介護福祉士は、介護系資格のなかでは唯一の国家資格であり、高齢者施設を中心に活躍しています。
この記事では、高齢者施設や社会における、介護福祉士の役割を解説しています。
厚生労働省の見解や介護福祉士に期待される機能も紹介しているので、参考にしてください。
介護福祉士の資格の内容や具体的な業務内容については、以下の記事でそれぞれ解説しています。
目次
介護福祉士の役割|厚生労働省の見解
介護福祉士の役割は、厚生労働省の社会保障審議会福祉部会福祉人材確保専門委員会が2017年に発表した「介護人材に求められる機能の明確化とキャリアパスの実現に向けて 」において、以下のように定義されています。
- 介護職のリーダーとして限られた人材で効果的・効率的に介護を提供し、サービスの質を向上させる
- 介護ニーズの複雑化・多様化・高度化にともない、より専門的な知識や技術も持つ
- 介護現場の多職種によるチームケアのなかでエビデンスに基づいた介護提供のための指導を行い、後進を育成する
- 利用者の尊厳と自立支援のための介護計画・介護実践のマネジメント
つまり、介護現場のリーダーとして高い技術を持ち、サービスの質を向上させ、後進を育成するマネジメント能力を発揮することが、介護福祉士に求められる役割といえるでしょう。
介護福祉士の具体的な役割
介護福祉士の、実際の介護現場での具体的な役割を見ていきましょう。
介護時の専門的な支援
介護福祉士は、入浴や排泄などの身体介護において専門的な役割を発揮します。
これらの介護は介護福祉士以外の介護職でも担当することはありますが、介護の多様化や複雑化が起こっている現代では、より高度な知識と技術が必要です。
例えば、認知症の人に対しての適切な声かけや身体の不自由な人に向けた支援などは、専門性が高い人でなければ対応が難しいでしょう。
介護福祉士は専門知識と技術を深め、多様な介護ニーズに答えられるスペシャリストとしても役割が期待されています。
介護福祉士の仕事のやりがいは、別の記事で詳しく解説していますので参考にしてください。
生活援助の中核的存在
介護福祉士は、生活援助の中核的存在としての役割も期待されています。
介護のあり方の多様化にともない、近年の介護業界では、訪問介護や泊まりなどを組み合わせたさまざまな介護サービスが実施されています。
そのため、介護従事者は各サービスごとに必要な支援の違いを理解して適切な対応が取れるよう、専門性を高めることが必要です。
例えば、訪問介護では身体介護の他に、洗濯や買い物などの生活援助を行います。
援助を行うなかで地域の医師やリハビリ職の人と連携して、的確な支援を行う場面もあるでしょう。
利用者が普段どのような薬を常用しているのか、リハビリとして日常でどの範囲までを自分の意思で行うのかなどの情報を整理して、個人に合わせた介護をすることが必要です。
介護福祉士は、このように他の医療機関などと連携しつつ、個人に合わせた介護サービスを実施できる人材であることが求められます。
後進の育成やマネジメント
介護福祉士は、後進の育成や評価などのマネジメントを行う役割も期待されています。
介護福祉士は現場のリーダーとしてチーム全体をまとめあげ、各キャリアやスキルの向上に寄与することが必要です。
後進の介護士に対して適切な指導を実施したり、評価体制を整えたりして、介護施設全体のサービス向上に努めることが求められます。
ときにはキャリア相談などにも乗り、新人がどのようなキャリアを歩むべきかの指針を提示してあげる必要も出てくるでしょう。
介護福祉士には後進のキャリア支援を適切に講じ、介護職の人材定着を図っていく役割もあります。
介護福祉士の役割は現場の中心的存在
国家資格である介護福祉士は、介護のときに専門的な支援を実施したり、他の医療サービスなどと連携して生活援助を行ったりと、中核的な存在です。
また、介護支援だけでなく、後進の育成やマネジメントなど、介護チーム全体の中心としての役割も求められます。
今後、高齢化や介護の多様化が進むなかで、ますます需要は増え、引き続き重要な役割を担っていくでしょう。
介護士としてキャリアアップしていきたい人は、ぜひ資格取得に挑戦してみることをおすすめします。