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薬剤師の認定資格一覧!種類と主な資格の特徴を解説

薬剤師の認定資格とは、薬剤師のスキルアップやキャリアアップに役立つ専門資格のことです。
この記事では、薬剤師の認定資格にはどのようなものがあるのかを紹介し、需要の高い資格をピックアップして解説します。
認定資格を取得したい方は、ぜひ参考にしてください。

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薬剤師における認定資格の重要性

日々変化・進化する医療分野において、薬剤師は常に自己研鑽を重ね、知識や技術を磨くことが必要です。
ここでは、薬剤師における認定資格の重要性として、以下の3つを紹介します。

  • 認定薬剤師とは
  • 認定薬剤師になるための条件
  • 専門薬剤師との違い

認定薬剤師とは

認定薬剤師とは、特定の分野で必要となる知識や技術を習得している薬剤師であることを示す資格です。
がんや感染症などの特定の疾患を対象とした資格や、地域医療や在宅医療の分野に関連した資格などがあり、幅広い分野で薬剤師としての専門性を示すことができます。
認定薬剤師を取得していると、スキルや技術を客観的に証明できるため、転職やキャリアアップにつながるでしょう。

厚生労働省の「薬局開設者及び医薬品の販売業者の法令遵守に関するガイドライン」についてでは、「管理薬剤師」は認定薬剤師であることが望ましいとされています。
また、かかりつけ薬剤師の要件が認定薬剤師とされているケースもあり、需要の高さがわかるでしょう。

認定薬剤師の必要性は年々高まっており、将来的にも高い需要があると考えられます。
今後も、資格を持っている薬剤師は、就職や転職、あるいは職場での昇進などにおいても、有利になる可能性があるでしょう。

認定薬剤師になるための条件

まずは、認定薬剤師の資格を得るための条件を確認します。
認定資格の種類によっては、実務経験年数などの条件が提示されている場合もあります。

条件や申請方法は資格によって異なりますが、日本薬剤師研修センターが認定する資格の取得の大まかな流れは以下のとおりです。

  1. 薬剤師研修・認定電子システム(PECS)に登録
  2. 指定された研修会を受講し、単位を取得
  3. 必要な単位数を満たしたら、PECSから申請

研修会を受講するごとに、単位取得を証明する研修受講シールが配布されます。
必要に応じて、シールを研修受講シール整理表や、以前発行されていた薬剤師研修手帳に貼付して必要事項を記入し、申請から1週間以内にセンターに郵送で提出してください。

新規に申請する場合は申請日から遡って4年以内に40単位以上、更新では3年ごとに30単位以上または毎年5単位以上を取得するよう求められています。

1申請につき、11,000円の審査料が必要です。

専門薬剤師との違い

専門薬剤師とは、特定の専門分野で薬物療法などの知識と技術を十分に持っている人を指します。
専門薬剤師になるには、まず病院薬剤師会などの各団体から認定された認定薬剤師の資格の取得が必須です。
そのため、認定薬剤師の上位資格として扱われるケースもあります。

専門薬剤師の資格取得のためには、当該分野の認定薬剤師になり、一定期間以上の従事経験を持つことが求められます。
また、講習会の履修、学会での論文発表など、定められた条件を満たさなければなりません。

薬剤師が取得できる認定資格の種類【一覧】

日本医療薬学会による2019年の調査では、国内で認定されている薬剤師を対象とした認定資格を合わせると48団体、79種類にもおよびます。
ここでは、認定薬剤師の認定制度と認定団体を、カテゴリごとに分けて紹介します。

   認定制度 認定団体
悪性腫瘍 がん薬物療法認定薬剤師 日本病院薬剤師会
外来がん治療認定薬剤師 日本臨床腫瘍薬学会
緩和薬物療法認定薬剤師 日本緩和医療薬学会
麻薬教育認定薬剤師 日本緩和医療薬学会
感染科疾患 感染制御認定薬剤師 日本病院薬剤師会
HIV感染症薬物療法認定薬剤師 日本病院薬剤師会
抗菌化学療法認定薬剤師 日本化学療法学会
腎臓科疾患 腎臓病薬物療法認定薬剤師 日本腎臓病薬物療法学会
内分泌・代謝科疾患 糖尿病薬物療法認定薬剤師糖尿病薬物療法准認定薬剤師 日本くすりと糖尿病学会
皮膚疾患 日本褥瘡学会認定師(認定褥瘡薬剤師) 日本褥瘡学会
精神疾患 精神科薬物療法認定薬剤師 日本病院薬剤師会
産科・婦人科疾患 妊婦・授乳婦薬物療法認定薬剤師 日本病院薬剤師会
小児科疾患 小児薬物療法認定薬剤師 日本薬剤師研修センター
日本小児臨床薬理学会
栄養療法 栄養サポート(NST)専門療法士 日本臨床栄養代謝学会
NR・サプリメントアドバイザー 日本臨床栄養協会
救急 救急認定薬剤師 日本臨床救急医学会
プライマリ・ケア 在宅医療 プライマリ・ケア認定薬剤師 日本プライマリ・ケア連合学会
在宅療養支援認定薬剤師 日本在宅薬学会
認知症研修認定薬剤師 日本薬局学会
実務研修 日病薬認定指導薬剤師 日本病院薬剤師会
手術期 周術期管理チーム認定薬剤師 日本麻酔科学会
災害医療 災害医療認定薬剤師 日本災害医学会
その他 公認スポーツファーマシスト 日本アンチ・ドーピング機構
漢方薬・生薬認定薬剤師 日本薬剤師研修センター
日本生薬学会
研修認定薬剤師 日本薬剤師研修センター

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需要の高い主な薬剤師認定資格

興味のある分野、そして認定薬剤師資格は見つかったでしょうか。
ここからは、需要の高い主な認定資格として以下の10種をピックアップします。

  • 研修認定薬剤師
  • がん薬物療法認定薬剤師
  • 小児薬物療法認定薬剤師
  • 感染制御認定薬剤師
  • 腎臓病薬物療法認定薬剤師
  • 精神科薬物療法認定薬剤師
  • 妊婦・授乳婦薬物療法認定薬剤師
  • 漢方薬・生薬認定薬剤師
  • 認知症研修認定薬剤師
  • プライマリ・ケア認定薬剤師

研修認定薬剤師

研修認定薬剤師は日本薬剤師研修センターの認定資格であり、スキルアップの研修を受けたことが証明できます。
質の高い業務に必要な研修を受けて単位を取得し、申請後に認定されます。

時代に合う薬物療法を実践できるようになるため、医療スタッフから信頼を得られるのがメリットです。
研修認定薬剤師は、かかりつけ薬剤師の算定要件の一つであるため、保険薬局で活躍することができるでしょう。

がん薬物療法認定薬剤師

がんの治療では、抗がん剤の選択など薬物療法による治療がとても大切です。
がん薬物療法認定薬剤師は、がん治療に対する薬物選択、薬物動態などの専門的な知識を持つと認められた薬剤師です。

国立がん研究センターの発表しているがん統計によると、がんの罹患数と死亡数は、高齢化に伴い年々増加してきていることがわかります。
がん薬物療法認定薬剤師は、臨床で求められる機会が多くなることが予想されます。

認定を受けるには、以下の要件を満たす必要があります。

  • 薬剤師としての実務経験が3年以上ある
  • 定められた学会の会員である
  • 日病薬病院薬学認定薬剤師もしくは日本医療薬学会で認定された専門薬剤師であること
  • 申請時に病院や診療所などで、3年以上かつ引き続いて1年以上、がん薬物療法に従事している
  • がん患者への薬剤管理指導実績の実例が50症例(複数の癌)を超えている
  • 各種講習会の所定単位40時間・20単位以上を履修している(日本病院薬剤師会主催のがん専門薬剤師の講習会の12時間・6単位以上が必要)
  • 病院長または施設長などの推薦がある
  • 認定試験に合格している

主な働き口としてはがん研究センターや、がん治療を専門に扱う病院があります。また、訪問看護でも役立つ資格の一つでしょう。

小児薬物療法認定薬剤師

小児薬物療法認定薬剤師は、小児の特性に合わせた薬物療法を実践し、患児とそのご家族の支援に関わる薬剤師です。
具体的には小児疾患への対処や、体重や年齢換算により変動する医薬品投与量の確認、投与剤形の決定などに携わります。

小児やご家族に対して適切なケアやアドバイスを行い、治療のトータルサポートをするなど、やりがいのある仕事です。
認定を受けるには、以下の要件を満たす必要があります。

  • 日本薬剤師研修センター、日本小児臨床薬理学会の小児薬物療法研修会を修了している
  • 認定試験に合格している
  • 期日までに日本小児臨床薬理学会学術集会に参加し、参加したうちの一つに関するレポートを提出して合格している

感染制御認定薬剤師

感染制御認定薬剤師は、感染疾患に罹患した患者さんの治療に加え、病院内での感染発生を防ぐために、院内の感染対策チームとして行動するために必要な知識を有する薬剤師です。

ときには、他の薬剤師や院内スタッフに向けて、感染予防方法の講習なども行います。
さらに、上位資格である感染制御専門薬剤師をめざすこともできます。

認定を受けるには、以下の要件を満たす必要があります。

  • 実務経験が3年以上ある
  • 日病薬病院薬学認定薬剤師の資格を取得している(日本医療薬学会の専門薬剤師制度で認定された専門薬剤師でも良い)
  • 各種講習会などの所定の単位20時間・10単位以上を履修(日本病院薬剤師会主催の感染制御の講習会を1回以上受講)

感染対策はさまざまな病院で求められる知識であるため、転職の際などには資格が有利に働くことも多いでしょう。

腎臓病薬物療法認定薬剤師

腎臓病薬物療法認定薬剤師とは、慢性腎臓病(CKD)などの腎臓病患者を対象とした薬物療法において、高い知識・技術を持っていると認められた薬剤師です。

新生児から高齢者までと幅広い年齢の患者さんが対象で、患者さんの腎機能を保つために、日々薬の用法・用量を調整します。

認定を受けるには、以下の要件を満たす必要があります。

  • 薬剤師として5年以上(直近2年は常勤並みの継続勤務が必要)従事しており、申請時に3年以上専門薬剤師認定制度対策委員会の会員である
  • 日本腎臓病薬物療法学会の単位基準の修得単位が、受験年までの3年間で12単位以上ある
  • 全国レベルの学会や国際学会での腎臓病薬物療法の発表が、申請年の直近10年間で3回以上(1回は筆頭発表者)ある
  • 直近5年間の30症例を提出できる
  • 認定試験の筆記試験に合格している

一般病院から透析センターまで、医療現場で活躍できるでしょう。

精神科薬物療法認定薬剤師

精神科薬物療法認定薬剤師は、うつ病や統合失調症などの精神疾患の薬物療法を、適切に、そして安全に提供できる知識・技術があると認められた薬剤師です。

経済協力開発機構(OECD)におけるメンタルヘルス調査によると、新型コロナウイルスの流行後、うつ病・うつ症状のある患者数はほぼ2倍にまで増加しています。

精神医療分野は年々ニーズも増えてきているため、需要が高まると考えられる資格の一つでしょう。

認定を受けるには、以下の要件を満たす必要があります。

  • 薬剤師として3年以上従事しており、日本病院薬剤師会もしくは定められている団体の会員である
  • 日病薬病院薬学認定薬剤師または日本医療薬学会の専門薬剤師制度で認定された専門薬剤師である
  • 申請時に精神科の病院や診療所、または精神科の処方箋を応需する保険薬局に勤務している
  • 精神科薬物療法に3年以上かつ申請時に引き続いて1年以上直接従事していることを証明できる
  • 指定された精神科領域の講習会などを所定の単位40時間・20単位以上履修していること(日本病院薬剤師会主催の精神科の講習会を1回以上受講)
  • 精神疾患患者への指導の実績が30症例以上(複数の精神疾患)ある
  • 病院長または施設長などの推薦がある
  • 認定試験に合格している

主な活躍の場には、精神疾患の専門病院や研究センターなどが挙げられます。

妊婦・授乳婦薬物療法認定薬剤師

妊婦・授乳婦薬物妊娠・出産・授乳期における妊婦・胎児への薬物療法にて、高い知識・技術を持ち合わせていると認められた薬剤師です。

妊婦中は薬の制限も多くあるため、妊婦と胎児の安全を守りながら薬物療法を提供できるよう支援するのが認定薬剤師の仕事です。
命の誕生に関わりサポートできるため、やりがいも大きいでしょう。

認定を受けるには、以下の要件を満たす必要があります。

  • 薬剤師として3年以上従事しており、日本病院薬剤師会もしくは定められている団体の会員である
  • 日病薬病院薬学認定薬剤師もしくは日本医療薬学会の専門薬剤師制度で認定された専門薬剤師である
  • 申請時に病院や診療所に勤務して、妊婦・授乳婦の薬剤指導に3年以上かつ申請時に引き続いて1年以上従事していることを証明できる
  • 指定された研修施設で実技研修を40時間以上履修、また3年以上妊婦・授乳婦の薬剤指導を行っていると証明できる
  • 指定された妊婦・授乳婦領域の講習会を所定の単位20時間・10単位以上履修していること(日本病院薬剤師会主催の妊婦・授乳婦領域の講習会を1回以上受講)
  • 妊婦・授乳婦への指導実績が15症例以上(複数の疾患)ある
  • 病院長または施設長などの推薦がある
  • 認定試験に合格している

主な働き口には、産婦人科を持つ病院やクリニックや助産院などの施設や、それらに隣接する調剤薬局などが挙げられます。

漢方・生薬認定薬剤師

漢方・生薬認定薬剤師は、漢方薬や生薬に関する豊富な知識・技術を有していると認められた薬剤師です。

漢方や生薬は、日常での生活でも私たちにも馴染み深いものです。
患者さん一人ひとりの症状に対して、体質に合った薬を調合・提供するため、患者さんに寄り添ったコミュニケーションが求められます。

認定を受けるには、以下の要件を満たす必要があります。

  • 薬剤師免許を保有している
  • 指定団体によって実施される漢方薬・生薬研修会を修了している
  • 薬用植物園実習を受講、レポートを提出済み
  • 認定試験に合格している

漢方・生薬認定薬剤師は、ドラッグストアや調剤薬局でも活躍できるでしょう。

認知症研修認定薬剤師

認知症研修認定薬剤師は、認知症の患者さんをサポートする医療チームの一員として、患者さんとご家族に薬学的視点からアドバイスを行う薬剤師です。

高齢化社会とともに認知症の患者さんは増えていく可能性があるため、需要の高い分野であることがメリットでしょう。

認定を受けるには、以下の要件を満たす必要があります。

  • 薬剤師として3年以上従事しており、日本薬局学会の正会員である
  • 指定された認知症領域の e-ラーニングを20単位以上、ワークショップを6単位履修している
  • 認知症サポーターを取得している
  • 認知症への介入事例を3つ以上提出できる
  • 認定試験に合格している
  • 認定された研修認定薬剤師を取得している
  • 職場長などの同意がある
  • 指定された e-ラーニングやワークショップで単位を取得してから4年以上経過していない

主に活躍できる場所は地域の調剤薬局などです。

プライマリ・ケア認定薬剤師

プライマリ・ケア認定薬剤師は、医療の総合的な観点から必要な対策をアドバイスできる薬剤師です。
資格取得により、服薬だけではなく、医療全般の生活習慣病の指導、セルフメディケーションなど、幅広く患者さんをサポートするスキルが身についていることを証明できます。

認定を受けるには、以下の要件を満たす必要があります。

  • 薬剤師の免許を保有している
  • 指定された研修や講座を受け、必要な単位数(50単位うち30単位は学会関連の単位)を修了し、認定制度委員会に成績を認められている
  • 認定試験に合格している

主に活躍できる場所は、地域の保険薬局や臨床現場になるでしょう。

薬剤師として何をしたいかを考えたうえで認定資格でキャリアアップをめざそう

認定薬剤師や専門薬剤師の詳細を説明しましたが、めざしたい資格は見つかったでしょうか。
薬剤師といっても、資格により担う仕事や分野が異なります。

患者さんにより近い位置で治療を提供する薬剤師や、研究の推進でさらなる医療貢献に務める薬剤師など、立ち位置ややりがいもさまざまです。

自分自身が薬剤師として何をしたいか、どうなりたいかを具体的にイメージしてから必要な資格を選択し、キャリアアップをめざしましょう。

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執筆者について

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