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在宅ケア認定看護師になるには?メリット・デメリットも解説

この記事の監修者
ゆみさと
【資格】
看護師

【プロフィール】
岩手県立大学看護学部を卒業後、血液内科・乳腺外科混合病棟にて勤務し、その後、透析クリニックに転職。
現在、看護師として働きながら、医療関係を中心にライターとしても活動中。

訪問看護分野で働く看護師の方がキャリアアップをめざす方法として、在宅ケア認定看護師の資格を取得するという選択肢があります。
認定看護師制度は2019年に制度改正され、一部名称が変更・統合されました。
在宅ケア認定看護師は、訪問看護認定看護師から名称変更された資格です。

この記事では、在宅ケア認定看護師のなり方と資格取得のメリット・デメリットを解説します。
訪問看護分野の知識と技術を高めたい方、キャリア形成のために資格取得を検討している方は参考にしてみてください。

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在宅ケア認定看護師は訪問看護認定看護師が名称変更された資格

在宅ケア認定看護師は訪問看護認定看護師が名称変更された資格

看護師がキャリアアップをめざすためのステップとして認定看護師制度があり、訪問看護分野では在宅ケア認定看護師の資格が挙げられます。
2019年に認定看護師規定は改正され、認定看護分野が統合・名称変更されました。
以前は訪問看護認定看護師と呼ばれていた資格が、在宅ケア認定看護師へと名称変更され、教育課程も変わっています。

「訪問看護」から「在宅ケア」へ名称変更された理由は、入院施設などの退院支援実践者も受講するようになり、訪問看護認定看護師では役割を十分に表現できなくなったためです。
2024年時点は在宅ケア認定看護師への移行期のため、資格取得の方法が少し複雑になっています。
次項で解説する資格取得方法を参考に、受験資格を満たすために必要なことを確認してみましょう。

認定看護師制度が今後どうなるのか気になる方は、こちらの記事をご参照ください。

【移行期間限定】認定看護師になるには2とおりある

2024年時点で、訪問看護分野の認定看護師になる方法は2パターンあります。

教育課程 取得できる資格名称
A課程 訪問看護認定看護師
B課程 在宅ケア認定看護師

A課程とB課程は、申し込みに必要な実務経験の内容や学習するカリキュラム内容が異なります。
A課程の教育制度は2026年度で終了し、訪問看護認定看護師の方が在宅ケア認定看護師を名乗るためには、特定行為研修を修了しなければなりません。
特定行為研修を受けなくても訪問看護認定看護師と名乗れますが、5年ごとの更新手続きが必要です。

今から訪問看護分野の認定看護師をめざすのであれば、教育課程の受講しやすさも踏まえつつB課程の受講を検討しましょう。

資格取得に必要な教育課程を開講している教育機関は、A課程とB課程で異なります。
2023年3月時点では、A課程に対応した教育機関は全国で2つ、B課程に対応した教育機関は全国で1つしかないため、居住地域によっては一定期間の引越しが必要になるかもしれません。

まずは、教育機関への通学可否を考える必要があるでしょう。

一方で、2021年度以降に初めてA課程で訪問認定看護師を取得した場合は、再認定審査を受けられません。
再認定審査は、5年ごとの更新を忘れてしまい資格を失った際に、再度認定看護師と認定してもらうための審査です。

うっかり更新を忘れてしまうリスクは誰にでもあるでしょう。
認定看護師資格の更新忘れが不安な方は、B課程である在宅ケア認定看護師の取得を検討してみてください。

在宅ケア認定看護師になる方法

在宅ケア認定看護師になるためには、以下3つの条件があります。

  • 実務経験が5年以上必要
  • 認定看護師教育機関を修了(令和6年度の募集はなし)
  • 認定看護師認定審査

順に詳しく解説します。

実務経験が5年以上必要

在宅ケア認定看護師の資格を得るには、看護師としての実務経験が5年以上必要です。
なおかつ5年以上のうち通算3年以上は、訪問看護分野の実務経験でなければいけません。
実際に、認定看護師になるために必要な認定審査の申請において、必要な実務研修を実施していることを確かめるため、履歴書の提出が求められます。

訪問看護分野における実務経験の内容は、次のようになっています。

1)通算 3 年以上、在宅ケア領域での看護実績を有すること。
2)医療依存度の高い患者の在宅における看護(在宅療養移行支援含む)を 5 例以上担当した実績を有すること。
3)現在、在宅ケアに携わっていることが望ましい。
4)気管カニューレ管理、胃ろうカテーテル・腸ろうカテーテル・胃ろうボタン管理、褥瘡又は 慢性創傷管理、輸液管理の知識・技術を有していることが望ましい。

出典:特定看護分野の実務研修内容の基準

自分の実務経験が基準を満たしているか確認しておきましょう。

【令和6年度の募集はなし】認定看護師教育機関を修了

在宅ケア認定看護師のカリキュラムを修了するまでに必要な期間は1年です。
総教育時間数は800時間程度で、約600時間の講義に加えて、臨地実習や統合演習があります。

講義形式としては、集合教育が基本ですが、一部eラーニングで受講できる場合もあります。

講義内容の一例は、以下のとおりです。

共通科目 認定看護分野専門科目
臨床病態生理学 在宅ケア概論
フィジカルアセスメント 在宅に特徴的な病態の理解と看護
臨床薬理学 在宅ケアに必要な家族支援
疾病・臨床病態概論 エンド・オブ・ライフケア

また、臨地実習では、複数の看護問題を抱えた患者さんを受け持ちます。
講義にて学習した内容を生かして必要な看護ケアを実践していくなかで、在宅療養に必要な知識や技術を学べるでしょう。
統合演習では、臨地実習の事例をケースレポートとしてまとめて発表する機会があります。

受講料は、総額100万円程度が必要になります。
なお2023年3月時点で、B課程である在宅ケア認定看護師の研修内容を組み込んでいる学校は、徳島県にしかありません。
徳島の教育機関のホームページでは、令和6年度の教育課程を休講すると発表しており、新規の取得は不可能です。

B課程認定看護師教育機関は、年度により新しく増えることがあります。
今後さらに在宅ケアの教育機関が増えていくことを期待しましょう。

認定看護師認定審査

教育機関修了後は認定審査があり、申請のタイミングは年1回です。
認定審査に合格し、B課程認定看護師名簿に登録されれば、在宅ケア認定看護師と名乗れます。

認定審査への申し込みは「資格認定制度 審査・申請システム」を利用して行い、審査料は51,700円です。
申請時には、オンラインで以下4点の書類を提出する必要があります。

  • 看護師免許証
  • 認定看護師教育機関の修了証
  • 特定行為研修修了証(特定行為研修受講者のみ)
  • 履歴書

履歴書は、実務研修を証明するために必要です。
紙の書類で用意するのではなく、申請手続きに使用するシステム内で履歴書を作成します。
詳しくは、日本看護協会ホームページで閲覧できる認定看護師(CN)認定の手引きをご参照ください。

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在宅ケア認定看護師を取得するメリット

在宅ケア認定看護師の取得には、以下のようなメリットがあります。

  • 訪問看護の専門知識と技術が身につく
  • 給料アップの可能性がある
  • 転職時に有利になる
  • 訪問看護の需要は上がっている

在宅ケア認定看護師は専門性の高い資格です。
このため、取得により在宅看護の質を高められるだけでなく、資格手当が支給されて給与がアップしたり、転職がしやすくなったりするでしょう。

訪問看護の専門知識と技術が身につく

在宅ケア認定看護師を取得するためには、800時間以上の勉強が必要です。
認定されたときには、受講前よりも多くの専門知識と看護技術が身についています。
認定看護師になるために多くの勉強をしていくなかで、在宅看護分野における高度な知識やスキルの習得はもちろんのこと、チーム医療のキーパーソンとなれるスキルや、他看護師に対する指導力もついていくことでしょう。
そのため、訪問看護分野において大きくスキルアップできます。

実力のある看護師になれば、訪問先の患者さんからの信頼も得やすくなります。

給料アップの可能性がある

在宅ケア認定看護師の資格を取得後は、職場から資格手当が支給される可能性があります。
日本看護協会は「2022年度専門看護師・認定看護師に対する評価・処遇に関する調査」を実施し、認定看護師の資格手当に関する以下のデータを公表しました。

資格手当あり 資格手当なし
認定看護師 41.2% 58.8%

認定看護師の資格手当をもらっている方は、4割を超えています。
毎月支払われる資格手当の平均は、8,530円でした。
ただし、資格手当なしの割合が半数以上であることからもわかるように、必ずしも手当が支払われるわけではないため、事前に確認しておきましょう。

また、認定看護師の約半数が副看護師長や看護師長などの中間管理職として活躍している現状があります。
認定看護師としてのスキルが評価されて職場内で昇進することで、管理職手当など昇給する可能性もあるでしょう。

転職時に有利になる

在宅ケア認定看護師を取得すれば、訪問看護分野における知識・技術がトップクラスであると証明できます。
他の看護師との差別化を図ることができ、自分の希望する職場へ転職しやすくなる可能性があるでしょう。
2023年12月時点で在宅ケア認定看護師は全国に82名しかおらず、訪問看護事業所にとって在宅ケア認定看護師資格保有者は貴重な存在といえます。

訪問看護の需要は上がっている

訪問看護の利用者は年々増えており、訪問看護ステーションの数も増加傾向にあります。
高齢化率の上昇もあり、国が在宅医療を推進していることから、訪問看護の需要はより高まっていくでしょう。
実際に厚生労働省は、訪問看護事業所での看護師需要について、2025年には13万人の看護師が必要だと推測しています。
こうした需要に対し、在宅ケア認定看護師は、訪問看護分野のスペシャリストとして長期間の活躍を期待できるでしょう。

在宅ケア認定看護師を取得するデメリット

在宅ケア認定看護師をめざす際は、デメリットにも目を向けておく必要があります。

  • 認定までに時間や費用がかかる
  • 職場環境によっては活用が難しい

2024年現在では教育機関の数も十分ではなく、コストがかかるという観点からも資格取得までの道のりはハードかもしれません。
また、どのような職場でも在宅ケア認定看護師の資格を活かせるわけではないことを覚えておきましょう。

認定までに時間や費用がかかる

在宅ケア認定看護師の取得には、800時間という短くない受講時間と、受講料や認定審査料などを含めた総額150万円程度の費用が必要になります。
在宅ケア認定看護師の教育機関は、2023年の時点で徳島県の1ヵ所のみです。
また、講義は基本的に木〜土曜に設定されています。

近辺に住んでいる方は、出勤日数を調整しつつ働きながら通学できるかもしれませんが、遠方の方はなかなか難しいでしょう。
資格取得期間の雇用形態の交渉や家庭の状況によっては、認定までに超えなければいけないハードルが多くなる可能性があります。

職場環境によっては活用が難しい

在宅ケア認定看護師を取得しても、職場環境によっては十分に活かしきれないケースがあります。
例えば、職場が認定看護師についての理解が浅く職位を与えられなかったり、指導者として活動できなかったりするケースです。
このように、時間をかけて得た知識と技術を実践できない、指導に活かせないことで、現在の職場に不満を抱いてしまうこともあるでしょう。

在宅ケア認定看護師を取得後、現在の職場では有効活用できないと感じた場合には、転職も視野に入れてみてください。

在宅ケア認定看護師へのハードルは高いがメリットも大きい

在宅ケア認定看護師を取得するためには、5年以上の実務経験を積み、かつ教育機関で必要なカリキュラムを修了しなければなりません。
在宅ケア認定看護師の研修内容を学べる教育機関は、2024年現在で徳島県1ヵ所のみです。
お住まいが近い場合でも、職場や家庭からの協力は不可欠となるでしょう。

金銭的な問題も含め、乗り越えるべきハードルは多くありますが、希少な資格であるぶん取得後のメリットは大きいといえます。
令和6年度はすでに教育機関から休講が発表されているため、令和7年度以降の開校を待ちましょう。

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