
小児薬物療法認定薬剤師は、小児を対象とした薬物療法の専門家として認定された薬剤師です。
医療チームの一員として小児薬物療法に関わり、子どもやその保護者への服薬指導、他の医療職への助言・提案などを行います。
資格取得には一定の要件や費用負担がありますが、小児医療の質向上に貢献できるやりがいのある仕事だといえるでしょう。
目次
小児薬物療法認定薬剤師の役割
小児薬物療法認定薬剤師とは、「小児科領域において医薬品に関わる専門的立場から医療チームの一員として小児薬物療法に参画するための能力と適性を備え、さらに患児とその保護者等に対しても適切な助言および行動ができる薬剤師」のことです。
その役割は大きく2つあります。
1つ目は、医薬品に関わる専門的立場から、医療チームの一員として小児科領域の薬物治療に参画することです。
小児の薬物療法は、用法用量や投与経路など成人とは異なる点があるため、専門的な知識を持った薬剤師が医療チームに加わることで、適正使用の助言が可能になります。
2つ目は、患児とその保護者および学童に対して、医薬品に関する指導や助言、教育を行うことです。
期待される効果や安全性、服用方法、薬物相互作用などの情報提供を通じて、医療に貢献しています。
小児薬物療法認定薬剤師は、これらの役割を果たすことで、小児医療の質の向上に貢献しているのです。
小児薬物療法認定薬剤師の仕事内容
小児薬物療法認定薬剤師の主な仕事内容は、小児科での服薬指導と他の医療職への助言や提案の2つです。
それぞれについて詳しく見ていきましょう。
小児科での服薬指導
小児薬物療法認定薬剤師は、子どもとその保護者に対して、適切に服薬ができるよう服薬指導を行います。
具体的な服薬指導の内容には、現在の内服状況や体調の確認、薬剤の効果や副作用などの情報提供があります。
子どもは、内服に対する拒否反応により、スムーズに内服できない場合もあるため、保護者の精神的なサポートや、スポイトや服薬補助ゼリーを用いた薬の飲ませ方の工夫を伝えることも大切です。
他の医療職への助言や提案
小児薬物療法認定薬剤師は、医薬品の専門家の立場から、医師に対して小児の薬物療法の実施方法を提案します。
また、看護師などの他職種に対して、小児薬物療法の副作用に対する対処方法などアドバイスを行います。
このように、小児薬物療法認定薬剤師は医療チームの一員として、他の医療職と連携しながら仕事を行っているのです。
小児薬物療法認定薬剤師の資格取得について
小児薬物療法認定薬剤師の資格を取得するためには、いくつかの要件を満たす必要があります。
ここでは、取得要件や費用、資格更新の要件について解説します。
取得要件
小児薬物療法認定薬剤師の資格を取得するためには、以下の2つの要件を満たす必要があります。
小児薬物療法研修会を終了したのち試験に合格すること
小児薬物療法認定薬剤師の資格を取得する要件の一つとして、小児薬物療法研修会を修了したのち、試験に合格することが必要です。
小児薬物療法研修会は、約8ヵ月間e-ラーニング形式で実施され、小児の薬物療法について深く学びます。
この研修会を受講するためには、研修会申し込み時点において保険薬局または病院・診療所での実務経験が3年以上かつ、申し込み時点においても保険薬局または病院・診療所に勤務していることが必要です。
レポートを提出して合格すること
小児薬物療法認定薬剤師の新規認定を受けるには、必要なレポートを提出し、合格の評価を得なければいけません。
提出するレポートの内容は、日本小児臨床薬理学会学術集会のセッションに関するものです。
認定試験に合格した年の末日までに日本小児臨床薬理学会学術集会に1回以上参加して、内容をまとめる必要があります。
このレポートの作成には、小児薬物療法に関する深い知識と理解が求められます。
取得にかかる費用
小児薬物療法認定薬剤師資格を取得するためには、研修の受講料と、研修後の試験の受験料、そして学会費が必要となります。
受験料に関しては、研修受講年度の受験の場合には研修受講料費に含まれます。
ただし、何らかの理由で研修後に受験しなかった場合や再試験となった場合には、別途受験料を支払わなければなりません。
学会費は年度や事前参加登録の有無によって異なりますが、2023年度の例を挙げると、事前参加登録の場合は10,000~11,000円、一般参加の場合は13,000円でした。
資格取得には一定の費用がかかりますが、専門性を高めるための投資と考えることもできるでしょう。
資格更新の要件
小児薬物療法認定薬剤師の資格は、3年ごとに審査を受けて更新しなければなりません。
更新に必要な条件として、日本小児臨床薬理学会学術集会や業務実績報告などの必須単位を含め、初回更新の場合は30単位以上(1年に5単位以上)、2回目以降の更新の場合は20単位以上(1年に3単位以上)の単位取得が必要です。
資格更新のためには、小児薬物療法に関連する学会に参加したり、日々の業務での経験を積み重ねていったりすることが大切だといえます。
小児薬物療法認定薬剤師としての活躍を検討しよう
小児薬物療法認定薬剤師は、小児を対象とした薬物療法の専門家として、医療チームの一員として活躍することができます。
子どもやその保護者への服薬指導や、他の医療職への助言・提案など、幅広い役割を担っています。
資格取得には一定の要件や費用がかかりますが、小児医療の質の向上に貢献できるやりがいのある仕事だといえるでしょう。
小児薬物療法認定薬剤師としての活躍を、検討してみてはいかがでしょうか。