
社会人から看護師をめざしたいと思ったとき、年齢が不利になるのではないかと気にする方も多いのではないでしょうか。
しかし、看護師をめざすのに年齢は関係ありません。
事実、病院やクリニックで活躍している看護師にも、一般企業で社会人を経験してから看護師になった方は多くいます。
本記事では社会人から看護師をめざしたいと思っている方に向けて、看護師になるためのロードマップを説明していきます。
看護師になりたいけれど、年齢を気にしてなかなか踏み切れないという社会人の方は、ぜひ参考にしてください。
目次
看護師は何歳からでもOK、年齢制限はない
看護師になるためには看護師国家試験に合格する必要がありますが、この受験に年齢制限はないため、何歳からでも看護師をめざすことは可能です。
実際に、40代以上でも看護大学や看護師専門学校に入学している方は一定数います。
特に看護養成所では社会人経験割合が高く、看護日本協議会が行った実態調査では、総在籍数に占める社会人経験者の割合が 23.7% という調査結果があります。
こうした傾向を受け、厚生労働省では社会人のための看護師養成支援を行うなど、社会人から看護師をめざすための環境づくりを推奨する動きが高まっています。
何歳からでも看護師をめざせる理由
看護師が年齢制限なくめざせる背景には、どのようなものがあるのでしょうか。
下記に理由をまとめたので見ていきましょう。
少子高齢化による地域医療の推進
少子高齢化の影響で医療人材の需要が高まり続けています。
政府はなかでも地域包括支援に力を入れており、病院だけでなく訪問看護ステーションや老人福祉施設といった、看護師の活躍する職場が従来より増えてきました。
新たな職場が増えることで看護師の人員募集も多くなっているため、学生だけでなく社会人からも看護師をめざせる環境が整ってきています。
医療業界は慢性的な人手不足
看護師は、需要が増えている一方で慢性的な人手不足でもあります。
看護師は人の命や健康に関わる仕事であるため、プレッシャーに耐えられず離職する人が少なくないことも、人手不足の一因となっています。
厚生労働省では、看護師の確保対策などを実施していますが、病院などでは慢性的に人手不足が続く職場も多く、看護師の人材を欲しています。
看護師で年齢が不利になるケースはある?
社会人から看護師になったとき、就職や進学で不利になることはあるのか不安に思う方もいるでしょう。
ここからは、ある程度年齢を重ねてから看護師をめざす際に知っておきたいポイントを説明していきます。
就職先に制限が出る可能性もある
社会人から看護師をめざす場合、希望する職場によっては、年齢が理由で不利になることもあります。
特に急性期病院や大学病院では、覚えることが多岐にわたり、夜勤も多いため、若くて体力のある看護師が優先的に採用される傾向です。
しかし、それでも看護師の需要は高いため、「資格を取ったのに就職先がない」という事態が起こることは少ないでしょう。
社会人枠が多い看護師養成所の就業統計でも、高い割合で卒業生が看護師として就業しています。
体力面できついこともある
病院や施設では、勤務に夜勤が入る場合も多いです。
夜勤は夕方から勤務を開始して翌朝まで働き、残業が重なると拘束時間が20時間近くになることもあります。
年齢が高いと、長時間起きていることで体調を崩してしまうケースもあり、体力的にきついと感じる方も多いです。
学費がかかる
国家試験の受験資格を得るためには、所定の養成所を卒業しなければなりません。
しかし、養成所に通うためには学費がかかります。
社会人という理由で学費が高くなることはありませんが、家庭を持っていたり、一人暮らしをしていたりする場合は、学費を支払うのが負担になってしまう恐れがあるでしょう。
しかし、奨学金などを使用すれば自身の支払いの負担軽減ができます。
なかには、条件次第で返済がなくなるものもあるため、学費に不安を感じている方は調べてみましょう。

年齢を重ねてから看護師をめざす場合に知っておきたいこと
看護師になるには、図のようなルートをたどって看護師国家試験の受験資格を得ることが第一目標となります。
社会人からめざそうと思ったとき、いくつか覚えておいてほしい点がいくつかあるので下記にまとめました。
大学をめざす場合は社会人入試制度がある
社会人から大学をめざす場合、学生などが利用する一般入試とは異なり、社会人入試という入試枠があります。
社会人入試では一般教養や小論文などが中心に出題される学校も多く、国語や数学といった教科科目を勉強する時間が少なくても挑戦しやすいです。
細かな入試内容は大学ごとに異なるため、大学がある場合は、ホームページなどで受験概要を確認してみましょう。
専門学校は社会人入学者が多い
看護師の専門学校では、大学よりも社会人経験者の割合が高いです。
社会人から学校に入学すると、年齢の違う環境に自分一人だけでいるという感覚を持つのが不安という方もいるでしょう。
しかし、専門学校では同じ志をもつ人たちと協力して看護師をめざせるため、モチベーションを保ちやすいです。
また、大学とは違い3年で卒業できるため、短期間で看護師免許を取得できるメリットもあります。
准看護師からめざすこともできる
とにかく最短で臨床に出たいという方は、准看護師から看護師になるルートもおすすめです。
准看護師は正看護師と異なり、最短2年で資格の取得ができます。
正看護師とできる仕事内容に違いはありますが、実務経験を経ると正看護師養成学校に通う資格を得られます。
また、7年以上の実務経験がある准看護師であれば、通信制でも資格取得が可能です。
無資格から通信教育での取得は不可能
現在、看護師の通信教育は、准看護師免許を有している人のみ利用することができます。
したがって、無資格の人が社会人で一から看護師をめざすには、最低でも3年以上の時間がかかってしまいます。
学費や家庭の両立をするためにも、パートナーに協力を得たり学費を工面したりして、勉強に集中できる環境づくりをしておく必要があるでしょう。
大卒資格がある場合は3年次編入できる可能性もある
一般大学を卒業している方は、看護系大学の3年次編入を利用できる可能性があります。
3年次編入ができれば、最短2年で看護師国家試験の受験資格を得ることができるので、かなり近道になるでしょう。
ただし、編入制度を導入している大学は数が少なく、受験資格も大学ごとに異なります。
もし自分の気になる大学があるならば、まず編入制度を行っているか一度確認してみると良いでしょう。
看護師は何歳からでもめざすことができる仕事
看護師は、年齢制限なく何歳からでもめざすことのできる仕事です。
事実、看護師養成学校では高い割合で社会人経験を持つ看護師を輩出しています。
社会の高齢化が進行しているため、益々看護師の活躍できる仕事場は増えていくでしょう。
看護師の需要が高まっているいま、年齢に関係なく看護師という職業を検討してみてはいかがでしょうか。