
食や栄養のプロである管理栄養士ですが、実務の中では食や栄養に関する知識や技術以外のことも求められます。
この記事では、管理栄養士の仕事において大切なことをお伝えします。より高いレベルで働きたいと考えている方はぜひともご覧ください。
目次
管理栄養士として働くうえで大切なこと
管理栄養士として働くにあたって大切なことを心構え、知識・能力、適性の視点からまとめました。また、管理栄養士がなぜ必要とされるのかもあわせて紹介します。
管理栄養士として働くうえで求められること・大切な心構え
管理栄養士として働くには、栄養管理などはもちろんですが、他にも必要な心構えがあります。ここでは、管理栄養士として働く際に求められることや大切なことを中心に解説します。
食への探求心と向上心を持つ
食への探求心や向上心は、管理栄養士としての成長につながります。
管理栄養士は、その名のとおり栄養に関する専門家です。栄養や食事のバランスを考えることはもちろん、口に入れたときにおいしいと感じられるようなメニューや味付けも求められます。
栄養バランスがよいことを前提に、食材選びや調理方法、味付けなどを決めていきます。また、おいしいと感じてもらうには、味以外にも見た目のよさや彩りなども考えなければなりません。
食材の特徴や相性などを考えながら組み合わせを決めていくには、普段から食への探求心を持つことが大切です。また、よりおいしさや楽しさを感じてもらうにはどうすべきか考え、自分自身の食の経験を向上させましょう。
サービス精神や協調性をもつ
管理栄養士は、相手に対するサービス精神や協調性も忘れてはいけません。
食事を通じて伝わる、食への興味や味の経験、楽しさやおいしさという気持ちは、人生を豊かにするものです。作り手が気持ちを込めれば、食べる側にその気持ちは伝わり、相手の心を動かすでしょう。そのため、食事を提供する側としてのサービス精神が求められます。
また、仕事中もチームプレーを求められる機会は少なくありません。調理スタッフや施設・事業所のメンバーと協力しながら仕事を進めましょう。
管理栄養士・栄養士倫理を理解する
管理栄養士として働くには、管理栄養士・栄養士倫理の理解も欠かせません。
管理栄養士には、食や栄養に関する専門家、国家資格者として、自律、善行原理、無危害原理、正義から構成される倫理観が求められます。
信用される管理栄養士であるためには、職業に対する責任を自覚し、高度な技術をもって栄養の指導を実施すること、他者の人格を尊重し良心と愛情をもって接すること、高い知識と技術水準を維持することが重要です。
管理栄養士に必要な知識・能力
管理栄養士として働いていくには、知識と能力を高めなければいけません。ここでは、管理栄養士としてスキルアップしていくための知識や能力について解説します。
栄養学に関する最新知識
管理栄養士は資格更新がないので、新たな知識や最新の情報は自分自身で常に学んでいかなければなりません。
特に栄養学の分野は年々進歩しているため、数年前までの常識が通用しなくなるケース もあります。食材のカロリー計算の変化に合わせて献立作成の内容を変えたり、命に関わる食物アレルギーの発見により食材の選び方が変わったりといったことが考えられます。
栄養学に関する最新知識を主体的に身に付けるよう心がけましょう。
コミュニケーション能力
管理栄養士はコミュニケーション能力も重要です。
特に病院などで働く場合、医師や看護師との連携に加え、患者さんとの交流もあります。
そのため、協調性やチームで仕事をしている意識を常に持ち、一人ひとりに合わせて適切なアドバイスをしましょう。
赤ちゃんから高齢者まで、職場によっては幅広い年代や生活習慣の人を対象にします。
健康状態の把握や好み、食習慣などもそれぞれ把握したうえで、献立を考えることが大切です。
求められる知識・能力は職場によっても異なる
管理栄養士に求められる能力や知識は、職場によって違いもあります。
病院では、患者さんの体調に合わせた献立の作成や調理、栄養指導、学校では献立の作成や調理、食育指導、残量チェックなどの業務があります。
食品メーカーや研究機関では、飲料品や機能性食品の開発など、より高度な管理栄養士の知識が求められます。
管理栄養士としての基礎知識に加え、職場に応じた専門性を身に付けましょう。
管理栄養士に向いている人
管理栄養士に向いているのは次のような特徴のある人です。
- 食に関しての最新情報を献立に反映できる応用力のある人
- 味と栄養のバランスが整えられる人
- 自分自身で積極的に勉強できる熱心なタイプの人
- 協調性があり、チームワークを尊重できる人
- 説得力があり、信頼感を与えられる人
最初からすべてクリアできる人はなかなかいません。日頃から知識や能力を高めるために努力しましょう。
管理栄養士に向いている人・向いていない人についてもっと知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

管理栄養士の必要性
管理栄養士は多くの場所で必要とされています。
- 医療機関……栄養管理、患者さんへの栄養指導、医師や看護師と連携した栄養管理
- 福祉施設……身体機能に合った食事の提供、食べる意欲の向上などのサポート
- 保育園・幼稚園、学校……年齢に合わせた栄養から献立作成・改善、食育
- 行政機関……地域住民などに対する栄養相談や講演会の開催
- 研究機関……食に関する研究、商品開発、管理栄養士・栄養士の養成
管理栄養士の仕事内容は、働く場所によって違いもあります。しかし、どのような環境でも管理栄養士の専門的な知識や能力が必要とされます。
管理栄養士の必要性についてもっと知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
管理栄養士にしかできないこと
管理栄養士は、栄養士よりも資格取得の難易度が高く、担える業務の内容や責任の範囲も広くなっています。
栄養士は、主に健康な人を対象にした栄養管理しかできません。
それに対し、管理栄養士は病気や高齢で食事をとりづらくなっている人などに対する栄養指導や管理もできます。
病院で行う管理栄養士の栄養指導や管理は診療報酬の算定対象です。
2008年からは特定保健指導での生活習慣の改善指導も業務に加わり、管理栄養士の必要性はますます高まっています。
管理栄養士になるために必要なこと
管理栄養士になるには、どうすればよいのでしょうか?
管理栄養士になるには、高校卒業後、管理栄養士養成施設または栄養士養成施設の指定を受けた大学・短大・専門学校を卒業し、国家試験に合格する必要があります。
<管理栄養士の資格取得ルート>
- 4年制・管理栄養士養成施設卒業→管理栄養士国家試験合格
- 4年制・栄養士養成施設卒業→実務経験1年以上→管理栄養士国家試験合格
- 3年制・栄養士養成施設卒業→実務経験2年以上→管理栄養士国家試験合格
- 2年制・栄養士養成施設卒業→実務経験1年以上→管理栄養士国家試験合格
勉強する内容や実習が多いため、通信教育や夜間部の学校はなく、通学の必要な昼間部の学校に通わなければ取得できません。
管理栄養士養成施設または栄養士養成施設では、栄養指導論や給食管理、調理実習や食品加工学、臨床栄養学などが学べます。
管理栄養士になるにはどうしたらよいか、管理栄養士の受験資格についてもっと詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
管理栄養士にとって大切なポイントを押さえよう
今回は管理栄養士になるために大切なことや心構え、能力について紹介しました。
管理栄養士は食や栄養に関連した幅広い業務に携わり、相手に寄り添う姿勢やコミュニケーション能力が求められる職業です。常に意欲を持ちながら働くことで、スキルアップにつながり、管理栄養士としてより大きく成長できるでしょう。