働きながら資格を取得するうえで、通信教育が有効なケースは多くあります。
しかし作業療法士の場合は、通信教育だけで資格を取得することはできません。
本記事では、通信教育だけでは作業療法士になれない理由や、働きながら作業療法士をめざす方法について解説します。
目次
通信教育や通信大学では作業療法士になれない
作業療法士の通信教育は、国家試験の受験資格を得るために必要な単位を取得できません。
作業療法士をめざすための通信教育は、あくまで国家試験の対策に過ぎないのです。
ここでは、作業療法士の国家試験の受験資格に必要な単位や、通信教育の活用方法などを解説します。
通信教育だけでは、作業療法士の受験資格を得られない
作業療法士の受験資格を得るには、高校卒業後に、国が指定する大学・短大・専門学校などで3〜4年間修学し、必要な単位を取得しなければなりません。
講義や臨床実習で取得する必要がある単位は次のとおりです。
教育内容 | 単位数 | |
基礎分野 | 科学的思考の基盤 | 14 |
人間と生活 | ||
社会の理解 | ||
専門基礎分野 | 人体の構造と機能および心身の発達 | 12 |
疾病の障害の成り立ちおよび回復過程の促進 | 14 | |
保健医療福祉とリハビリテーションの理念 | 4 | |
専門分野 | 基礎作業療法学 | 5 |
作業療法管理学 | 2 | |
作業療法評価学 | 5 | |
作業療法治療学 | 19 | |
地域作業療法学 | 4 | |
臨床実習 | 22 |
上記のうち、臨床実習22単位(1単位40時間以上/計880時間以上)は実際の医療施設などで日中に行います。
作業療法士になる方法の詳細を知りたい方は、こちらの記事を参考にしましょう。
作業療法士の通信教育はあくまで国家試験対策
作業療法士の通信教育は、頻出問題や要点を学ぶ国家試験対策講座です。
そのため、作業療法士の通信教育を受講したからといって、国家試験受験資格に必要な単位を取得できるわけではありません。
ただし通信教育では、国家試験の要点をまとめたテキストや練習問題などを利用できるため、これらを活用したい方は通信教育の利用を検討すると良いでしょう。
通信教育以外の方法で作業療法士になりたい社会人はどうする?
通信教育だけで作業療法士になることはできません。
では、忙しい社会人が作業療法士になるためには、どのような方法があるのでしょうか。
ここでは、以下の2つの方法を紹介していきます。
- 費用のサポート制度が充実した学校を選ぶ
- 夜間コースを検討する
それぞれ見ていきましょう。
費用のサポート制度が充実した学校を選ぶ
「働きながらでなければ学費を用意できない」という方は、奨学金や教育ローンなど、費用面でのサポートが充実している学校に通うことで、作業療法士になるための勉強に専念できます。
次の表では、日本リハビリテーション専門学校に通う学生の奨学金制度を紹介します。
制度名 | サポート内容 |
日本学生支援機構 | 第一種 月額:20,000円〜53,000円 利息:無利息 |
第二種 月額:20,000円〜120,000円 利息:利息付 |
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高等教育の修学支援新制度 | 住民税非課税世帯 授業料減免額(昼間部):590,000円 入学金減免額(昼間部):390,000円 授業料減免額(夜間部):390,000円 入学金減免額(夜間部):140,000円 |
東京都育英資金 | 月額:53,000円 利息:無利息 |
日本政策金融公庫 | 融資金額:350万円以内 利息:利息付 |
その他の学校では、世帯収入などで給付額が異なるため、通いたい学校や行政機関のホームページを確認しましょう。
夜間コースを検討する
現在の仕事を続けながら作業療法士をめざすのなら、夜間コースの学校という選択肢があります。
夜間コースは、18~21時頃に学べるため、日中は仕事をして夕方から学校に通う生活が可能です。
夜間コースには、3年制と4年制がありますが、3年制のスケジュールは非常にタイトになります。
自分のライフスタイルに合わせて選択しましょう。
また、夜間コースは1日の授業数が少ない分、土曜日に授業があるケースも多く、臨床実習は日中に行われます。
特に最終学年では臨床実習が行われるため、柔軟なスケジュール調整ができる職場でなければ、仕事と学業の兼業は難しいでしょう。
通信教育以外の方法で作業療法士をめざそう
作業療法士の通信教育は、あくまで国家試験対策講座です。
そのため、通信教育だけで作業療法士になることはできません。
「作業療法士になりたいが、働かなければ学校に通うことが難しい」という場合は、費用面でのサポート制度が充実している学校や、日中働くことのできる夜間コースを検討しましょう。