介護分野の職場には、「介護事務」として事務仕事を担当する部署があります。
そこで働くために必要な資格などはあるのでしょうか?
この記事では介護事務について、具体的な仕事内容と働くために必要な資格やスキル、めざし方を解説します。
介護事務の労働環境にも触れているので、これから介護事務をめざす方はぜひ参考にしてください。
目次
介護事務とは
介護事務は、介護施設を経営するなかで重要な役割を担っている、介護報酬請求業務(レセプト作成)を行います。
※介護報酬請求事務(レセプト作成)は後述参照
また、介護施設における事務仕事全般も担当します。
利用者やご家族を含む来訪者への窓口業務も役割に含まれているので、仕事内容は幅広く、介護施設の運営を縁の下で支える存在です。
介護事務の仕事内容
介護事務の仕事は、大きく3つに分けられます。
- 介護報酬請求業務
- 電話対応や受付など窓口業務
- 事業所の管理業務
それぞれ解説します。
介護報酬請求業務
介護サービスの利用料は、利用者が1割(一定以上の所得者は2〜3割)負担し、残りの金額は保険者(市区町村)が負担します。
この残りの金額(介護給付費)を介護事業所が受け取るために、レセプト(介護給付費明細書)を作成することを介護報酬請求業務といいます。
この請求業務では、1ヵ月分を翌月10日までに請求するため、月末の2〜3日と月初めの1週間ほどは忙しいです。
レセプトを作成する専用ソフトが入ったコンピュータを利用して入力業務を行います。
慣れないうちは難しく感じるかもしれませんが、ITに不慣れであっても操作しやすいように工夫された設計になっているので、安心してください。
とはいえパソコンの操作にはかわりないため、パソコンスキルはあったほうがすぐに活躍できるでしょう。
電話対応や受付などの窓口業務
事業所の事務職として、電話対応、利用者やご家族への受付業務、来客の窓口対応などの仕事もあります。
業務連絡や各種相談など、さまざまな内容の窓口になるので、適切な部署へつなぐ機転も必要です。
窓口対応時は事業所の顔として見られるので、社会人としてのマナーやコミュニケーション能力を求められるでしょう。
そのため基礎研修やマナー研修など、入社時の研修制度が充実している事業所もあります。
事業所の管理業務
介護事務の仕事は、事業所外部との関係だけでなく、ともに働く従業員に対するものもあります。
- 事業所の備品類の管理や発注
- 従業員の給与計算や振込、勤怠管理
上記2つのような管理業務にも、施設長や管理者をサポートするかたちで携わります。
ただし、職場内の役職や事業所によって異なるため、就職活動の際は、事前に仕事内容を確認しておくと良いでしょう。
介護事務になるには
介護事務になるために必要な条件と、役立つ資格についてそれぞれ解説します。
介護事務になるのに必要な条件
介護事務として就業するにあたり、必須の資格や学歴はありません。
高校卒業、もしくは社会人になってからでもめざせます。
介護報酬請求に関係する民間の資格はいくつかありますが、取得は義務づけられていません。
出典:介護事務 – 職業詳細 | job tag(職業情報提供サイト(日本版O-NET))
ただし、得意だと働くうえで有利な技術が2つあります。
- パソコンの入力操作
- コミュニケーション能力
1のパソコンの入力操作は、介護保険請求業務で力を発揮します。
レセプト(介護給付費明細書)の作成は、パソコンでの入力業務が基本です。
入力操作が得意だと、作業するのに有利に働きます。
2のコミュニケーション能力は、窓口業務において重要なスキルです。
受付窓口や電話などで接客対応するため、社会人としてのマナーやコミュニケーション能力を備えていたほうが、活躍できるでしょう。
介護事務の仕事に向いている人がどのような人か知りたい場合は、以下の記事を参照してください。
介護事務業務に役立つ資格
介護事務として働くうえで役に立つ民間の資格が複数あります。
ですが、これらの資格は介護事務として働くうえで義務付けられていません。
以下のような資格があります。
どの資格も介護報酬請求事務に関する知識と技能を得られる資格となっています。
資格名(運営元) | 概要 | |
---|---|---|
1 | 介護事務管理士 (JSMA技能認定振興協会) |
介護事業所での介護に関わる費用の請求方法、ケアプランを立てるケアマネジャーのサポートができる知識や技能を備えている証明 |
2 | ケアクラーク (日本医療教育財団) |
介護報酬請求事務だけでなく、社会福祉制度や介護技術、コミュニケーション能力など、介護事務の従事者に必要な知識や技能を備えている証明 |
3 | 介護事務実務士 (医療福祉情報実務能力協会) |
介護報酬請求事務に従事できる知識や技能を備えている証明 |
4 | 介護事務認定実務者 (全国医療福祉教育協会) |
介護保険制度や介護給付、介護報酬算定、介護給付費明細書の作成など、介護事務として必要な知識や技能を備えている証明 |
介護事務の資格を独学でとる方法、介護事務の資格のおすすめを知りたい方は、以下の記事を参照してください。
介護事務の労働環境
介護事務の勤務形態は、入居施設がある24時間運営の事業所でも、日勤が基本です。
ただし、前述した介護報酬請求業務がある月末と月初は残業になる場合もあります。
就業者の男女比は女性が多く、全国の平均年齢は42.9歳です。
パート・アルバイトや契約社員の比率が高く、子育てが落ち着いた主婦の方の再就職先に選ばれています。
施設によっては介護現場の仕事を補助しながら事務の仕事もこなすケースもあるので、事前に調査しておきましょう。
介護事務の年収について知りたい方は、以下の記事を参照してください。
介護事務に必要な知識と仕事内容を理解しよう
介護事務として働くのに必須な資格はなく、幅広い人がめざせる仕事です。
仕事内容は、大きく分けると次の3つです。
- 介護報酬請求業務
- 電話対応や受付などの窓口業務
- 事業所の管理業務
介護事務の仕事を円滑にこなすには、パソコンの入力操作と社会人としての最低限のコミュニケーション能力が求められます。
そのため、これらの技術を備えている人のほうが活躍できるでしょう。
介護事務の仕事が難しそうと感じた方は、以下の記事を参照してください。
また、介護事務は入居施設がある事業所でも日勤が基本です。
男女比は女性が多く、パート・アルバイトや契約社員の比率も高くなっており、子育てが落ち着いた主婦の方も働きやすい職場といえます。
介護事務の仕事に興味がある方はぜひチャレンジしてみてください。