
しかし、すべての人に身近な職業であるとはいえず、その具体的な仕事内容はイメージしづらいところもあるでしょう。
「具体的な仕事内容は?」
「どのようなスケジュールで動いているの?」
保育士に対して、このような疑問はないでしょうか。
本記事では、保育士の業務内容や1日の流れを詳しく解説します。
将来の仕事として保育士を視野に入れている方は、ぜひ参考にしてください。
保育士のやりがいや、自身の適性などがわかります。
目次
保育士の具体的な仕事内容
ここでは、保育士の主な仕事内容をわかりやすく解説します。
保護者から子どもたちを預かり、保育園で安全に過ごしながら生活習慣や社会性を身につけさせ、ケガなく保護者のもとに返すのが基本的な業務です。
保育の業務内容
保育時間中は、0歳から6歳までの乳幼児の保育がメインになります。
しかし一言で保育といっても、ただお世話するだけではなく、幅広い対応が求められます。
発達に応じて、子どもたちが生活習慣と社会性を獲得する手助けを行う必要があるのです。
生活習慣とは、食べる・着替える・眠る・排泄するなど生活の基本となる行動であり、これらを習得できるようサポートします。
食事中、好き嫌いをしないことやよく噛んで食べること、食事前後のあいさつや後片付けなども促します。
衣服の着脱や排泄においても、園児の発達に応じた着替えの指導やトイレトレーニングが欠かせません。
また集団生活のなかで子どもたちに社会性を身につけさせるのも保育園の重要な役割です。
ごっこ遊びや集団遊びを通して、ルールを守ることの大切さや人の気持ちを推しはかることを学びます。
特に、年齢が低いほど自分の気持ちをうまく表現できず、他児への噛みつきや叩く・引っ掻くなどの行動が現れがちです。
園児の気持ちに共感しながら、そのスムーズな表出を促すのも保育士の重要な役割となっています。
保育に関連する書類・事務作業
保育士の仕事には、保育日誌や園だよりの作成といった、書類・事務作業もあります。
下記が主な保育に関する書類や事務作業の一例です。
- 保育日誌の作成
- 月間指導計画書の作成
- 年間指導計画書の作成
- 園だよりやクラスだよりの作成
- 保育経過記録の作成
- 連絡ノートの記入
- 行事計画書の作成
- クラスの懇談会の報告書の作成
連絡ノートは、子どもの変化や様子を毎日記載したり、保護者からの相談に答えるなど、保護者とのコミュニケーションツールとして用います。
また、保育日誌も園児の様子や健康状態、保護者への連絡事項や、保育をするうえでの反省点などを毎日記入するものとなります。
保育日誌の記録を行うことで日々の保育の振り返りや課題、改善点も見つけられます。
保育経過記録は、子どもの性格など発達面においての記録を詳しく行い、今後の保育指導に役立てます。
保育以外の業務内容
保育士の仕事には、行事の準備や研究業務、保護者対応など、保育以外の業務もいくつかあります。
準備・研究
教材研究や行事の準備などが、準備・研究業務としてあげられます。
下記が主な仕事内容です。
- 教材研究
- 次の日の準備
- 行事の準備
- 園内やクラスの飾り付け
教材研究は、保育の場に取り入れる遊びや工作を考え、実際に子どもが実践したときに難しいと感じるポイントなどをピックアップすることです。
また、季節の行事の際に小道具の制作やダンスを考えることも保育士の仕事です。
行事のときには、園内を季節感あふれる雰囲気に飾り付けます。
保護者への対応
保護者との信頼関係を築くことも保育士の重要な仕事です。
保護者との信頼関係を築くために、保育士として下記のような業務を行います。
- 懇談会を通して保護者の相談に乗る
- 家庭と保育園の指導方針がぶれないように情報共有する
- 保育園の方針を伝え理解を求める
送迎時に、園での様子やできるようになったことなどを保護者に伝えます。
その際に、スマートフォンを使って動画や写真撮影したものを共有するシステムを取り入れている保育園もあります。
家庭と保育園の教育方針がずれていると子どもに混乱を招いてしまうため、子どもへの接し方や指導方法などをすりあわせることも大切です。
その他の業務
保育士のその他の業務として下記のようなものがあげられます。
- 地域貢献活動の実施
- 保育園内の安全点検の実施
- 外部研修への参加
- 看護師や栄養士スタッフなどとの業務連携
地域貢献活動としては、保護者への育児相談や産前相談、実習生の受け入れや高齢者と園児のふれあい活動などがあげられます。
高齢者とのふれあい活動は、子どもたちがお年寄りと接することで社会性を身につける機会となり、お年寄りにとっては普段と違う刺激を得ることで脳の活性化が起こると言われています。
保育士の業務スケジュールと勤務形態
保育士をめざすうえで、勤務時間や1日のスケジュールを知りたい方もいるのではないでしょうか。
勤務時間やスケジュールは勤務先の保育園によっても異なりますが、おおまかな部分は共通しています。
保育士の勤務時間やスケジュールの一例をご紹介します。
1日の流れ・スケジュールの例
ここでは、保育士の1日の流れを紹介します。
園によって、早番・遅番のシフトがあったり、預かり時間が異なったりします。
しかし、子どもたちの生活パターンに合わせて保育士も動くので、大まかな1日の流れは多くの園で共通しています。
- 6:00~7:00 出勤・開園準備
早番シフトだと6時〜7時に出勤します。
開園準備を行います。 - 7:00~7:30 園児の受け入れ
園児が登園する前に園内を整え、順次園児を保護者から受け入れます。
体温を測定し、家庭での様子や顔色・ケガなどの健康状態も確認。
預かった園児は午前中の活動開始まで、室内や園庭などで遊ばせます。 - 9:30 朝の集まり、午前のおやつ
園児を集め、朝のあいさつをして今日の予定を話します。
歌を歌ったり、体操をしたりすることもあります。
1歳〜2歳の場合、午前のおやつとして果物や牛乳などの軽食を食べさせる場合も。
午前の排泄も促します。 - 10:00 クラス別保育
年齢に応じた保育を実施します。
季節の行事に合わせた遊びや、年齢に応じた遊び、工作など。
周辺散策や公園への散歩など、体を動かす遊びや季節感を味わう活動も積極的に取り入れます。
体力を必要とする時間帯です。 - 11:30 昼食
排泄・手洗い後に、乳児から順次、離乳食・幼児食を提供します。
園児とともに昼食の準備、配膳、食事、片付けまでを実施。
配膳時はアレルギー除去食が該当の園児に渡っているかなども慎重に確認します。 - 13:00~15:00 お昼寝
園児がお昼寝できる環境を整えて寝かしつけをします。
就寝中も異変がないか、呼吸などをチェックしながらノートの記入や事務作業を行い、空いた時間で交代しながら保育士も休憩を取ります。 - 15:00 おやつ
排泄・手洗い後、おやつの準備、喫食、片付けをサポートします。
この際もアレルギー除去食に注意が必要です。 - 16:00 午後の集まり、順次降園
午後の集まり後、子どもたちの降園準備を手伝います。
室内遊びや歌・絵本の読み聞かせなどをしながら保護者のお迎えを待ち、お迎えが来た子から受け渡します。
その日の様子や気になる点などがあれば保護者に報告します。 - 18:00 片付け・事務作業
園児全員が降園したあと、保育を行った教室の片付け・消毒や日誌の記入などをします。
事務作業は時期やイベントなどによって内容が異なります。 - 19:00 退勤
遅番の場合、一番遅くておおよそこの時間帯に退勤になります。
上記のような仕事をするなかで、保育士にとって大変なことが何か気になる方は以下の記事もご参照ください。
勤務形態はシフト制
保育園は、主に3交代制のシフトになります。
3交代制の場合は早番、中番、遅番に分かれており、一番人手が必要な昼食時や送迎時に人員が確保できるようにシフトを組んでいます。
【3交代制の具体的な勤務時間例】
- 早番:7:30~16:30
- 中番:8:30~17:30
- 遅番:9:30~閉園まで
また、早朝保育や延長保育がない場合、2交代制でシフトを組むケースもあります。
保育士の仕事内容をより詳しく知るために
保育士の仕事をするうえで「やりがい」や「大変さ」はどういったときに感じるのでしょうか。
また、これまでの内容も踏まえたうえで、どういう人が保育士に向いているのかも具体的に解説します。
どういったときに働きがいを感じる?
保育士の仕事は決して楽なものではありませんが、それゆえに働きがいを感じる仕事でもあります。
保育士の業務のなかでやりがいを感じた瞬間としては、以下のような場面があげられます。
- ご家族と別れて泣いていた子どもが泣き止んで笑顔になったとき
- 寝返りやハイハイ、一人歩きなどができるようになり成長を感じられたとき
- 保護者から感謝の言葉を伝えられたとき
- 卒園後にわざわざ会いに来てくれたとき
毎日見ている子どもたちの成長を一番間近で感じられた瞬間や、卒園後も会いに来てくれたときに、保育士としてのやりがいを感じることが多いようです。
保育士のやりがいについて以下の記事でより詳しく紹介しています。
大変さやつらさを感じることはある?
保育士の業務で大変さやつらさを感じる場面は、以下があげられます。
- 持ち帰り残業が多い
- 事務仕事が多い
- 希望休が取りにくい
- 給料が他の職業と比べて安い
- 保護者の対応が大変
- 体力仕事である
- 子どもの成長にあわせた専門知識が必要
- 保育園の方針とあわない
小道具や掲示物、おたより作成など、事務作業を業務時間内で終わらせられず持ち帰り仕事となってしまう点で、大変さを感じている保育士もいます。
また、保護者や上司、同僚との人間関係がうまくいかず、つらい思いをすることもあるかもしれません。
以下の記事では、保育士をしていて大変なことについて、受け持ちクラスの年齢別に詳しく紹介していますのでご参照ください。
どういった人が保育士に向いている?
保育士の仕事に向いている人の特徴として以下があげられます。
- コミュニケーション能力が高い人
- 子どもと接することが好きな人
- 子どもの変化にいち早く気付ける人
- 体力に自信がある人
- 危険予知能力がある人
以下の記事では、保育士に向いている人について詳しく紹介していますのでご参照ください。
保育士の仕事内容について理解を深めよう
保育士の仕事を簡潔にいえば、預かり中の園児の安全管理と生活習慣の確立、社会性獲得の支援です。
子どもたちが思わぬ事故に遭わないよう、保育士同士で協働しながら安全管理に努めなければなりません。
その上で、衣食住や排泄に関わる習慣も、発達に応じてサポートしていきます。
また、集団生活のなかで求められる社会性の習得を手助けするのも、大切な仕事です。
保護者と情報共有しながら、家庭と園のそれぞれで子どもたちの成長を見守ります。
業務内容が似た職種に幼稚園教諭がありますが、対象年齢も異なれば、預かり時間や休暇の取り方などにも違いがあります。
保育士の仕事内容と特性を十分に理解して、自身に合う働き方を見つけてみましょう。
保育士資格の詳しい内容についてはこちらの記事を参照ください。