良いので保護者に伝えるようにしましょう。
小さなコミュニケーションでも繰り返し行うことで、保護者との信頼関係を構築できます。
保護者と話す際は、笑顔を意識しましょう。
笑顔は明るい印象を与えられ、短い時間で信頼を得るのに有効です。
適切な言葉選びを心がける
自分では何気ない会話をしているつもりでも、保護者を不快にさせることがあります。
次に挙げる内容は保護者からの悪印象につながりやすいため、特に注意しましょう。
- 他の子どもと比較する:「○○ちゃんと比べて〜」
- 性格を決めつける:「○○ちゃんはこういう性格だ」
- 失敗を侮辱する:「○○もできないなんて」
- 上から目線で話す:「○○してください」
保護者の立場を考え、適切な言葉選びを心がけましょう。
です・ます調で話し、丁寧でポジティブな言葉遣いを意識するのがおすすめです。
連絡帳を活用する
連絡帳を積極的に活用しましょう。
連絡帳は、保護者と信頼関係を構築するのに重要なツールです。
送り迎えの短い時間でコミュニケーションが十分に取れていないと感じているのであれば、連絡帳を通じて子どもの様子を伝えましょう。
子どもの日々の様子を知ることができる連絡帳を、大事な伝達手段だと考えている保護者もいます。
子どもの楽しそうな様子や成長を感じられる内容は、読んでいるとうれしくなるものです。
あとから読み返す人もいるので、保護者が大切にとっておきたくなるような、ポジティブな内容を書くことをおすすめします。
傾聴・共感を意識する
保育所を利用する保護者は育児と仕事に追われ、不安や悩みを抱えているケースが多いものです。
なかには、育児のプロである保育士に相談したり、愚痴を聞いたりしてもらいたい保護者もいるかもしれません。
もし保護者から話があったときは、傾聴を意識しましょう。
傾聴とは、相手の話に興味を持ち、相手の気持ちに共感しながら話を聞くことです。
まずは一通り話を聞き、保護者の立場になって何を伝えたいのかを考えましょう。
相づちを打つ際、「そうなんですね」「よくわかります」などの言葉を使うと、共感している気持ちがより伝わりやすくなります。
真摯に話を聞くことで保護者が心を開いてくれるようになり、保護者と強固な信頼関係を構築することができるでしょう。
ネガティブな報告は口頭で伝える
保護者対応では、ネガティブな内容を伝えなければならないこともあります。
しかし、ネガティブな内容を連絡帳や電話で伝えると表情が見えないため、冷たいと感じてしまう保護者の方もいます。
また、「毎日顔を合わせているのに、言いにくいことはなぜ口頭で伝えてくれないのか」と保護者からの不信感につながるかもしれません。
保育士としては負担が大きく感じるかもしれませんが、事務的な対応にならないように、ネガティブな報告は口頭で伝えるように徹底しましょう。
身だしなみを整える
保育士は、ご両親や祖父母、ご兄弟など、さまざまな年代や考え方を持つ人と関わる機会があります。
保護者を含めあらゆる人から信頼を得られるように、身だしなみを整えることが重要です。
保育士の身だしなみは、清潔感と安心感を意識すると良いでしょう。
次のポイントを満たせているか、チェックしてみてください。
- ショートヘアにするか、長い髪を結んでまとめる
- 子どもがけがをする可能性のあるバレッタなどは避けてヘアゴムを使う
- 暗めの髪色にする
- 洗えて動きやすい保育に適した服を着る
- ナチュラルメイクにする
園長や主任に相談する
保護者からの質問のなかには、判断に迷うものもあります。
しかし、あいまいな返答をすると保護者を困らせるだけでなく、新たな問題を引き起こす可能性があります。
そんなときは、園長や主任に相談しましょう。
保護者としてはすぐに返答がほしいと思っているかもしれませんが、一度待ってもらうことで、真剣に問題に取り組もうとしている印象を与えられます。
また、相談することで、自分だけでは思いつかないような解決策が見つかるかもしれません。
一人で抱え込まないようにして、園全体で問題を共有して解決する姿勢を見せることが重要です。
【事例別】保護者対応が必要になるケースでの保育士の対処法
子どもの成長や安全を意識して保育を行っていたとしても、子ども同士のトラブルや保護者からのクレームなどを完全に避けるのは難しいものです。
トラブルやクレームがあった際に保護者からの信頼を得るために、適切な対処法を知りましょう。
ここでは、保護者対応が必要になるケースでの対処法を、よくある事例別に4つご紹介します。
子ども同士のけんかやトラブル
保育園では、子ども同士のトラブルは日常茶飯事の光景です。
おもちゃの取り合いなどの軽い言い合いで済む場合もありますが、ひっかきや噛みつきなどけがにつながる場合もあります。
けがの具合によっては、想像以上に大きな問題に発展するかもしれません。
けんかやトラブルがあった場合、お迎えの際に保護者に口頭で説明します。
トラブルの原因と具体的な状況、保育士がとった行動、けががあった場合はけがの処置方法を具体的に報告しましょう。
また、けんかやトラブルを起こしてしまったことに対する謝罪を、忘れずに行ってください。
トラブルを起こした相手の名前を知らせるかどうかは園の方針によって異なるため、あらかじめ確認しておきましょう。
保育の方針への要求
保育園は、子どもの成長を考え、園としての保育方針を掲げて運営しています。
しかし、理想の保育方針と違うため、保育園に対して改善要求を掲げる保護者もいます。
例えば、「子ども同士がけんかした場合、相手の名前を言わない」「昼食後に歯磨きをしない」といった方針は、場合によっては保護者の考えとずれており、トラブルに発展することがあるでしょう。
保育園の方針に関して改善要求があった場合、迅速な説明や対応が求められます。
しかし、すべてを保護者ファーストにする必要はありません。
保育園の運営がぶれてしまい、子どもや職員のメリットが失われる可能性があるからです。
説明しても納得してもらえないときは、園長や主任に相談して解決策を模索しましょう。
園行事へのクレーム
園行事は普段見れない子どもの姿を見れる機会であり、楽しみにしている保護者も多いものです。
しかし、思い入れが強い分、気に入らないことがあるとクレームにつながることがあります。
例えば、「参観日程の告知が遅く、調整ができないため日程を変更してほしい」といった要望があります。
園行事は保護者全体に関わるものであり、個別の要求に応えることは難しいことがほとんどです。
まずは謝罪をしたうえで、連絡のタイミングが問題なのであれば、今後早く連絡するための対策を伝えるようにしましょう。
保育士の対応に関してのクレーム
保育士の不適切な対応に関するクレームが出ることもあります。
例えば、次のような行動は保護者に不信感を抱かせ、トラブルのもととなりやすいものです。
- 子どもに不適切な言葉をかける
- 保育士によって対応が違う
- プロの保育士に任せているはずなのに、あいまいな対応や返答をされる
- 伝達ミスをする
もし保育士の対応に関するクレームが起きてしまったときは、まず保護者の話を聞いてから、不快感を与えてしまったことを真摯に謝罪しましょう。
併せて、今後は同様のミスを起こさないように気をつけることも伝えましょう。
保護者対応時には保育士は真摯に向き合おう
保育士の保護者対応のコツや事例別の対処法をご紹介しました。
正しい対応をしているつもりでも、人間同士の関わり合いである以上、保護者とのトラブルやクレームを完全に避けることはできません。
しかし、真摯に対応すれば保護者からの印象が良くなり、より強い信頼関係を構築できる可能性があります。
まず、トラブルが起きないように言葉選びやマナーなどを身につけてください。
もしトラブルが起きたときは、必要に応じて園長や先輩と協力して、園全体で問題を解決する姿勢を見せましょう。