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臨床心理士の履歴書の書き方|具体的な書き方、ポイントまで徹底解説

この記事の監修者
野口亜美梨様_プロフィール
野口亜美梨
【資格】
臨床心理士・公認心理師

【プロフィール文】
教育・医療分野に長年従事し児童から高齢者まで幅広く経験
心理面接、心理検査、プレイセラピー、治験業務等で活躍中
仲間と支えあって働くことがモットー

臨床心理士の資格を活かして就職・転職をめざす際、履歴書は自己アピールの有効な手段です。
履歴書はある程度フォーマットが決まっており、独自性を出すのはなかなか難しいでしょう。
そのなかでも、採用担当者の目に留まる履歴書を作成するには、ポイントを押さえて、臨床心理士としての専門性を適切に伝えることが大切です。

本記事では、臨床心理士の履歴書の書き方を具体例とともに詳しく解説します。
臨床心理士の履歴書作成で疑問を感じやすいポイントにも触れているため、自分の資格や経験をどのようにアピールすれば良いのか迷っている方は、参考にしてみてください。

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臨床心理士の履歴書の書き方

臨床心理士の履歴書の書き方

就職・転職にあたって作成する履歴書は、自分自身の経歴や能力を伝えるツールであり、応募先での採用可否を左右する重要な要素です。
臨床心理士の履歴書では「基本情報」「学歴」「職歴」といった一般的な内容に加えて、「免許・資格」「志望動機」の欄に専門性を示す情報を記載する必要があります。
履歴書の項目ごとの書き方を詳しく見てみましょう。

基本情報

履歴書のなかでも、氏名や生年月日、住所、連絡先などの基本情報は、採用担当者が最初に目にする部分です。
黒のボールペンを使い、読みやすい字で丁寧に記載しましょう。
年月の表記は、西暦か元号のどちらかで統一します。

手書きの指定がなければ、パソコンで作成した履歴書でも問題ない場合がありますが、他社に提出したデータをそのまま流用すると、手抜きな印象を与えるため注意が必要です。
就職活動中は、何通も履歴書を用意する必要があるため、提出先に合わせて文言を変え、パソコンを活用しながら効率良く作成していきましょう。
写真を貼り付ける際は、裏面に氏名を記入し、万が一剥がれてしまっても自分の写真であることがわかるようにしておいてください。

学歴

履歴書の学歴欄は、臨床心理士に必要な知識・技術を学んでいることを示す項目です。
一般的には、中学校卒業か高校入学から時系列順に記載します。
大学や大学院の情報は特に重要視されるため、学部・学科・専攻名まで正式名称で詳しく書くようにしましょう。

以下は、臨床心理士の履歴書における学歴の記載例です。

学歴
2015 4 東京都立〇〇高等学校 入学
2018 3 東京都立〇〇高等学校 卒業
2018 4 △△大学 心理学部 心理学科 入学
2022 3 △△大学 心理学部 心理学科 卒業
2022 4 △△大学大学院 臨床心理学研究科 臨床心理学専攻 修士課程 入学
2024 3 △△大学大学院 臨床心理学研究科 臨床心理学専攻 修士課程 修了

臨床心理士に対応する学部・学科・専攻名の名称は、学校によって異なります。
事前に正しい情報を確認しておきましょう。

職歴

履歴書の職歴欄には、臨床心理士としての実務経験や関連する分野の入職・退職歴を記載します。
社会保険に加入していなかったアルバイト経験や配属先に関する情報は、基本的には不要です。
しかし、大学院を修了したばかりで、まだ臨床心理士の資格がない場合は、心理の職域に関するアルバイト先や研修先を記載しましょう。

退職理由については詳しく説明する必要はありませんが、短期間での転職歴が多いとマイナスの印象を与えることもあります。
自己都合か会社都合での退職なのかは明記しておきましょう。

臨床心理士は、医療・教育分野のほか、司法、産業などさまざまな場所で働く可能性があります。
正しい実務経験を採用担当者にアピールするためにも、勤務先は正式名称で記載しましょう。
部署名や役職名を記載しておくことで、どのような業務をしていたのかを書類上でアピールできるだけでなく、採用面接の際の話題の一つになることもあります。
非常勤での勤務も含め抜け漏れがないよう注意してください。

以下は、臨床心理士が作成する履歴書の職歴の記載例です。

職歴
2000 4 医療法人〇〇総合病院 臨床検査部 心理療法士 入職
2010 3 医療法人〇〇総合病院 一身上の都合により退職

異動や昇格の経験がある方は、その旨も記載すると良いでしょう。

免許・資格

履歴書の免許・資格欄には、臨床心理士の資格はもちろんのこと、関連資格や語学能力を証明する資格なども記載します。
資格の正式名称を明記すると同時に、民間資格の場合には認定団体・協会名も明らかにしましょう。
臨床心理士であれば、資格名とともに「日本臨床心理士資格認定協会」の記載が必要になります。

この際、保有資格のすべてをやみくもに書き連ねるのではなく、応募先の業務に役立つものを選定することが重要です。
応募先によっては、業務中に車での移動が必要であったり、英語が求められる場合もあります。
例えば、TOEICスコアや普通自動車免許などは、業務に直接的または間接的に関係する可能性があるため、履歴書に記載できます。

以下は、免許・資格の記載例です。

免許・資格
2001 8 普通自動車運転免許証
2008 1 日本臨床心理士資格認定協会 臨床心理士

国家資格や心理に隣接する領域の資格を持っている場合、応募先での業務と関連性が薄くとも、高度な知識や技術のアピールにはなるため、履歴書に記載して良いでしょう。

志望動機

履歴書の志望動機は、自分の熱意と適性を採用担当者にアピールできる項目です。
新卒の場合、大学や大学院で学んだこと、学生時代に困難を乗り越えた経験などをベースに、志望するにいたった理由、応募先で実現したいことを具体的に記載します。
学びを実践にどう活かせるか、説得力のある文章で伝えましょう。

既卒の場合は、これまで築き上げてきた臨床心理士での実績を踏まえて、応募先でどのようにスキルを発揮し、協働・貢献できるかを述べます。
実績に裏付けられた即戦力となるスキルとともに、採用後にも積極的に学習を継続する意欲をアピールして、応募先での貢献性の高さを示しましょう。

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臨床心理士の履歴書を書くときのポイント

臨床心理士の履歴書を書くときのポイント

臨床心理士の方が履歴書を作成する際は、以下3つのポイントを意識してみてください。

  • 経験があれば具体的に書く
  • 担当者が興味を持つような事柄を書く
  • 「人の心に触れる仕事」という自覚を持っていることを伝える

応募先で求められる人材像を理解したうえで、採用担当者の目に留まりやすい効果的な履歴書に仕上げましょう。

経験があれば具体的に書く

臨床心理士の履歴書では、既卒であれば実務経験を、新卒であれば院生時代に取り組んだことを具体的に書き、確かな専門性と実践力が身についていることをアピールするのがポイントです。
臨床心理士の資格取得ルートはいくつかあり、心理系の指定大学院(1種・2種)を修了した方、専門職大学院を修了した方など、同じ資格の保有者でも異なる背景を持っています。

医師免許を取得したあとに心理臨床経験を2年以上積んだ方も、臨床心理士資格の認定試験を受験できるため、この場合は豊富な臨床経験をアピールできるでしょう。
医学的知識と心理臨床の知識をあわせ持つことで、自分の能力が応募先でどのように活かされるのか、独自の視点から履歴書を作成できます。

学歴・職歴欄だけでは説明しきれない自分の強みや実績は、志望動機で伝えることが可能です。
志望動機で経験をアピールする場合の例文を、新卒と既卒に分けて見てみましょう。

【新卒の場合】
大学院では、認知行動療法、特にうつ病への適用に関する研究に取り組んでまいりました。
医療機関への学外実習を通じて、臨床心理の現場で求められる実践的なスキルを学び、精神疾患を抱える患者様の治療に貢献したいという思いを強く抱きました。
貴院はうつ病患者様への治療やリワークに注力されていると知り、患者様がより良い生活を送れるよう、これまでの知見を活かして貢献したいと考えております。
また、学んだ心理療法アプローチを組み合わせることで、患者様一人ひとりの状態に合わせた個別的なケアを提供できるよう尽力いたします。
【既卒の場合】
私は、〇〇大学病院産婦人科にて5年間、妊娠を希望される方や妊婦さん、ご家族の方々の心理的ケアに尽力してまいりました。
その経験を活かし、貴院のチーム医療に貢献したいと考えております。

妊娠・出産にともなうさまざまな心理的問題を抱える患者様との関わりのなかで、多職種連携の重要性を強く実感いたしました。
周産期領域における臨床心理士の役割は、産後ケア、育児に関する悩み、不妊治療など、患者様の幅広いニーズに応えるうえで不可欠であると考えています。

前職で培った実践スキルを活かし、妊婦さんやご家族の方々への心理的サポートに一層注力し、貴院のチーム医療の充実と発展に努めてまいります。

担当者が興味を持つような事柄を書く

自分以外の応募者との差別化を図るためには、履歴書のなかに採用担当者の興味を惹くような内容を盛り込むのが効果的です。
専門性をただ誇示するのではなく、臨床心理士という職業特性を踏まえ、誠実さや丁寧さといった人柄が伝わるような自己PRを意識しましょう。

成功体験だけでなく、学生生活やクライエントとの関わりのなかで困難を乗り越えた場面、転機となった出来事なども、志望動機に取り入れられます。

実体験に基づく内容は、独自性のある履歴書を作成するうえで意識したいポイントです。
例えば「困難なケースに直面した際、チーム内でのオープンな議論を通じて新たな視点やアプローチを見出し、クライエントの回復につながった」という経験があったとします。
このエピソードを通して、クライエントに対して真摯に取り組む姿勢や忍耐強さ、問題解決能力、柔軟性、コミュニケーション能力などを採用担当者にアピールできるでしょう。

「人の心に触れる仕事」という自覚を持っていることを伝える

臨床心理士の仕事では、クライエントが抱える心の課題と向き合い、主訴の改善に向けたアプローチを行います。
人々の心の健康に関わる責任を深く理解し、心理専門職の自覚を持っていることを、履歴書を通して採用担当者に伝えましょう。

臨床心理士は言葉を扱う職業のため、クライエントとのやりとりは対話が中心です。
国家資格ではないものの、「生死に関わるわけではない」と職務を軽視し、うわべの言葉だけでクライエントと接するのは適切ではありません。
クライエントの生活や人生に影響を与えうる立場であることを心得たうえで、応募先に求められる臨床心理士像に自分自身が適合している旨を伝える必要があります。

履歴書に記載できる情報量は限られるため、どのような姿勢でクライエントと関わりたいのか、自分の気持ちを簡潔にまとめましょう。

臨床心理士の履歴書の書き方に関するよくある質問

臨床心理士の方が履歴書を作成する際、資格の記載方法に悩むケースがあります。
書類選考を通過し、採用に近づくためにも、履歴書の情報に虚偽があってはいけません。
ここからは、臨床心理士の履歴書に関するよくある疑問とその回答を紹介します。

臨床心理士の正式名称は?

臨床心理士の正式名称は「臨床心理士」です。
「CP(Clinical Psychologist)」などと略される場合もありますが、履歴書では略語の使用を避け、正式名称の臨床心理士で統一しましょう。

また、臨床心理士はほかの心理専門職と混同されやすいものの、専門性の高い有資格者であることをアピールするには、正式名称での記載が必要です。
心理職に従事する方のなかには、心理カウンセラーやサイコセラピスト、心理相談員などさまざまな名称で活動している人もいて、採用条件に心理系資格の保持が明確に定められていない企業もあります。
つまり、無資格者でも心理職をめざすこと自体は可能です。

これに対して臨床心理士は、日本臨床心理士資格認定協会が実施する試験に合格し、高い専門性を認められた証明となります。
自分のスキルを効果的にアピールできるよう、履歴書の免許・資格欄をはじめ、保有資格を記載する項目では正式名称を使用しましょう。

臨床心理士以外の心理系資格に興味がある方は、こちらの記事もご覧ください。

臨床心理士は名称独占?

臨床心理士は民間資格であり、国家資格ではないため、名称独占や業務独占の資格ではありません。
臨床心理士の名称の使用に法的な制限はなく、また臨床心理士のみに認められた業務があるわけでもない点を理解しておきましょう。

ただし、臨床心理士の取得ルートは大学院の修了が基本となり、資格の保有によって、臨床心理学の知識と実践能力を身につけている証になります。
心理職での就職・転職活動を有利に進めるためにも、履歴書には臨床心理士の資格名と取得年月を記載するのがおすすめです。

なお、2017年に創設された公認心理師は、国家資格かつ名称独占資格に該当します。
臨床心理士と公認心理師のダブルライセンスを持っている場合には、いずれの資格も履歴書に記載して、高度な専門性をアピールしましょう。

臨床心理士として就職を成功させよう

臨床心理士の履歴書は、就職・転職活動を進めるうえで欠かせない書類です。
氏名や生年月日などの基本情報に加え、学歴、職歴、免許・資格、志望動機の項目それぞれの適切な書き方を理解し、効果的な履歴書に仕上げましょう。

なかでも、志望動機に具体的な経験や学びを織り交ぜることで、履歴書にオリジナリティが生まれ、採用担当者の目に留まりやすくなる可能性があります。
人の心と向き合う臨床心理士の責任を自覚したうえで、どのようにクライエントと関わりたいのか、応募先で何を実現したいのか、簡潔に文章をまとめるよう意識してみてください。

臨床心理士は民間資格であり、名称独占・業務独占の規定はないものの、大学院の修了や心理臨床経験などの要件を満たさなければ取得できません。
履歴書を通して確かな専門性をアピールし、書類選考の突破をめざしましょう。

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執筆者について

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