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看護観は看護師にとって大切?必要性、考え方、実際の例文も紹介

この記事の監修者
川俣貴子
【資格】
看護師

【プロフィール】
東北福祉大学卒業後、看護師として循環器を含む総合病院で働いています。医療系ライターと看護師を励行中です。

看護観は、看護師として従事するうえでとても大切な指針です。
自分自身の看護に対する考え方や姿勢などを言語化したものであり、「一般的に看護観はこうあるべき」といった正解はありません。

看護師になる前から看護観を考えることも重要ですが、実際に看護師として働き始めると、患者さんとの関わりやさまざまな経験を通して考え方が変わる場合もあります。
今後の自分に求められる立ち振る舞いを理解するためにも、定期的に看護観を見つめ直す機会を作ると良いでしょう。

本記事では、看護観の必要性や考え方、文章にするときのポイントを例文とともに解説します。

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看護観とは

看護観とは

看護観とは、看護師が持つ看護に対する考え方や価値観のことです。
立場や経験などによって看護観は変わってくるものであり、看護師一人ひとりが大切にしている理念や信念が反映されます。

看護観は「理想の看護師像」のこと

看護観とは、「患者さんに対して真摯に向き合う看護師になる」「適切なアセスメント力で重症患者さんをケアできる看護師になる」など、自分が理想とする看護師像を指します。
看護師としての自分自身のあり方やめざすべき方向性を示し、日々の看護実践の基盤となるものです。

看護観は、看護師個人の価値観や経験、考え方によって違ってきます。
より質の高い看護ケアを提供するためには、自分なりの看護観を持つことが大切です。

看護観に正解はなく、経験や気付きで変わる

看護観に決まった答えや正解はなく、自分の経験と気付き、立場などをもとに、一人ひとりが理想とする看護師像を描くことができます。
看護観は「看護師としてあるべき姿」ではなく、自身が大切にしたい考え方を反映するものです。

看護師として従事するなかで、多くの患者さんや他の医療スタッフと関わり、自分の看護観が変化する場合もあるでしょう。
一つの考えにこだわり続ける必要はなく、そのときの自分の状況を反映しながら看護観を深めることが大切です。

看護観はなぜ必要?

看護観は、看護師としてのアイデンティティを確立し、看護の質を高めていくために重要な指針となります。
また、看護観が明確になると、就職・転職時にも自分の進みたい方向を見定めやすくなるでしょう。

目的を見失わず目標を持った看護師になる

看護観をしっかりと持っている看護師は、自分の目標を言語化できているため、目的を見失わずに進むべき道を理解しながら日々の看護に取り組めます。
困難な状況に直面したときも、看護観を見つめ直すことで、自分の使命や目標を再確認し、前に進む原動力となるでしょう。

看護観は、看護師としてのモチベーションを維持し、質の高いケアを提供し続けるための目標となります。

就職・転職時の指針になる

看護観を明確にしておくと、就職・転職をする際、自分に合った職場環境や求められる役割を見つけやすくなるでしょう。
転職活動であれば、実務経験とともに、看護師としてどのような理想を持ちながら日々のケアや業務にあたっていたのかを応募先にアピールできます。

看護観がないと、経験年数を重ねても働き方に迷ってしまい、自分にどのような職場が合っているのかを判断できません。
自身のキャリアプランを見失わないためにも、看護観が必要になります。

看護観を考えるときのポイント

看護観を考えるときのポイント

看護観を考えるときには、以下3つのポイントを意識してみましょう。

  • 患者さんの目線で考える
  • 人の真似をせず自分らしい言葉・経験で考える
  • 就職・転職先の理念と結びつける

順に詳しく解説します。

患者さんの目線で考える

看護師は、患者さんや利用者さんの苦痛を取り除いたり、不安を最小限にするために関わるなど、自分ではなくケアの対象者である患者さんが仕事の中心となります。
患者さんの目線に立って看護観を考えることで、自分に求められる役割が見えてくるでしょう。

患者さんのなかには、治療に前向きな方や素直に悩みを打ち明けてくれる方ばかりではなく、不安を抱えている方、会話が苦手な方などもいます。
看護師として自分がどうすべきかではなく、「患者さんならどのような看護を希望するか」のように客観的な視点を持つことが重要です。

人の真似をせず自分らしい言葉・経験で考える

看護観は、自分自身の経験と言葉で考えてみてください。
他の看護師の看護観を参考にしても問題はないですが、模倣した看護観と自分の考え方とのあいだでずれが生じると、目標を見失ってしまう可能性があります。
上記でも触れたとおり、看護観に正解はないため自分自身の経験を活かして「どのような看護師になりたいのか」を考えることが重要です。

また、自分だけにわかるような抽象的な表現は、文章化しても他者に伝わりづらいため、具体的かつ誰が見てもわかるような内容にしましょう。
これまでの経験を振り返り、学んだことや大切にしたいことを洗い出して言語化すると、自分らしい看護観が見えてきます。

就職・転職先の理念と結びつける

就職・転職活動の際に自分の看護観をアピールする場合、転職・就職先の理念と看護観を結びつけられるとベストです。
応募先の理念に対して、どのような看護を提供したいのか、どのような看護師として活躍したいのかといった看護観が大きく乖離していると、ミスマッチと判断されかねません。
一方で、病院側の理念と看護観のマッチ度が高い人材は、長く働いてくれることが期待でき、採用につながりやすくなります。

自分の看護観を大きく変える必要はありませんが、転職・就職先の理念と結びつけられる要素を見つけておきましょう。

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看護観のキーワード別レポート例文

看護観を文章にするときには、看護師にとって重要なキーワードを意識すると、具体性や説得力が増します。
看護学生・新卒の場合と転職の場合に分けて、看護観のレポート例文をチェックしてみましょう。

看護学生・新卒の場合

看護学生や新卒で就職活動中の場合、看護観を考えるための主なキーワードとして「生涯学習」「安心感」「信頼感」などが挙げられます。
これらのキーワードを意識して、自分の理想とする看護師像を文章にしてみてください。

「生涯学習」

生涯学習をテーマとする場合、実際の経験をもとにして、自分がどのように感じたかを具体的に記載するのがポイントです。

【例文】

私は、自分の成長する力や学びを吸収する力を信じて、より適切な看護を患者さんに提供できるよう生涯学習に取り組み続けます。
私は以前、実習先の事前学習で行動計画を立てていたにも関わらず、実際の患者さんの状態と乖離している部分があると指摘を受けたことがありました。

患者さんの状態は目まぐるしく変化するため、計画を一つ立てただけで満足するのではなく、どのような状態への変化が考えられるかを推測し、適切なアセスメントを継続的に行わなくてはなりません。
この学びを活かし、私は常に勉強を怠らず、患者さんに信頼してもらえる看護師になるため努力をし続けたいと考えております。

「安心感」「信頼感」

安心感や信頼感をキーワードとする場合、実体験から得た気付きとともに、入職してからの場面もイメージしてみましょう。
どのような場面で、どのように対応し安心感や信頼感を与えるのか、想像をふくらませる必要があります。

【例文:キーワード「安心感」】

私は、患者さんが安心感を抱きながら療養に専念できるよう、心身の両面へ配慮した看護を実践したいと考えております。
3年前、看護師になったばかりの私は「患者さんの症状をとにかく良くすること」を考えてケアにあたっていました。
しかし、看護師は患者さんとご家族の不安や苦痛に向き合うなかで、症状に対するアプローチだけでなく、心理的な支援も担える存在です。

例えば、治療中の患者さんと話す際は、症状や療養生活以外の話題にも耳を傾け、負担になっていることがないかを観察できます。
また、不安なく治療を進めてもらうには、患者さんだけでなく、面会にいらっしゃるご家族に対するヒアリングも欠かせません。

私は、さまざまな視点から患者さんの気持ちをくみ取り、療養生活のなかでも喜びや楽しみに目を向けられるよう、精神面への配慮も欠かさない看護師をめざします。

転職の場合

転職を考えている看護師の方は、今までの経験を振り返り、自分の強みやこれから伸ばしていきたい部分を意識して看護観を考えると良いでしょう。
キーワードとしては、「寄り添い」「傾聴」「コミュニケーション」「対応力」「看護力」「専門性」などが挙げられます。

「寄り添い」「傾聴」「コミュニケーション」

患者さんに対する寄り添い・傾聴・コミュニケーションを看護観のキーワードとする場合、自分の成功体験や得意なこと、伸びしろがある部分などを明確にしてみてください。
今の自分にできることだけでなく、今後どのように成長していきたいかも表現します。

【例文:キーワード「コミュニケーション」】

私は、より適切なケアを提供するためのコミュニケーションを第一に考えております。
以前の病院では、循環器看護師として3年間、多くの心不全患者に関わってきました。
入退院を頻繁に繰り返す患者さんがいるなかで、セルフコントロールをきちんと理解してもらえているか、指導以外にできることはないか、関わり方に悩んだ経験があります。

そこで私は、どれだけ業務が多忙でも患者さんと向き合う時間を設けるようにしました。
とある患者さんから「減塩をするのが難しい」という悩みを聞き出し、重点的なアプローチを行った結果、その方は外来通院で今も過ごせています。

この経験を活かし、私はどのような状況でも患者さんとのコミュニケーションを疎かにせず、収集した情報をアセスメントしたうえで看護ケアに反映させていきたいです。

「対応力」「看護力」「専門性」

対応力、看護力、専門性などの実務スキルを看護観のキーワードとする場合にも、自分自身の経験に基づいた具体的な気付きや成功体験を文章に落とし込みましょう。

【例文】

私は、救急領域での看護経験を活かし、緊急時も冷静に対応できる看護師をめざします。
救急外来において5年間勤務するなかで、私は、重症度の異なるさまざまな患者さんに関わってきました。
予測不可能な状況下でも迅速にアセスメントを行い、必要な処置やケアを提供するため、看護師に求められる役割は大きなものだと感じています。

そのなかで私は、現場での経験を積みながら専門的な知識と技術を習得し、患者さんの状態変化にも動じない対応力を身につけました。
貴社では、この対応力を発揮しながら、常にスキルを高める努力を怠らず、患者さんの命を守るための看護実践に取り組みたいと考えております。

看護観を文章にするときのポイント

看護観を文章にするときのポイント

自分の看護観を文章にするときは、PREP法を用いると要点が伝わりやすくなります。
PREP法は、以下4ステップの文章構成で論理的に情報を伝える手法です。

  1. 結論・要点(point)
  2. 理由・根拠(reason)
  3. 具体例(example)
  4. 結論・まとめ(point)

PREP法を用いて看護観を文章にする際のポイントを、ステップごとに解説します。

結論・要点(point)

持論やアピールポイントを長々と書いてしまうと、要点が伝わりにくくなってしまうため、まずは自分の看護観を一言でわかりやすく述べましょう。
ただし、「コミュニケーションを大切にする」のように漠然とした表現だと、目標やめざすべき看護師像を想像しにくくなります。
「患者さんが安心して治療に臨めるよう、不安や悩みを取り除くためのコミュニケーションを十分に行う」など、自分の看護観の核を明確にするのがポイントです。

理由・根拠(reason)

冒頭で述べた結論に対して、その看護観を持つに至った理由を説明します。
自分の考え方や大切にしたいこと、経験から感じたことを文章にしましょう。
例えば、「患者さんと十分なコミュニケーションを行う」と先に結論を述べた場合、理由・根拠としては次のような内容が考えられるでしょう。

入院を余儀なくされ生活環境が変わった患者さんは、不安や苦悩を感じやすくなります。
そこで看護師には、適切なケアを実践する技術力だけでなく、患者さんに寄り添うコミュニケーションスキルも求められます。
患者さん一人ひとりと向き合うことで、より適切なケアを実践できるだけでなく、不安や苦痛を最小限にするための支援につながるためです。

自分自身に経験が少なく根拠を明らかにするのが難しいときは、書籍や雑誌などの文献から引用するのも一つの手段です。

具体例(example)

理由・根拠を補足するため、現在の職場や実習先での実体験をもとに具体例を挙げましょう。
例えば、次のような文章が考えられます。

実習中、とある患者さんから「看護師がいつも忙しそうで相談しづらい」と話を聞かせてもらったことがあります。
当時の私は実習生という立場で患者さんの思いを聞けましたが、実際に看護師として従事するとなると、業務に追われ慌ただしくなる場面も少なくありません。
しかし患者さんの不安や苦悩は、ときとしてリスクにつながるため、看護師側から、些細なことでも相談しやすい雰囲気作りを行う必要があります。

実体験から感じたことを内容に盛り込むと、自分らしい看護観になり、説得力が増します。

結論・まとめ(point)

根拠や具体例を挙げて十分な説明ができたら、最後に自分の看護観を再び述べて結論としましょう。
冒頭の結論・要点を振り返り、本論の重要部分を簡潔にまとめたうえで、特に伝えたい内容を強調します。
結論・まとめの例文は、以下のとおりです。

この経験を通して、私は限られた時間のなかでも患者さんとしっかりと向き合い、いつでも気軽に相談してもらえる看護師になりたいと考えるようになりました。
傾聴の姿勢を大切に、患者さんに寄り添ったコミュニケーションを行い、より良い看護ケアの提供に励んでいく次第です。

就職・転職に際して看護観を文章にして提出する場合、最後の結論部分で「自分の理想とする看護師像を応募先で実現したい」という熱意をアピールしましょう。

自分らしい看護観を求めて理想の看護師になろう

看護観とは、看護師一人ひとりが大切にしている価値観や理念であり、看護実践の指標となるものです。
個々の経験などによって看護観は変化するため、必ずしも人と同じである必要はなく、むしろ自分なりの看護観を持つことが重要になります。

看護観が定まると、自分の理想とする看護師像に近づくための使命や目標が見えてくるでしょう。
また、就職・転職の際にも自分に合った職場を見つけやすくなります。

レポートなどで看護観を文章にする場合、PREP法を使って論理的な構成を意識するのがポイントです。
これまでの経験を振り返りながら、自分らしい看護観を考えてみてはいかがでしょうか。

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執筆者について

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