傷病者・褥婦に対する療養上の世話、または診療の補助を行うことを業とする看護師。
現在、看護師の活躍のフィールドは病院に限らず、施設や訪問看護、美容業界など、さまざまな場へ広がっています。
看護師になるためには、看護師免許が必要です。
国家資格であるこの資格は、取得するためのルートが複数あります。
この記事では、看護師になるための方法や、必要な期間について解説していきます。
目次
看護師免許を取得する道のりとは
看護師資格を取得するためには、大学または3年以上の教育を受けたうえで、看護師国家試験を受験し、合格する必要があります。
ここでは看護師免許を得るまでのルートについて、それぞれ詳しく紹介します。
看護師の受験資格を得るまでのルート
看護師国家試験の受験資格を得るには、法律で定められた必要な教育を受ける必要があります。
教育課程には4とおりあり、卒業までにかかる年数や、看護師の他にも取得できる受験資格、学費などがそれぞれ異なるため、自分に合ったルートを選択するのが良いでしょう。
4つのルートは図のとおりで、
- 高校卒業後、4年制の看護大学
- 高校卒業後、3年制の看護短期大学
- 高校卒業後、3年制の看護師養成所
- 中学卒業後、5年一貫看護師養成課程校
以上のいずれかの教育課程を修了したのち、看護師国家試験を受験することができます。
看護学校の教育では、看護・医療の基本的な知識や技術を身につけることに加え、根拠に基づき計画的に看護を実践・評価する力や、多職種と連携・協働していくためのコミュニケーション能力を培うことも重視されます。
看護師になるには通常3年から5年
前項で解説したように、看護師国家試験の受験資格を得られるまでの年数は3~5年で、通う学校により異なります。
高校または中学卒業直後に看護学校に進学し最短で卒業した場合、それぞれのルートで看護師国家試験受験資格を得られる年数、年齢は以下のとおりです。
- 高校卒業後、4年制の看護大学に入学
→4年 22歳 - 高校卒業後、3年制の看護短期大学に入学
→3年 21歳 - 高校卒業後、3年制の看護師養成所に入学
→3年 21歳 - 中学卒業後、5年一貫看護師養成課程校
→5年 20歳
中学卒業時点で看護師を志していれば5年一貫の看護師養成課程校、高校卒業時点で看護師を志していれば3年制の短期大学または看護師養成所へ進学するのが、最も早く看護師になれるルートとなります。
看護師養成課程を持つ高校によっては年制のところもあるため注意が必要です。
5年一貫制よりも早く看護師になれると勘違いしがちですが、3年制で取得できる資格は准看護師です。
看護師と准看護師の違いについては後述します。
社会人は編入学制度の利用で期間が短縮する可能性がある
看護学校の入学試験や看護師国家試験に年齢制限はなく、一度他職種として社会に出た人でも、いつでも看護師をめざすことができます。
社会人であっても、現役学生と同じように看護学校での教育を受け、看護師国家試験を受験する必要があります。
しかし、大学卒業資格を有している場合、3年次学士編入制度を利用して看護大学に入れば、最短2年間で看護師国家試験の受験資格を得ることができます。
3年次学士編入制度を採用している看護大学は限られているため、しっかりと情報収集を行うようにしましょう。
准看護師の実務経験が3年以上あれば2年の教育で取得可能
准看護師から看護師をめざす方もいるでしょう。
准看護師の実務経験が3年以上あれば、専門学校などで教育を受けることで看護師国家試験の受験資格を得ることができます。
教育課程には全日制、定時制(昼間と夜間)、通信制の3つがあります。
受験資格を得るまでには、全日制と通信制で2年間、定時制で3年間かかります。
准看護師として働きながらであっても、通信制や定時制を利用して進学することが可能です。
プライベートとの両立やキャリアプランを考え、自分に合ったルートを選択するのが良いでしょう。
正看護師と准看護師の違い
准看護師 | 正看護師 | |
最終学歴の要件 | 中学校卒業 | 高校卒業 |
資格取得の期間 | 2年以上 | 3年以上 |
仕事内容 | 正看護師と准看護師で業務の範囲に違いはない | |
業務の裁量 | 医師や看護師の指示のもとで看護業務を行う | 自らの判断で看護業務を行う |
免許発行 | 都道府県知事の免許 | 厚生労働大臣の免許(国家資格) |
看護師と准看護師の業務内容はほぼ同じです。
しかし、免許の出所が異なります。
看護師は厚生労働大臣が認める国家資格であるのに対し、准看護師の免許発行は都道府県知事が行います。
業務における裁量も異なります。
看護師は自らの判断で看護業務を行うことができますが、准看護師は医師・歯科医師・看護師の指示を受けなければ、看護業務を行うことができません。
また、准看護師から看護師に指示を出すことはできません。
看護師国家資格に落ちたときのために、併願で准看護師試験を受験することは可能です。
国家試験に合格し看護師免許を取得できれば准看護師の資格を申請する必要はないため、看護師の免許申請のみ行えば大丈夫です。
看護師免許の取得のルートはさまざまある
看護師免許を取得するための具体的なルートにはどのようなものがあるのか解説しました。
看護学校の入学試験や看護師国家試験に年齢制限はなく、誰でもいつからでも、複数あるなかから自分に合ったルートで看護師をめざすことができます。
最短期間で資格取得をめざしたい場合や、めざすキャリアプランがある場合は、はやめに情報収集を行っていきましょう。