作業療法士になる方法がわからずに悩んでいる人もいるでしょう。
今回の記事では、作業療法士になるための受験資格や、試験と難易度などを具体的に解説します。
また、作業療法士になるルートもわかりやすく紹介します。
社会人や主婦(夫)が作業療法士になる方法や、中卒からめざす方法も解説するので、作業療法士になりたいという方は、ぜひ参考にしてください。
目次
作業療法士になるには?
作業療法士は、体や心に障害のある人が心身機能を回復し、日常生活に復帰できるように、生活の中にある作業や動作などを用いて、訓練や指導、援助を行う専門職です。
そのような作業療法士になるには、いくつかの条件があります。
ここではまず、作業療法士になるにはどうしたら良いのかについて、以下の4つに着目して見ていきましょう。
- 国家資格の取得が必須条件
- 受験資格
- 資格の合格率
- 関連資格
では、一つずつ説明していきます。
国家資格の取得が必須条件
作業療法士になるには、国家試験に合格して資格を取得することが必要です。
そのためにはまず、高校卒業後に作業療法士を養成するためのカリキュラムのある学校を卒業し、作業療法士国家試験を受験しなければなりません。
試験は年に1回実施され、それに合格してはじめて作業療法士を名乗ることができるのです。
受験資格
作業療法士国家試験は誰でも受けられる試験ではなく、受験資格を満たす必要があります。
簡単にいうと、受験資格があるのは3年制の短大または専門学校、もしくは4年制の大学で専門知識を学んだ人、あるいは外国で作業療法士の免許を取っている人です。
具体的な要件は以下のとおりです。
- 高校卒業後、文部科学大臣または都道府県知事が指定した作業療法士養成施設で3年以上、必要な知識および技能を習得した者
- 大学の作業療法士養成課程で4年間学んで、カリキュラムを修了した者
- 外国で作業療法士養成校を卒業し、外国の作業療法士免許を持っている
上記の条件のいずれかを満たしてはじめて、国家試験を受験することが可能になります。
詳しくは、厚生労働省のホームページでご確認ください。
資格の合格率
厚生労働省によると、2023年の作業療法士国家試験の合格率は83.8%でした。
作業療法士国家試験は年度によって合格率に差があります。
過去5年の合格率は70〜80%代で推移しており、難易度が異なるようです。
作業療法士と同じ医療従事者である理学療法士の合格率は、ほぼ80%で推移しているため、作業療法士のほうが難しい年が多い可能性があります。
作業療法士の難易度については次の記事に詳しく記載しています。
関連資格
作業療法士になるには作業療法士の国家資格を持っているだけで構いませんが、ステップアップしたい場合は他の資格取得をめざすのも一つの方法です。
資格はできるだけ作業療法士の業務に関連しているものが良く、認定作業療法士や専門認定作業療法士などがおすすめです。
認定作業療法士を取得するには、作業療法士として5年以上の臨床経験を積んだうえで、さまざまな研修を受け修了試験に合格し、3例以上の事例報告をする必要があります。
専門認定作業療法士になるには、要件を満たしたうえで書類審査を通過し、試験に合格しなければなりません。
道のりは長くなりますが、キャリアアップしたい場合はぜひ資格取得をめざしてみましょう。
作業療法士の資格の取得方法
ここからは、具体的な作業療法士の資格取得の方法を紹介します。
では、以下の2つについて見ていきましょう。
- 高卒から作業療法士になるには
- 主婦(夫)・社会人が作業療法士になるには
高卒から作業療法士になるには
高卒後に作業療法士になるには、以上の3つのルートがあります。
ここからは、作業療法士になるための3つのルートを一つずつ詳細に解説していきます。
1. 作業療法士の養成課程がある大学を卒業する
4年制大学では、作業療法士に必要な専門知識や技術のみならず、一般的な教養を学べます。
そのため、社会人としての基本的な知識や常識も身につけることができます。
作業療法士となれば、高齢者から若年者までさまざまな年代の方と関わる機会があるため、社会人としての基本的な知識や常識が役立つときもあるでしょう。
また、短大や専門学校に比べて時間的な余裕があるため、アルバイトや余暇の時間を作れるのもメリット。
4年制大学は専門知識や技術だけでなく、一般教養にもしっかり時間をかけて学びたい方におすすめです。
2. 最短ルートは3年制短大を卒業すること
3年制短大でも、一般教養を学びながら専門知識や技術を取得することは可能です。
しかし、4年制大学よりも1年間短いため、時間的余裕は限られます。
タイトなスケジュールで学習する必要があるため、アルバイトや余暇の時間を取るのが難しくなります。
なお、学校により一般教養や専門知識など力を入れる部分が異なるため、事前にしっかり確認しておきましょう。
3年制短大は、「作業療法士として早く働きたいけど、専門知識だけでなく一般教養も学びたい」方にピッタリなルートです 。
3.都道府県指定の専門学校を卒業する
都道府県指定の専門学校は、4年制大学や3年制短大のように一般教養の科目を学ぶことは基本的にありません。
しかし、1年次から作業療法士として即戦力となる、実践的な専門知識や技術を重点的に学べます。
また、夜間部を設置している専門学校 もあり、働きながら資格を取得したい方も通うことが可能です。
作業療法士の専門知識や技術を重点的に学びたいのであれば、3年制もしくは4年制の専門学校を選びましょう。
なお、4年制の専門学校は、3年制の専門学校よりも国家試験の学習に時間をかけられるため、「国家試験対策に余裕を持って取り組みたい」方は4年制専門学校がおすすめです。
主婦(夫)・社会人が作業療法士になるには
作業療法士をめざす人には、ざまざまな状況の人がいるでしょう。
高校を卒業してすぐに養成施設に進学するケース以外に、主婦(夫)や社会人から作業療法士をめざす人もいるかもしれません。
さまざまな状況がありますが、ここでは以下の2つのケースを紹介します。
- 働きながら作業療法士になるには
- 中卒から作業療法士になるには
なお、社会人から作業療法士になる方法は次の記事で詳しく紹介しています。
働きながら作業療法士になるには
主婦や社会人でも作業療法士になることは可能です。
その理由は主に4つあります。
- 卒業後の就職率が100%である (日本作業療法士協会 作業療法士就職率)
- 奨学金制度や教育ローンなどのサポートが充実している
- 働きながら通える夜間部が存在する
- 学校によっては、社会人の割合も多く肩身が狭くない
以上のように、就職率も良く学費サポートや学習環境も充実しているため、主婦や社会人でも作業療法士をめざすことが可能です。
主婦や社会人が作業療法士をめざすのであれば、即戦力となる知識や技術が学べる専門学校がおすすめです。
学習や実習をスムーズに行うなら昼間部がおすすめですが、働きながら通う必要がある人は夜間部を選択しましょう。
自分の経済状況やライフスタイルに合った学校を選択して、無理なく学校に通えることが大切です。
なお、作業療法士国家試験の受験資格は、通信教育では取得できません。
中卒から作業療法士になるには
主婦(夫)や社会人の学歴はさまざまですが、高卒以上の学歴を有している場合は、養成施設に通えば問題ありません。
しかし、なかには最終学歴が中卒ということもあるでしょう。
中卒の場合はまず、通信制高校や高卒認定試験などで高卒資格を取ることから始める必要があります。
高卒の資格を取得してから、作業療法士の専門学校や3年制の短大に通うことになるため、作業療法士になるには最短でも6年かかるでしょう。
作業療法士になるにはさまざまなルートがある
作業療法士になるにはさまざまなルートがあります。
最短で作業療法士になるには、高校を卒業してから3年制短大を卒業することですが、主婦(夫)あるいは社会人として働きながら資格を取得することも可能です。