
調剤薬局やドラッグストアで働く薬剤師には、転勤はあるのでしょうか。
薬剤師の転勤の有無は、採用時の契約内容や勤務先の方針によって異なります。
同じ店舗で長く働く薬剤師もいますが、勤務先によっては転勤がある場合もあります。
ただし、転勤を通してスキルアップやキャリアアップを実現できる可能性もあるため、あえて転勤がある契約や職場を選択するのも良い方法です。
今回は薬剤師の、転勤がある勤務先とない勤務先の具体例を紹介したうえで、転勤によるメリット・デメリットを解説します。
目次
薬剤師に転勤はある?
薬剤師というと、いつも同じ職場で働いていて、転勤がないイメージを持つ人もいるでしょう。
しかし実際は、契約内容や勤務先次第で、薬剤師にも転勤があります。
例えば、チェーン展開しているドラッグストアに勤めた場合、指示を受けたら指定地域へ転勤しなければなりません。
逆に、地域限定の小規模病院や個人経営の調剤薬局勤務だと、転勤の可能性はほとんどないでしょう。
転勤のある薬剤師の職場
転勤のある薬剤師の職場の具体例は、主に次の3つです。
- 全国に展開している調剤薬局やドラッグストア・病院
- 大手の製薬会社
- 公務員薬剤師
それぞれ見ていきましょう。
全国に展開している調剤薬局やドラッグストア・病院
全国に同系列の施設を展開している病院や、チェーン店がある調剤薬局・ドラッグストアに勤務する薬剤師は、転勤があると考えておきましょう。
特に、ドラッグストアは2000年以降減少が見られず、2022年1月〜2023年1月の1年間だけで、約1,500店舗増加しているといったデータもあります。
全国各地に店舗がある場合、入社・入職時の雇用契約で同意していれば、辞令を受けて転勤する可能性があるでしょう。
特に、医療施設は「同系列の別病院」への移動を打診されるケースもあるため、雇用契約前の確認が大切です。
大手の製薬会社
製薬会社に勤める薬剤師は、転勤がある可能性が高いです。
特に大手の製薬会社であれば、世界規模で取引を行っているケースもあるため、海外支社への転勤辞令もないとは限りません。
また、幅広い人脈や信頼関係の構築、あるいはキャリアアップを目的として、数年単位で転勤を繰り返す企業もあります。
転勤の頻度は就職先や立場によってさまざまですが、薬剤師が大手製薬会社へ就職した場合、転勤はつきものだと考えたほうが良いでしょう。
薬剤師が製薬会社へ就職した場合の情報は、以下の記事でも詳しく解説しています。
ぜひご参照ください。

公務員薬剤師
公務員薬剤師とは、国や都道府県の機関に所属する薬剤師です。
公務員薬剤師には、国家公務員と地方公務員の2種類があり、どちらも民間企業との癒着を防ぐため、2〜3年を目安に転勤します。
国家公務員の場合、勤務先が全国にあるため、広範囲で転勤するでしょう。
地方公務員は広くても県内ですが、見知らぬ土地への転勤辞令を受ける可能性はあります。
公務員薬剤師に関する情報を詳しく知りたい方は、以下のページもぜひご参照ください。

転勤のない薬剤師の職場
以下は、転勤がない薬剤師の職場の具体例です。
- 展開が狭域かつ店舗数が少ない地域密着型のドラッグストア
- 個人経営の調剤薬局
- 公立の医療機関
- 各市区町村の保健所
- 検査・分析・研究を行う施設 など
転勤なしで働くことを希望する場合は、上記のような職場の求人に応募すると良いでしょう。
また、全国展開のドラッグストアや医療機関であっても、 転勤なしの求人を出している場合もあります。
求人の募集要項や雇用条件をよく確認し、トラブルの防止に努めましょう。
薬剤師の転勤のメリット
冒頭で述べたとおり、薬剤師の転勤にはメリットもあります。
具体的なメリットは以下のとおりです。
- 高水準の待遇を期待できる
- キャリアアップをめざせる
- 新しい土地で新たな経験ができる
- 自ら転勤希望を出せる
それぞれ見ていきましょう。
高水準の待遇を期待できる
転勤ありの薬剤師で働いた場合、以下のような高待遇で働ける可能性があります。
- 基本給が高い
- 勤務地によって別途手当がつく
- 福利厚生が手厚い
企業によっては、奨学金返済サポートを受けられたり、社宅費用・引越し費用を全額負担してくれたりする場合もあります。
高収入で手厚いサポートを受けたい人には、見逃せないメリットといえるでしょう。
薬剤師の年収に関する情報は、以下の記事で詳しく解説しています。
ぜひご参照ください。
キャリアアップをめざせる
薬剤師がキャリアアップをめざす場合、会社への貢献度も評価されるポイントの一つです。
転勤も一つの判断材料で、異動先の店舗・職場でスキルを身につけ、結果を残すことで、スピーディーなキャリアアップがめざせます。
転勤なしで働いていてもキャリアアップは可能ですが、従業員が固定されているとなかなか役職のポストが空かず、時間がかかってしまうでしょう。
できるだけ早く昇進したい人には、転勤ありの働き方がおすすめです。
新しい土地で新たな経験ができる
転勤では、今まで住んだことがない、新天地へ移住するケースもあります。
新たな居住地には、地域に根ざした考え方や住んでいる人たちの人柄があるため、仕事も含めて自分の今後を考える、良いきっかけがつかめるでしょう。
また、新たな職場で心機一転したことで悩みが解消されたり、マンネリ化したルーティンワークから解放され、仕事へのモチベーションが上がったりします。
転勤によって得られる経験は、仕事的にも人間的にも成長する糧といえるでしょう。
自ら転勤希望を出すことができる
転勤ありの薬剤師で働いた場合、職場を変えたいと思ったとき、自分から要望が出せるのもメリットです。
例えば、職場の人間関係に悩んでいても、転勤なしだと職場を変えられないため、退職や転職を検討しなければなりません。
しかし、転勤ありの薬剤師なら、転勤希望を出すことで働く環境を変えることができます。
薬剤師の転勤のデメリット
魅力的なメリットがある薬剤師の転勤ですが、次のようなデメリットもあります。
- 家族の生活に影響を与える
- 引越しのために費用と時間がかかる
- マイホームを持つのが難しい
以下で詳しく解説します。
家族の生活に影響を与える
薬剤師に限ったことではありませんが、転勤による引越しは、同居している家族に影響を与える可能性があります。
例えば、配偶者も正社員で働いている場合、帯同する(家族全員で引っ越す)なら配偶者に転職や退職を検討してもらわなければならないでしょう。
就学児童がいるなら、転校手続きや心のケアも必要です。
単身赴任の場合も、残された配偶者が一人で家事・育児を行うため、心身ともに負担がかかります。
帯同と単身赴任のどちらを選択しても、避けられないデメリットがあると理解しておきましょう。
引越しのために費用と時間がかかる
引越しをともなう転勤の場合、物件探しや引越し業者の手配 などの手間が発生します。
引越し後、新しい環境に慣れるまでの時間もかかるでしょう。
また、引越し費用は会社が負担してくれるケースがほとんどですが、新居住地に合わせた家具・家電の買い替えは、個人負担になることもあります。
このように、費用と時間がかかる点は、デメリットと考えて良いでしょう。
マイホームを持つのが難しい
転勤ありの企業・職場で働く薬剤師は、数年スパンで引越ししなければなりません。
そのため、定住地を定めにくく、マイホームを持つことが難しくなるでしょう。
仮に、マイホームを持ったとしても、住むのは家族だけで自分は単身赴任したり、経済的な理由からせっかくのマイホームを賃貸・売却したりするケースもあります。
マイホームを持ちたい人は、最初から転勤なしで働くか、転勤ありで働く期間を定めるなど、事前にライフプランを検討しましょう。
自分に合った働き方を選ぼう
薬剤師には、地域密着型の店舗から、全国規模・世界規模の企業・機関への就職まで、幅広い選択肢があります。
全国規模・世界規模で転勤がある場合、さまざまな業務に携われるため、スキルアップ・キャリアアップをめざしたい人におすすめです。
一方、明確なライフプランがあり、一つの職場に長く勤めたい場合、転勤なしの就職先選びが大切です。
どちらの働き方にもメリット・デメリットがあるため、自分のライフプランやライフスタイルと照らし合わせて、最適な働き方を選びましょう。