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公務員保育士とは?私立保育士との違いや給料、なり方を解説

保育士とは、0〜6歳 程度の子どもの世話や成長支援をする職業です。
なかでも、地方自治体が運営する公立の保育施設で働く保育士のことを、公務員保育士、もしくは公立保育士といいます。

本記事では、公務員保育士の概要や私立保育士との違い、平均給料といった内容から、保育士が公務員として働くメリット・デメリット、なり方についても紹介します。

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公務員保育士とは?

公務員保育士とは?

公務員保育士とは、地方自治体が運営する保育施設で働く保育士のことを指し、公立保育士と呼ばれることもあります。

保育士資格を取得したあと、地方自治体が実施している公務員試験に合格したうえで就職するため、地方公務員という位置付けです。

仕事内容は私立保育士と同じですが、配属先や雇用形態は公務員保育士ならではの特徴があります。

ここでは、以下3つについて詳しく見ていきましょう。

  • 公務員保育士の配属先
  • 公務員保育士の勤務形態
  • 公務員保育士と私立保育士の違い

保育士の公務員試験への合格が必要

公務員保育士になるためには、保育士資格を取得したあと、地方自治体が実施している公務員試験に合格する必要があります。
私立保育園であれば保育士資格を取得後、希望する保育園に就職すれば保育士として働けます。

しかし、公務員保育士は地方公務員なので、保育士資格取得後に公務員になるための公務員試験を受けなければなりません。

公務員試験の内容は各自治体により異なります。
東京都八王子市を例に挙げると、一次試験では教養試験 や論文試験、二次試験では適性検査やグループワークなどが行われます。

公務員保育士の配属先

公務員保育士は、保育園以外の施設に配属されることもあります。
具体的には以下のような施設です。

  • 子育て支援センター
  • 児童福祉施設
  • 乳児院

子育て支援センターは、主に乳幼児の子どもを持つ親が交流を深める施設です。
子どもの遊び場の役割もあるため、子どもも保護者も気軽に訪れられます。

児童福祉施設は、事情があり親元で暮らせない子どもを保護、育てるための施設です。
保育所や子育て支援センターと比べて幅広い年代の子どもが在籍しているため保育園とはまた違った職場となります。

また、地方公務員である公務員保育士は、同じ地域の施設であれば異動があることも頭に入れておきましょう。

公務員保育士の雇用形態

公務員保育士には、主に以下の4つの雇用形態があります。

  • 正規職員:フルタイムで働く正規雇用の職員のことです。
    保育園では担任を受け持ったり、経験年数が上がると園長や副園長などの責任があるポジションに就くこともあるでしょう。
  • 臨時職員:非正規雇用の職員であり、勤務期間が3ヵ月、1年などと限定されています。
    産休・育休などに入る正規職員がおり、人手が不足する場合に募集がかかります。
    また、1日6時間労働や週3勤務など、勤務時間も短い傾向です。
    仕事内容は正規職員とほとんど変わりませんが、柔軟な働き方ができるため、プライベートに合わせて働けるでしょう。
  • 嘱託職員:臨時職員と同様に非正規雇用の職員です。
    定年退職した職員が、再雇用という形で勤務期間を限定して働いています。
  • 派遣保育士:登録した派遣会社から、勤務先の保育園を紹介されて働く保育士です。
    主な業務は保育補助であり、派遣期間が定められているため、年度途中で契約終了となることもあります。

公務員保育士と私立保育士の違い

公務員保育士と私立保育士の違いをまとめてみました。

公務員保育士 私立保育士
勤務先 ・公立の保育園(認可保育園)
・子育て支援センター、児童福祉施設、乳児院
など
・私立の保育施設(社会福祉法人、株式会社、NPO法人などが運営)
勤務時間 ・保育標準時間が定められており、延長保育や休日保育も基本的にはないため勤務時間が一定 ・勤務先による
保育方針 ・基本的にはどの施設も共通の保育方針 ・施設によって保育方針が異なる
給料 ・安定している ・勤務先によるが平均的には公務員保育士より低め
ボーナス ・支給される ・勤務先による
異動 ・3~4年おき程度で異動がある ・基本的にはなし。系列の園がある場合は異動がある可能性もある
福利厚生 ・地方公務員の基準が適用される ・勤務先による
就職のしやすさ ・地方自治体の試験に合格し、配属決定まで待機する必要がある ・比較的就職しやすい

公務員保育士は、私立保育士と異なり「公務員」であることから、給料や福利厚生には公務員の待遇が適用されます。
私立保育士は勤務している園の経営状況によって、ボーナスや給与などの待遇が変化する可能性がある一方、公務員保育士は勤務している保育園によって待遇が変化することはなく、経済的にも安定するでしょう。
「経済的な安定」を重視するのであれば、公務員保育士がおすすめです。

一方で、公務員保育士は、就職するために公務員試験を通過しなければならず、自由に勤務先の保育園を選べない可能性もあるでしょう。
就職してからの異動もあり、働きたい保育園があるなど勤務先を自由に決めたい場合は、私立保育士が良いでしょう。

公務員保育士の給料は?

ここでは公務員保育士の給料やボーナスについてご紹介します。

公務員保育士の給料・年収

公務員保育士の給料は、勤務している自治体が定めている「給料表」に則って決定されます。
勤務先の自治体によって給与は異なりますが、例えば東京都練馬区の公務員保育士の令和3年度の年収は約681万円です。

一方で、厚生労働省の調査によると、私立保育士の令和3年度の年収は約382万円でした。
公務員保育士は、私立保育士に比べて給与が高い傾向にあることがわかるでしょう。

加えて、公務員の給与は、勤務年数が長くなるほど上昇します。
長く勤めれば勤めるほど、給与の上昇が見込めます。

令和4年度 練馬区人事行政の運営等の状況の公表
賃金構造基本統計調査 令和4年賃金構造基本統計調査 一般労働者 職種 | ファイル | 統計データを探す

公務員保育士のボーナス

地方公務員である公務員保育士のボーナスは、各自治体の条例によって、支給される金額が決められます。

東京都を例に挙げると、令和元年度~令和4年度の3年間は、年間4.45~4.65ヵ月分の金額で推移しています。(令和4年度は年間4.55ヵ月分)

参照:
夏季の特別給の支給|東京都
冬季の特別給の支給 |東京都

民間企業の場合、会社の業績が悪ければボーナスが支払われない可能性もありますが、公務員であれば支払われます。

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保育士が公務員として働くメリット・デメリット

保育士が公務員として働くメリット・デメリット

ここからは公務員保育士のメリットとデメリットを紹介します。

保育士が公務員になるメリット

公務員保育士には、以下の2つのメリットがあります。

  • 公務員ではない保育士と比較して給料が高い
  • 福利厚生が手厚い

それぞれ説明していきます。

公務員ではない保育士と比較して給料が高い

先述したように、公務員保育士は、私立保育士と比較して給与が高い傾向にあります。

給与の計算方法が決まっているため、保育園の経営状況と給与は切り離して考えられます。
「保育園の経営悪化により昇給がない」などの状況には陥らず、安定的な昇給が見込まれるでしょう。

加えて、私立保育士は勤めている園によっては退職金がない場合もありますが、公務員であれば、確実に退職手当も貰えます。

福利厚生が手厚い

福利厚生の手厚さも、公務員保育士のメリットです。
具体的には休暇制度や共済組合などが挙げられます。

休暇制度では、年次休暇や病気休暇などのさまざまな休暇が定められており、実際に取得しやすい点が特徴です。
民間企業の場合は、制度が整っていても実際に利用するのが難しいなどのケースも珍しくありませんが、公務員保育士の場合はそういった心配がありません。
また、産休や育休も、私立保育園とくらべて取得しやすい傾向にあります。

共済組合では、健康保険や年金などの他、レジャー施設や宿泊施設を割安価格で利用できるなどの特典も受けられます。

保育士が公務員になるデメリット

次に、公務員保育士のデメリットについて触れていきましょう。
公務員保育士のデメリットとしては以下の2つがあります。

  • 異動がある
  • 保育園以外の勤務になる可能性がある

それぞれ解説していきます。

異動がある

公務員保育士には異動があります。
異動は3~4年おき程度に行われ、原則として拒否することはできません。

ただし、異動はあくまで勤務する市区町村の地域内で行われるため、転居が必要になることはないでしょう。
また、異動先の施設で、以前一緒に働いていた保育士や、調理師などの職員に再会できることもあるため、ゼロから人間関係を作らなければいけないわけでもありません。

自分で職場を選択できない

公務員保育士は、配属される職場を自分で選択することができません。
場合によっては、子育て支援センターや児童福祉施設など、保育園以外の施設に配属される可能性もあります。

しかし、保育園だけではなく、さまざまな現場を経験できる点は、メリットとしてとらえることもできるでしょう。
また実際に配属されてみて違和感があった場合は、違う施設への異動希望を提出できます。

公務員保育士のなり方

ここからは、公務員保育士のなり方について紹介します。

私立保育士は、保育士の資格を取得したあと、就職を希望する保育園の内定を獲得すれば晴れて保育士として活躍できます。
しかし、公務員保育士になるためには、まず保育士公務員試験に合格しなければいけません。

受験資格

保育士公務員試験の受験資格は自治体によって異なりますが、以下のような条件が一般的です。

  • 受験資格:保育士資格を所有済み、または取得予定
  • 年齢制限:30歳まで など
  • 勤務可能開始日:令和6年4月1日から勤務開始など
  • その他:居住制限(市内・区内在住) など

保育士の公務員試験を受験予定の方は、事前に自治体のホームページや問い合わせ窓口にて、自身が受験資格を満たしているか確認しておきましょう。

試験内容

保育士公務員試験の実施方法も自治体によって異なりますが、基本的には一次試験と二次試験に分けて実施されます。

主な試験内容例は以下のとおりです。

  • 一次試験
    筆記試験となっており、選択式や作文形式などで出題されます。
    試験時間は2〜3時間程度です。
    高校卒業までの一般教養(数学、国語、英語)や、保育士の専門的な知識が問われます。
  • 二次試験
    面接やピアノ演奏・読み聞かせなどの実技試験、握力や反復横跳びなどの体力測定などが行われます。
    面接では、志望動機や自己PRなどの質問が想定されます。

公務員保育士になる流れ

公務員保育士になるには、以下の3ステップを踏む必要があります。

1.保育士公務員試験に申し込みする

まずは、就職を希望する自治体のホームページより保育士の募集要項を確認して、保育士公務員試験に申し込みましょう。
保育士の募集は毎年実施されるわけではありません。
保育士が足りている場合は、採用試験が実施されなかったり、採用枠が少ないこともあるでしょう。

公務員保育士として、採用された地域以外へ転職する場合は、再度試験の受験が必要です。
自治体のホームページには、保育士の勤務条件や勤務先が記載されているところもあります。
長く働ける勤務地かどうかも考えて申し込みをしましょう。

2.試験を受け合格する

先述したように、保育士公務員試験を受け合格しましょう。
試験は、市区町村の役所などで実施されます。
一次試験を受験したあと、1ヵ月程度で合格発表があり、一次試験の合格者のみが二次試験へと進みます。
あらかじめ、過去問などを解いて試験対策をしておきましょう。

採用候補者名簿への登録・保育施設からの連絡を受ける

保育士公務員試験に合格すると、採用候補名簿に1年間登録されます。
そのあと、採用希望の保育施設からの連絡を受けて、無事に就職が決まれば、公務員保育士としての勤務を開始することとなります。

注意点として、保育士公務員試験に合格すれば、必ず採用が決まるわけではありません。
残念ながら、保育施設から採用連絡がない場合もあります。
登録期間である1年間を過ぎてしまうと、再度保育士公務員試験を受験し直す必要があります。

公務員保育士は保育士の働き方のひとつ

公務員保育士は、給料の安定や福利厚生の充実といったメリットがある一方で、定期的な異動があったり職場の選択権がないなどのデメリットもあります。
公務員保育士をめざす前に、自身が希望する働き方や就職先選びの優先順位を、一度考えてみましょう。

公務員保育士になりたい場合は、通常の保育士試験に加えて、公務員になるための試験も通過する必要があります。
事前に受験資格や採用予定を確認しておきましょう。

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