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社会福祉士とは?定義や資格概要を詳しく解説

福祉にまつわる仕事の一つに社会福祉士があります。
社会福祉士は、心身の障害や環境上の理由により生活を営むことが困難な人の相談対応を行ったり、関係機関との連携をとったりし、利用者さんの暮らしをサポートする仕事です。

今回は、社会福祉士の定義や仕事内容、国家試験の概要、活かせる職種など、社会福祉士の概要を紹介します。

社会福祉士をめざしている方や、福祉関連の仕事に興味を持っている方はぜひ参考にしてください。

社会福祉士とは

社会福祉士とは

社会福祉士とは、どのように定義づけされているのでしょうか。

  • 社会福祉士の定義
  • 社会福祉士の主な仕事

上記の観点から、社会福祉士の概要を紹介します。

社会福祉士の定義

社会福祉士とは、日常生活の営みに支障がある人へ福祉の面からサポートを行い、医療従事者や関係機関との連携、調整を行う人を指します。

社会福祉士は、昭和62年に制定された社会福祉士及び介護福祉法に基づき、名称独占の国家資格として誕生しました。
名称独占資格とは、資格を所有している人以外はその名称を使って業務に携われない資格です。
そのため、社会福祉士と名乗り業務を行うには一定水準の専門知識や技術が求められます。

社会福祉士の援助の対象となるのは、身体や精神の障害や環境上の理由によって、生活を営むことが難しい人です。
これらの人が快適に過ごせるように、相談対応や指導、福祉サービスの提供を行っています。

社会福祉士の主な仕事

社会福祉士の仕事は、主に以下の4つあります。

  • 利用者さんの相談援助
  • 介護サービスの管理・書類作成業務
  • 関係機関との調整・連携業務
  • 介護業務

利用者さんの相談援助では、日常生活の課題を分析し、解決方法の提案や実行をします。

介護サービスの管理・書類作成業務は、利用者さんの相談内容を記録し、支援計画や報告書、手続き関連の書類を作成する仕事です。

関係機関との調整・連携業務では、利用者さんが関わる介護サービスや医療機関と調整や連携を行います。

介護施設に勤務する社会福祉士は、介護福祉士のサポートとして介護業務にも携わる場合もあります。
具体的には、食事や入浴の介助などです。

これらの社会福祉士の役割に関する詳細は、以下の記事をご参照ください。

社会福祉士は国家試験の合格が必須

社会福祉士になるためには、年に一度実施される国家試験に合格することが必須条件です。
本章では、国家試験の概要と試験合格後の手続きの2点を解説します。

国家試験の概要

社会福祉士の国家試験は年に一度、例年1月下旬に実施されています。
受験対象者は、指定科目を履修済みの福祉系4年生大学卒業者か、社会福祉士指定養成施設卒業者です。

試験形態は筆記試験で、以下の19科目から出題されます。

1.人体の構造と機能及び疾病
2.心理学理論と心理的支援
3.社会理論と社会システム
4.現代社会と福祉
5.社会調査の基礎
6.相談援助の基盤と専門職
7.相談援助の理論と方法
8.地域福祉の理論と方法
9.福祉行財政と福祉計画
10.福祉サービスの組織と経営
11.社会保障
12.高齢者に対する支援と介護保険制度
13.障害者に対する支援と障害者自立支援制度
14.児童や家庭に対する支援と児童・家庭福祉制度
15.低所得者に対する支援と生活保護制度
16.保健医療サービス
17.就労支援サービス
18.権利擁護と成年後見制度
19.更生保護制度
出典:社会福祉士・介護福祉士等 |厚生労働省

受験手数料は、以下のとおりです。

一般受験(社会福祉士のみ) 19,370円
科目免除
(社会福祉士の共通科目免除)
16,230円
同時受験
(社会福祉士と精神保健福祉士)
36,360円
(社会福祉士 16,840円、精神保健福祉士19,520円)

試験合格後の登録手続き

国家試験に無事合格した場合、試験センターへ必要書類を郵送し、登録手続きを行わなければなりません。
必要書類は以下の4点となります。

● 登録申請書(登録免許税「収入印紙」の原本を張り付けたもの)
● 貼付用紙(登録手数料「振替払込受付証明書(お客さま用)」の原本を張り付けたもの)
● 下記ア、イ、ウのいずれか1通
ア 戸籍抄本の原本
イ 戸籍の個人事項証明書の原本
ウ 「本籍を記載した」住民票の原本
● 介護福祉士養成施設の卒業証明書の原本(対象者のみ)
出典:[資格登録]新規登録の申請手続き:公益財団法人 社会福祉振興・試験センター

試験センターで書類が受理されたのち、審査と登記簿への登録を経て、書類に不備がなければ1ヵ月ほどで登録証が交付されます。
登録証の受け取りをもって、ようやく社会福祉士と名乗ることが可能です。

登録には免許税と手数料を合わせて、19,050円かかります。
登録免許税:15,000円
登録手数料:4,050円

登録手続きの期限はありません。
しかし、登録手続きを行わないまま社会福祉士の名称を使用することは禁止されています。
忘れないよう、速やかに登録手続きを行いましょう。

社会福祉士が働く場所とは

社会福祉士はどのような場所で活躍しているのでしょうか。
社会福祉士の主な就職先と合わせて、年収も解説します。

社会福祉士の主な就職先

社会福祉士の就職先はさまざまです。勤務先によって呼び名も異なります。
対象者別の職場と職種の例を以下の表で紹介します。

対象者 職場 職種
高齢者 高齢者施設

デイサービスセンター

地域包括支援センター

ソーシャルワーカー

生活相談員

子ども 児童福祉施設

児童相談所

障害児入所施設

母子生活支援施設

母子福祉センター

児童福祉司

児童指導員

母子相談員

少年指導員

児童自立支援専門員

障がい者 障がい者支援施設 生活相談員(指導員)

作業指導員

生活に困っている人 福祉事務所 現業員(ケースワーカー)

査察指導員(スーパーバイザー)

専門職員

上記の他にも以下のような就職先もあります。

  • 医療施設
  • 教育施設
  • 地方公共団体
  • 社会福祉協議会
  • 保健センター
  • 保健所
  • 民間企業

社会福祉士の年収

正社員、パート・アルバイトや契約社員、派遣社員を含んだ令和2年度の社会福祉士の平均年収は403万円です。
正社員のみの平均年収は423万円、平均月給は35万円となります。

福祉業界で見ると、他の職種に比べて社会福祉士の年収はやや高めです。

年代や性別、施設や雇用形態ごとの年収および他の福祉系職業の年収は、以下の記事で詳しく解説しています。
あわせてご参照ください。

社会福祉士の相談援助業務は他職種にも活かせる

社会福祉士は、相談援助にまつわる他の資格を取得する際に有効な資格です。
例えば、次のような資格に活かせるでしょう。

  • 精神保健福祉士
  • 社会福祉主事(任用資格)

上記の資格で社会福祉士を活かせる理由を解説します。

精神保健福祉士

精神保健福祉士は社会福祉士と共通の科目があります。
そのため、社会福祉士の登録申請中である人や登録済みの人は、申請を行うことで共通科目が免除されます。

社会福祉士との共通科目は、以下の11科目です。

● 人体の構造と機能及び疾病
● 心理学理論と心理的支援
● 社会理論と社会システム
● 現代社会と福祉
● 地域福祉の理論と方法
● 福祉行財政と福祉計画
● 社会保障
● 障害者に対する支援と障害者自立支援制度
● 低所得者に対する支援と生活保護制度
● 保健医療サービス
● 権利擁護と成年後見制度
出典:[精神保健福祉士国家試験]よくあるご質問

精神保健福祉士は、精神的な障がいを抱えている人の相談援助を行うことが仕事です。
また、ご家族や関係機関と連絡をとり、患者さんの社会復帰をめざします。

社会福祉主事(任用資格)

社会福祉士であれば、任用資格である社会福祉主事になるための要件を満たしています。
任用資格とは、特定の行政職に就くために取得の必要がある資格です。

社会福祉士が公務員試験に合格し、福祉事務所などに配属されれば、社会福祉主事として働けます。

社会福祉士はどのような人に向いている?

以下に当てはまる人は、社会福祉士に向いています。

  • 社会に貢献したい気持ちがある
  • 人と関わることが好き
  • 常に学ぶ姿勢がある
  • コミュニケーション能力が高い

社会福祉士は、障がい者や高齢者、子どもなど、年齢も状況もさまざまな人から相談を受けます。
そのため、人との関わりが好きで、相手に応じたコミュニケーションを取れる人は、利用者さんとの信頼関係も構築しやすく、向いているでしょう。

また、時代の変化にともない、福祉分野の法律や制度も改正されています。
情報をアップデートし続けるために、社会福祉士には常に学び続ける姿勢も求められるでしょう。

社会福祉士は専門知識や技術があることを証明できる国家資格

社会福祉士は、福祉に関して一定水準以上の専門知識や技術があることを証明できる国家資格です。
就職先が幅広く、医療や教育、高齢者、地域福祉などのさまざまな分野で活躍できます。
また、精神保健福祉士などの他職種にも活かせる資格のため、キャリアの選択肢が増えるでしょう。

社会に貢献したい人や、人と関わることが好きで誰かの支えになりたい人におすすめの職業です。

執筆者について

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