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介護福祉士は中卒でもなれる?学歴不問で資格取得をめざす方法を解説

この記事の監修者
さとひろ
資格
社会福祉士・公認心理師・介護支援専門員・介護福祉士・第二種衛生管理者など

【プロフィール】
特別養護老人ホームの生活相談員。介護職員やケアマネジャーも含めて約20年の経験あり。施設に勤めながら、ライターとして介護・福祉系の記事を執筆。

介護福祉士は、中卒でも取得可能な国家資格です。
介護福祉士として従事するために学歴は問われず、介護職員として実務経験を積みながら必要な研修を修了することで、受験資格を得られます。
また、介護福祉士以外にも学歴不問で取得をめざせる介護系の資格はあるため、働き方に迷っている方は選択肢に入れておくと良いでしょう。

本記事では、中卒から介護福祉士になる方法を解説します。
介護福祉士以外で学歴を問わず取得できる介護資格も紹介しているため、キャリアプランを考える際の参考にしてみてください。

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介護福祉士は中卒でもなれる?

介護福祉士は中卒でもなれる?

中卒であっても、介護福祉士の資格取得はめざせます。
介護福祉士は、介護を必要とする高齢者や障がい者といった利用者さんの身体的・精神的サポートを行うための国家資格です。
資格取得には一定の要件を満たす必要がありますが、学歴は問われません。

中卒から介護福祉士になるには、必要な研修を受けたうえで介護職員として実務経験を積み、受験資格を取得する必要があります。

中卒から介護福祉士をめざす方法

中卒から介護福祉士をめざす場合、まずは介護福祉士国家試験の受験資格を得なければなりません。
国家試験の受験資格を得るルートは、以下の4つです。

  • 実務経験ルート
  • 養成施設ルート
  • 福祉系高校ルート
  • 経済連携協定(EPA)ルート ※日本国籍の方は対象外

このうち、中卒から介護福祉士になるには「実務経験ルート」が最短でしょう。

実務経験ルート

実務経験ルートは、介護系の業務に3年以上従事し、さらに6ヵ月以上の介護福祉士実務者研修を修了して国家試験の受験資格を得るルートです。
実務経験を3年以上積んだあと、介護職員基礎研修と喀痰吸引等研修の両方を修了する場合にも、受験資格が認められます。

このルートにおける実務経験では、「従業期間が3年以上かつ従業日数が540日以上」を満たしていなければなりません。
従業期間とは、実務経験の対象となる施設や事業所、職種での在職期間を指し、従業日数とは、雇用契約に基づいて実際に介護業務に従事した日数を意味します。

介護福祉士試験国家試験の受験時、実務経験の期間を証明するために、実務経験証明書の提出が必要です。
実務経験証明書は、勤務している施設・事業所の出勤簿に基づいて作成します。

養成施設ルート・福祉系高校ルート

養成施設ルートは、高校卒業後に介護福祉士養成施設へ2年以上通い、修了後に受験資格を得る方法です。
福祉系大学や社会福祉士養成施設、あるいは保育士養成施設を卒業した場合には、介護福祉士養成施設に1年以上通う必要があります。

福祉系高校ルートは、福祉系高校を卒業するか、福祉系特例高校を卒業して9ヵ月以上の実務経験を積み、国家試験の受験資格を得る方法です。
福祉系高校では、介護福祉基礎や介護過程をはじめとした福祉に関する専門科目を学びます。

養成施設ルートと福祉系高校ルートは、どちらも高校卒業が前提です。
中卒から介護福祉士をめざす場合、こうした学校の卒業を要件としない実務経験ルートを検討すると良いでしょう。

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中卒から実務経験ルートで介護福祉士になる流れ

中卒かつ未経験の方が、実務経験ルートで介護福祉士をめざす場合、資格取得までは次のような流れになります。

  1. 介護職員初任者研修を修了する
  2. 介護福祉士実務者研修を修了する
  3. 実務経験ルートの要件を満たす
  4. 介護福祉士国家試験を受験する
  5. 資格登録の手続きを行う

研修や実務経験を通して、着実にステップアップしていきましょう。

1. 介護職員初任者研修を修了する

未経験者であっても介護福祉士実務者研修は受講できますが、まずは介護職員初任者研修から受講するのがおすすめです。
介護職員初任者研修では、介護に関する基礎的な知識・スキルを身につけられ、将来的に応募できる求人が増える可能性があります。

ただし、受講には時間がかかる点を念頭に置いておきましょう。
研修は全体で130時間必要です。
職場によっては資格取得支援を行っているため、実務経験を積みながら介護職員初任者研修を受講したい方は、研修・支援制度に注目して求人を探すのも一案です。

2. 介護福祉士実務者研修を修了する

介護職員初任者研修を修了し、介護に関する基礎知識・スキルを身につけたら、介護福祉士実務者研修を受講します。
介護福祉士実務者研修は、国家試験の受験資格を得る要件の一つとなっているため、必ず修了しなければなりません。

介護福祉士実務者研修の受講時間は、保有資格によって異なります。
無資格者なら450時間、介護職員初任者研修修了者は320時間です。
受講者の多くは、介護施設・事業所で実務経験を積みながら、通信課程で学ぶ傾向にあります。

介護福祉士実務者研修を受講するメリットは、業務内容の幅が広がるという点です。
研修内容に「医療的ケア」が含まれているため、喀痰吸引や経管栄養ができるようになります。
また、サービス提供責任者の要件を満たすことから、昇給やキャリアアップも望めるでしょう。

3. 実務経験ルートの要件を満たす

介護福祉士実務者研修を修了し、実務者研修3年以上の要件を満たすと、介護福祉士国家試験を受験できます。
実務経験証明書を職場に作成してもらうことで、従事期間3年以上・従業日数540日以上を満たすことを証明しましょう。

従事日数は、パート・アルバイトの場合も1日としてカウントでき、従事期間には産休や育休、病休といった休職期間も含まれます。
ただし、従事日数は実際に介護の業務に従事した日数を指すという点に注意が必要です。
休暇や欠勤、出張、研修などで介護業務に従事できなかった日はカウントされません。

なお、受験申し込み時点で実務経験を満たせない場合でも、受験年度の3月31日までに要件を満たすのであれば、実務経験見込みとして認められます。
要件を満たせるよう、試験まで計画的に実務経験を積んでいきましょう。

4. 介護福祉士国家試験を受験する

受験手続きを済ませたら、介護福祉士国家試験に向けて対策をします。
試験スケジュールは、例年1月下旬に筆記試験、3月上旬に実技試験です。
実務経験ルートでは実技試験が免除されるため、筆記試験合格に向けて勉強をしましょう。

なお、介護福祉士国家試験の合格率は57.4%(第1~35回までの平均)です。
近年(第33回~35回)の合格率は70~80%程度となっているため、しっかりと試験対策をすれば合格がめざせます。

介護福祉士国家試験の合格基準は、総得点125点に対して約6割(125満点中75点程度)です。
ただし、合格ラインは問題の難易度によって毎年異なるため、合格ラインよりもやや高めの点数を目標にしてみてください。

5. 資格登録の手続きを行う

国家試験に合格したら、資格登録の手続きを行います。
登録手続きに必要となる以下の書類を用意し、簡易書留で社会福祉振興・試験センターに提出しましょう。

  • 登録申請書
  • 収入印紙の原本(登録免許税9,000円)
  • 振替払込受付証明書の原本(登録手数料3,320円)と貼付用紙
  • 戸籍がわかる書類として以下のいずれか一通
    ○ 戸籍の個人事項証明書の原本
    ○ 戸籍抄本の原本
    ○ 本籍を記載した住民票の原本

上記の書類が試験センターで受理されたら、提出から約1ヵ月後には登録証が発行され、介護福祉士を名乗れるようになります。

中卒でも取れる介護福祉士以外の介護系の資格

介護福祉士以外にも、中卒から取得をめざせる介護系の資格はいくつかあります。

  • 認知症介護基礎研修
  • 介護事務の資格
  • ガイドヘルパー
  • ケアマネジャー
  • 社会福祉士

それぞれの資格の概要をチェックしてみましょう。

認知症介護基礎研修

認知症介護基礎研修とは、認知症の方の介護に携わるうえで必要な基礎知識やスキル、考え方を身につけるための研修です。
介護保健施設・事業所に勤める介護職員を対象としています。

認知症介護基礎研修の受講により、介護者は認知症の方の状況を理解し、適切なサポートを提供できるようになるでしょう。
また、介護者自身が認知症の方と向き合う際の不安やストレスを軽減し、自信を持って介護業務に取り組みやすくなります。

2021年度より、介護施設・事業所で働く無資格者は、認知症介護基礎研修の受講が義務化されました。
3年間の猶予期間後の2024年4月以降は、無資格かつ認知症介護基礎研修を受講していない方は介護施設・事業で働けなくなっています。
無資格の方は、早めに認知症介護基礎研修を受講しましょう。

介護事務の資格

介護事務とは、介護保険や介護に関する事務業務を行う職員のことです。
介護施設で受付をしたり、レセプトと呼ばれる介護給付費明細書を作成したり、ケアマネジャーをサポートしたりと、幅広い知識とスキルが必要になります。

介護事務に関する資格はいくつかありますが、代表的なものは以下の3つです。

  • 介護事務管理士
  • ケアクラーク
  • 介護報酬請求事務技能検定

上記のなかでも、介護事務管理士とケアクラークは実務経験がなくても受験できるため、介護職未経験の方に適しています。
試験問題は学科試験と実技試験で構成されており、介護事務管理士の合格率は50~70%、ケアクラークは70%程度です。

ガイドヘルパー

ガイドヘルパーは移動介護従業者とも呼ばれ、一人での移動が困難な方が外出する際に必要なサポートや介助を行う職種です。
車いすの介助や交通機関の利用の介助、代読・代筆など、利用者さんの障がい特性によって、提供するサービス内容は異なります。

ガイドヘルパーの資格を取得したい場合、各市町村が指定する研修を受講しましょう。
例えば東京都であれば、全身性障害者移動支援従業者養成研修課程、知的障害者移動支援従業者養成研修課程などがあります。
研修内容・会場などは、自治体の公式ホームページを確認してみてください。

ケアマネジャー

ケアマネジャー(介護支援専門員)とは、介護を必要とする方の相談に応じ、必要な介護サービスを受けられるよう、ケアプラン作成やサービス事業者との調整を行う仕事です。
主に居宅介護支援事業所で働く「居宅ケアマネ」と、介護施設で働く「施設ケアマネ」の2種類に分けられます。

ケアマネジャーになるには、介護福祉士など保健医療福祉分野で実務経験を5年以上積み、介護支援専門員実務研修受講試験(ケアマネジャー試験)へ合格しなければなりません。
その後、介護支援専門員実務研修を受講し、介護支援専門員証が交付されたらケアマネジャーとして働けます。

介護福祉士としての経験は必要ですが、学歴は不問です。
中卒であっても、介護福祉士などの資格を取得して実務経験を積めば、ケアマネジャーをめざせます。

社会福祉士

社会福祉士とは、病気・障がい・生活困窮などの理由で公的支援制度や福祉サービスが必要な方に対して、サービスの利用を提案したり、支援機関へつないだりする仕事です。
高齢者福祉施設や児童福祉施設、保健所、病院、福祉を行う民間企業など、幅広い場で活躍できます。

中卒から社会福祉士をめざすには、相談援助実務に4年以上従事し、一般養成施設に1年以上通ったのちに国家試験へ合格しましょう。
ただし、無資格・未経験から相談援助業務に従事するのは難しい可能性があるため、介護福祉士やケアマネジャーなどの資格をあらかじめ取得しておくのが賢明です。

中卒でも介護福祉士になれる

介護福祉士は、中卒でも取得がめざせる国家資格です。
学歴は問われず、介護職員として実務経験を積みながら、必要な研修を修了することで受験資格を得られます。

中卒から介護福祉士をめざす場合、養成施設や福祉系高校に通う必要がない実務経験ルートがおすすめです。
介護職員初任者研修と介護福祉士実務者研修を修了し、実務経験3年以上の要件を満たせば、介護福祉士国家試験の受験資格が得られます。

また、中卒から取得できる介護系の資格には、認知症介護基礎研修や介護事務、ガイドヘルパーなどもあり、選択肢は介護福祉士に限られていません。
将来的にはケアマネジャーや社会福祉士をはじめとした、より専門性の高い仕事も視野に入れられます。
まずは介護職員初任者研修から始めて、着実にキャリアを積んでいきましょう。

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