保育士になるには、保育士の資格を取得する必要があります。
取得する方法は、都道府県が指定する「指定保育士養成施設」を卒業するか、保育士試験に合格するかの2つです。
この記事では、保育士試験の概要を詳しく解説します。
また、保育士試験に関するよくある疑問とその答えも紹介しています。
保育士に興味がある方は、ぜひ参考にしてください。
目次
保育士試験の概要
保育士の資格は国家資格の一つです。
保育士になるには高校卒業後に指定保育士養成施設で2年から4年学び、卒業後に試験を受けるか、年に2回実施される保育士国家試験に合格する必要があります。
ここでは、国家試験に合格する道に着目し、保育士試験の概要である以下の7つを紹介します。
- 試験の内容
- 試験日
- 試験会場
- 受験資格
- 受験料
- 合格率
- 申し込み方法
では、一つずつ見ていきましょう。
試験の内容
保育士試験には筆記試験と実技試験があり、筆記試験に合格してから実技試験を受けます。
それぞれの試験は表のとおりです。
筆記試験 | 全9科目、マークシート方式 |
---|---|
実技試験 | 音楽・造形・言語のうち2科目を選択 |
筆記試験の内容は以下のとおりです。
- 保育の心理学
- 保育原理
- 子ども家庭福祉
- 社会福祉
- 教育原理
- 社会的養護
- 子どもの保健
- 子どもの食と栄養
- 保育実習理論
内容は年によって異なりますが、音楽の試験ではピアノや歌など、実際の保育で必要な技術を確認する場合があります。
また、実技は分野によって持ち物が異なるため、自分に何が必要かを確認して用意しましょう。
保育士試験の筆記試験の科目や実技試験の内容を詳しく知りたい方は、次の記事を参考にしてください。
試験日
【前期試験】
年度 | 筆記 | 実技 |
---|---|---|
2021年度・令和3年度 | 4月17日(土)、18日(日) | 7月4日(日) |
2022年度・令和4年度 | 4月23日(土)、24日(日) | 7月3日(日) |
2023年度・令和5年度 | 4月22日(土)、23日(日) | 7月2日(日) |
【後期試験(地域限定保育士試験含む)】
年度 | 筆記 | 実技 |
---|---|---|
2021年度・令和3年度 | 10月23日(土)、24日(日) | 12月12日(日) |
2022年度・令和4年度 | 10月22日(土)、23日(日) | 12月11日(日) |
2023年度・令和5年度 | 10月21日(土)、22日(日) | 12月10日(日) |
試験日は毎年ほぼ同じ日程です。
前期筆記試験は4月、後期筆記試験は10月に行われています。
ただし、筆記試験から実技試験までの期間は後期のほうが短い傾向です。
後期試験には、合格した地域のみで働ける地域限定保育士試験も含まれています。
地域限定保育士試験が行われる地域は毎年異なり、2023年は大阪と沖縄が同日で行われる予定となっています。
試験会場
試験会場は各都道府県に1箇所以上設定されるため、希望する都道府県を受験申請地として選択しましょう。
現住所以外の都道府県の試験会場も利用できます。
ただし、北海道と沖縄以外では都府県内の会場を自分で設定できないため、注意が必要です。
また、不合格になって再受験する場合は、前回と違う地域での受験を選んでも構いません。
しかし、知事による受験資格認定がある場合は、認定された都道府県のみ申請可能です。
違う地域を希望する場合は、再度認定手続きを取る必要があります。
受験資格
保育士試験は誰でも受けられるわけではなく、受験資格が必要です。
試験の受験資格は、大学や専門学校、高校などの最終学歴によって異なります。
ただし、保育士試験の受験資格には必ずしも学歴が必要というわけではありません。
学歴の条件を満たしていない場合でも、保育関係の施設での実務実習があれば、児童福祉施設勤務証明書を提出することで受験資格を得られます。
保育士試験の受験資格について詳しく知りたい方は、次の記事を参考にしてください。
受験料
保育士試験の受験料は12,950円であり、そのなかには受験料の振り込みは、クレジットカード決済もしくはコンビニエンスストア決済が可能です。
受験申請の手引き郵送料250円が含まれています。
クレジットカード決済の場合は即時決済になり、コンビニエンスストア決済の期限は受験申請後5日間になります。
コンビニエンスストア決済は支払期日までに必ず支払うようにしましょう。
合格率
保育士試験の合格率は年によって異なりますが、20%前後 を推移しています。
平成15年度の合格率は10.9% でしたが、令和元年度の合格率は23.9 %となっており、合格率は徐々に上昇 しているといえるでしょう。
ただし、平成30年度の合格率は19.7% となっています。
申し込み方法
保育士試験の申し込みはこれまで郵送のみでしたが、令和5年の試験からオンラインで受験申し込みができるようになりました。
ここでは従来の郵送による申し込みと、新しくできたオンラインによる申し込みの方法について解説します。
郵送による申請
郵送での申請の流れは以下のとおりです。
- 受験申請の手引き請求
- 申請書の記入・写真貼付
- 受験手数料の支払い
- 振替払込受付証明書貼付
- 証明書を貼付した申請書を郵送
- 申請手続き完了
まずは保育士試験事務センターに、保育士試験受験申請の手引きを請求します。
手引きが届いたら同封されている振替払込用紙にしたがって受験料を支払い、必要書類とともに郵送にて申し込みましょう。
受験申請書受付期限は消印有効にて期日が定められており、期限を過ぎていると受け付けない と明記されているので注意が必要です。
また、申し込みに必要な書類は、最終学歴や受験内容によって異なります。
主に必要になる書類は、下記のとおりです。
- 受験申請書
- 振替払込受付証明書
- 卒業証明書や在学証明書、在学期間と単位修得証明書
- 児童福祉施設勤務証明書
- 幼稚園教諭免許状のコピー
オンラインによる申請
オンラインでの申請の流れは以下のとおりです。
- 受験申請ページへアクセス
- 受験手数料の支払い
- 申請手続き完了
受験申請ページにアクセスをして、必要事項の入力と写真や証明書データのアップロードなどを済ませたら、クレジットカードまたはコンビニエンスストアで受験手数料を支払います。
その後、マイページ登録のアドレスに受付完了メールが届いたら申請が完了です。
オンラインによる申請では手引きの取り寄せが不要で、事前に写真を用意しておく必要もありません。
一方で必要となるのは、個人情報確認ができるもの、顔写真・証明書などの画像データです。
保育士試験に関するよくある疑問
最後に、保育士試験に関するよくある疑問と答えとして、以下の3つを紹介します。
- 独学で合格はめざせる?
- 資格の更新は必要?
- ピアノは絶対に弾ける必要がある?
独学で合格はめざせる?
結論からいうと、独学でも保育士試験に合格することは可能です。
ただし、前述したとおり、保育士の合格率は20%前後と低い傾向のため、重点を押さえて勉強することが必要です。
独学で合格をめざすなら、スケジュールの立て方や勉強の進め方、コツなどをしっかりと確認して、効率的に勉強するようにしましょう。
保育士試験に独学で合格するための方法や時間を詳しく知りたい方は、次の記事を参考にしてください。
資格の更新は必要?
筆記試験に合格し、実技試験にも合格することで、保育士資格を取得できます。
保育士資格は更新制ではない ため、一度合格すればその他に手続きが必要となるのは苗字や本籍地の変更があるときのみです。
ピアノは絶対に弾ける必要がある?
保育士になるにはピアノが弾けることが必須だと思っている人もいるかもしれません。
しかし、実はピアノが弾けなくても保育士にはなれます。
保育士試験の実技試験で音楽表現を選んだ場合はピアノの演奏が必須ですが、造形表現や言語表現を選べばピアノが弾けなくても資格が取得できます。
ただし、保育科のある短大や専門学校、大学では、ピアノを弾けることが卒業条件になっていることもあり、その場合にはピアノが弾ける必要があるといえるでしょう。
保育士になるにはピアノが弾ける必要があるのかについて、より詳しく知りたい方は、次の記事を参考にしてください。
保育士試験の日程や流れを把握してから受験しよう
保育士試験は春と秋の年2回実施され、日程は毎年ほとんど同じです。
筆記試験と実技試験があり、両方に合格することで保育士資格を得られます。
申し込み方法や合否の通知、そして応募や募集要項、試験の受け方を知っておくことで、スムーズに受験へ臨む準備ができます。
試験を受けようと考えている方は、しっかり把握しておきましょう。